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【かんすい升製作日誌】排水に関する課題

かんすい升において、排水は単純になりました。
サーボモーターで排水弁を制御する方法をやめたため、トロ舟に小さな穴をあけるだけでちょろちょろ排水され、2時間もあればすべての水が抜けるようになっています。この間、鉢はドブ浸け状態になります。健全な根の生育のためには、もっと短い時間で排水を行いたいです。

自動潅水装置を作るに当たり、ネットで情報収集しているのですが、植物の為の装置で私の望むような機能を持つものはなかなか見当たりません。近いジャンルで見つかったのは「アクアポニックス」や「水槽」に関するものです。トロ舟も鑑賞魚を育ててる方がよく使う道具のようですし、オーバーフローは水槽では必須の装置のようです。

そんな中、気になる存在が「ベルサイフォン」と呼ばれる機構です。オーバーフローにキャップを被せると水がどんど吸い込まれて水槽のほとんど水が流れ出ていました。また、水槽で水位を増減させる仕掛けとして、「サイフォン方式」を利用して作られているものがありました。

このサイフォンの原理を利用して、排水をスムーズに行うことはできないだろうか模索しています。安価で手に入りやすいものを利用し、簡単な工作で実現できるものを目指しています。

まず最初に思いついたのが、ポリタンクからストーブへ燃料を移す「シュコシュコ」です。正式には灯油ポンプと言うそうです。

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このホースを使って、オーバーフロー用に開けた穴にまたがせて、水位が上がって来たら、管の中に水を満たし、サイフォンの原理で排水してやろうと思いました。

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満水のかんすい升の様子

灯油ポンプのホースを使用する理由は、ホースが潰れないでよく曲がるからです。

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ホースの曲がり具合を比較しました。ビニールホースだと無理に曲げるとひしゃげてしまいます。

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トレーに沿わせるため、キリで穴をあけ、太めの針金を巻き付けています。

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これでうまくいくと思いましたが、実際には、うまく働きません。満水後、ホースから排水され始めますが、「サイフォン状態」とならず、水位が下がると、水が抜けて排水がストップしてしまうのです。

理屈では上手くいくはずのものがうまく行かないし、ネットに当たっても、同じように困っている人の情報まで行き当たりません。

元々の装置は「ベルサイフォン方式」と呼ばれるものでそれはちょうど、SALZ方式で使ったオーバーフロー用の立坑パイプにベルのような形状の被せ物をすると、良いようでした。

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SALZシリーズのオーバーフロー

ここで、進むべき道が分かれました。
SALZのケースを用いてベルサイフォンの実験をするか、ホース方式のサイフォン方式を改良するかの選択肢です。

結局私は後者の方法を選びました。SALZ方式は下部トレーに水を蓄えていて、そこに落とす方式なので、下に穴をあけるやり方で良いのですが、かんすい升は地べたに置いて使いたいので、底面はなるべく使わないようにしたいと考えたからです。

今のままの装置で、実験をするのは非効率だと思い、100均の深底タッパーを使って、サイフォンの実験装置を作ることにしました。

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実験用の100均タッパー

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こんな感じで再現します。

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問題の箇所アップ

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実験の模様

実験をしたところ、失敗の原因がなんとなくつかめてきました。ジャバラホースの内側はひだ状で気泡ができやすく、満水になってもホース内が水で満たされていない状態になります。

満水後、オーバーフローとしてホースの位置まで水を流すことはできますが、いわゆる「サイフォン状態」とはならず、水が抜けて排水がストップします。

次に考えたのが、L型ホース継手を使って、ビニールホースをL字もしくはU字に曲げて排水できないか?ということです。まずはL字でテストしてみました。

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L型ホース継手

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こんな感じで組み上げテストしました。

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結果は失敗でした。

上の画像はオーバーフロー後の排水の様子なのですが、L型ホース継手の内径を超える流量がなく、ビニールホース内が水で満たされていません。「サイフォン状態」にはなっていませんでした。

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L型ホース継手をやめ、ビニールホースのみにしました。

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エアコン工事用のパテで埋めています。

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水を入れ、、、

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排水開始!「サイフォン状態」になっています。

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順調に排水中。実験は成功しました。

その後、数回試していますが、全て成功しました。ビニールホースにストレスをかけず、伸ばしてやれば、思った通りの動作ができました。

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こんな感じです。

今回はここまで。この結果を実機に装着してみました。

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針金で縛ったパイプを撤去します。
使用する工具はこちら

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ヤットコ と 針金切り。

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針金切りで固定していた針金を切り、ヤットコで外します。

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ビニールホースを取り付け、エアコン工事用のパテで固定せます。

実際に試すと、サイフォン状態が発動し、解除されるまでが3分、完全に排水されるまで19分となりました。

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今まで2時間掛かっていた排水が20分となり、樹に負担を掛けないものとなりました。雑な工作で、かさ張って格好良くないのですがひとまずは機能優先。この方法でしばらく使ってみます。

さいごまでお付き合い下さり誠にありがとうございました。

#bonsai #盆栽 #自動潅水装置 #かんすい升 #サイフォン






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