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韓国 医師がストをすると、捕まる可能性も

 韓国では大変なことになっている。医師不足ということで、大学医学部の定員を増加するとしたところ、現役の医師などが反発して、辞表を提出したり、出勤を拒否したりしている。

 韓国政府は、その行動に対して、出勤命令を出したり、従わない場合は、懲役になる場合もあるなど強硬手段に出ている。

医師の違法な集団行動 主導者は拘束=韓国政府

【ソウル聯合ニュース】韓国政府が医師不足などの対策として発表した大学医学部の入学定員増に医師らが激しく反発していることを受け、法務部や大検察庁(最高検)、警察庁などが21日に合同対策会議を開き、違法な集団行動の主導者については原則、身柄を拘束して捜査を行うなど厳正に対応する方針を決めた。

  政府は今月6日、医師不足の解消に向け、大学医学部の入学定員を来年から2000人増やすと発表したが、反対する全国の専攻医(研修医)が集団で辞表を提出し、医療現場の混乱が拡大している。

 政府は業務開始命令が出された後も医療現場に復帰せず、診療や職場への復帰を妨害する行為を行う者も厳重に処罰する方針を明らかにした。辞表を提出し、職場への復帰を拒否している専攻医は原則的に起訴する方針も示した。

 ただ、早期に医療現場に復帰した場合は事情を反映して対応するとした。

 患者の命や健康に問題が生じた場合は「最も高い水準の責任」を問うと警告した。

 医師らの集団行動を防ぎ、収拾する責務を放棄し、医療システムに混乱をもたらした医療機関の運営責任者に対しても相応の法的責任を問う方針だ。

https://jp.yna.co.kr/view/AJP20240221002600882?section=society-culture/index

 2000人も医学部の定員を増やすというので、結構な増員だ。それに現役の医師などが反対するのは、色々な理由があるようだ。まずは、急激に人を増やすと、医療の質が低下するという。それに、増えた人員に対して、教育を行うにも、人が足りないなども理由に挙げられている。

 それと、これも大きな理由なのだろう。医師が増えれば、医療費も上がるが、限られたパイを多くの人で、取り合うことになるので、単純に医師の報酬が減るということだ。

 それに対して、辞表を提出したり、出勤しないというのも、かなり過激な行動だ。

韓国専門医63%が勤務離脱…政府「傍観した病院責任者も捜査」

 全体専門医の70%程度である8800人余りが医大増員に反発して退職届を出しながら韓国医療現場の混乱が大きくなっている。病院は教授や専任医で空白を埋めているが、専門医の団体行動が長期化する場合、手術や診療を順次減らしていかなくてはならない状況だ。20日に開かれた大韓専門医協議会臨時代議員総会でパク・ダン会長は「この懸案が1年以上続く場合がある」とし「病院復帰時点を予測することはできない」という立場を示していた。

 21日、保健福祉部によると、主要修練病院100カ所(専門医95%勤務)で専門医8816人(71.2%)が退職届を出したことが確認された(20日午後10時基準)。退職届が受理された事例はまだない。退職届を出した専門医のうち、7813人(63.1%)は実際病院にいないことが確認された。政府はこの日、5397人に追加で業務開始命令を下した。この日まで命令を受けた専門医は合計6228人。半分以上(54.2%)である3377人には命令不履行確認書を徴求した。命令不履行時に免許取消などの処罰を受ける場合がある。朴敏守(パク・ミンス)保健福祉部第2次官はこの日の記者会見で「(専門医が)『大馬不死』(規模が大きく経済に影響を及ぼすものは政府が助ける)と考えているようだが、政府は原則通り法を執行する」と強調した。法務部・行政安全部・大検察庁・警察庁など関係部署もこの日合同会見を開いた。ブリーフィングには李祥敏(イ・サンミン)行安部長官、朴性載(パク・ソンジェ)法務部長官、尹熙根(ユン・ヒグン)警察庁長官、申子容(シン・ジャヨン)大検察庁次長検事らが出席した。政府はまず不法集団行動主導者と背後勢力、傍観する医療機関運営責任者まで徹底的に捜査することにした。朴長官は「専門医を前面に出して資金支援などの方法で集団退職届提出と診療拒否をあおる背後勢力は処罰する」と話した。特に業務開始命令にもかかわらず復帰しない医師や背後勢力は拘束して捜査する方針だ。朴長官は「復帰を拒否する専門医は正式起訴を通じて裁判に付す」としながら「患者の命と健康が損なわれるような結果が発生すれば最も高い水準の法的責任を問う予定」と強調した。兵務庁は集団行動に突入した兵役義務未修専門医が国外旅行許可を申請する場合、一旦保留にして本庁に名簿を通知するよう地方庁に指示した。政府は、集団行動に一時的に加担したものの現場に早期復帰すれば起訴猶予など処罰を軽くする方針だ。

 ビッグ5病院は手術を30~50%減らして対応している。一日200~220件手術を行っているサムスンソウル病院は集団退職初日の20日、手術を30%延期したことに続き、この日は40%、22日にも40%以上延期する予定だ。残りの病院も状況は似ている。
 
 大韓医師協会非常対策委員会のチュ・ジュホ言論広報委員長(前医師協会長)はこの日最初の定例会見で政府の強硬対応を批判した。チュ委員長は「国民の生命権は当然大事ではあるが、医師の職業選択の自由も国民の基本権として当然尊重されなければならない」とし「1人の医師が弾圧を受ければ1000人の医師が(医業を)あきらめるだろう」と話した。

https://japanese.joins.com/JArticle/315323

 全体専門医の70%程度である8800人余りが医大増員に反発して退職届を出しているということで、専門医は、12570人くらいいることになる。退職届けを出した8800人のうち7813人は、実際に勤務していないということで、これは大変な事態だ。

 これに対して韓国政府は、捜査を行って、場合によっては医師免許の停止、取り消し。さらに、罰金(3000万ウォン)もしくは3年以下の懲役刑になる場合もあるという。

 国民は、治療を受けれないとして、医師に対して「ろうそくデモ」をおこなって、医師を批判している。

 医師不足なのは、小児科などの特定の専門医だ。現在の人員でも、配置転換などをすれば、なんとかなりそうな気もする。整形外科を減らすとか・・・

 でも、望まない人に無理矢理やらせるわけにもいかない。医師を増やしても、整形外科を希望する人ばかりだとどうするのだろうか?

 日本でも、小児科、産婦人科などの医者が足りていないと話題になった。どこの国でも、同じような問題は発生する。

 韓国の場合は、それに対して急激な人員増加を行うことにして、それに医師が反発、退職届を出して、出勤を拒む。政府は、強制的に働かせようとする。国民は、医師をデモで批判する。

 お互いの意見などを聞いて調整するということが出来ないのだろうか?医学部の定員を増やすという政策も、それを行う前に現場の意見を聞いて、増やす人員などの意見を合わせるとか。

 国民も、意にそぐわないことがあれば、すぐにデモだ。その時間があれば、やることがあるだろう。デモをしても、問題は解決しない。

 医師にも、職業選択の自由があるだろう。出勤しないと最悪懲役刑になるというのも、どこの独裁国家なんだ。

 韓国のいつものやりかたで、場当たり的にその時の感情や雰囲気で色々なことが決まる。そして、納得いかないとデモだ。その前には、鉄道のデモや運送業のデモなどをやっていた。民衆には、デモを行う権利はある。しかし、社会的に影響や損害が出るほどのデモはマイナスにしかならない。

 日本は、働く人の権利が低すぎて、デモはほとんど行っていない。この30年の不景気で、デモをして昇給や待遇改善を要求しても、無理なのはわかっているし、それで会社が潰れれば意味がない。

 アメリカのように、職種別の労働組合があれば、同じ職種でなら会社が違っても、同じ給料なので、比較的転職しやすい。給料を増やすには、職種を変更するか、上のグレードに上がればいい。わかりやすい。

 日本の場合は、会社ごとに労働組合があるので、会社が変わると給料などは保証されない。ここが変化すれば、日本でも転職しやすくなるのだが。

 しかし、長年続いている習慣を変化させるには、時間が必要だ。急激な変化をすると、どこかにひずみが発生する。

 少しずつだが、着実に変化するようにしないと、韓国のようになる。

 


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