韓国では大変なことになっている。医師不足ということで、大学医学部の定員を増加するとしたところ、現役の医師などが反発して、辞表を提出したり、出勤を拒否したりしている。
韓国政府は、その行動に対して、出勤命令を出したり、従わない場合は、懲役になる場合もあるなど強硬手段に出ている。
2000人も医学部の定員を増やすというので、結構な増員だ。それに現役の医師などが反対するのは、色々な理由があるようだ。まずは、急激に人を増やすと、医療の質が低下するという。それに、増えた人員に対して、教育を行うにも、人が足りないなども理由に挙げられている。
それと、これも大きな理由なのだろう。医師が増えれば、医療費も上がるが、限られたパイを多くの人で、取り合うことになるので、単純に医師の報酬が減るということだ。
それに対して、辞表を提出したり、出勤しないというのも、かなり過激な行動だ。
全体専門医の70%程度である8800人余りが医大増員に反発して退職届を出しているということで、専門医は、12570人くらいいることになる。退職届けを出した8800人のうち7813人は、実際に勤務していないということで、これは大変な事態だ。
これに対して韓国政府は、捜査を行って、場合によっては医師免許の停止、取り消し。さらに、罰金(3000万ウォン)もしくは3年以下の懲役刑になる場合もあるという。
国民は、治療を受けれないとして、医師に対して「ろうそくデモ」をおこなって、医師を批判している。
医師不足なのは、小児科などの特定の専門医だ。現在の人員でも、配置転換などをすれば、なんとかなりそうな気もする。整形外科を減らすとか・・・
でも、望まない人に無理矢理やらせるわけにもいかない。医師を増やしても、整形外科を希望する人ばかりだとどうするのだろうか?
日本でも、小児科、産婦人科などの医者が足りていないと話題になった。どこの国でも、同じような問題は発生する。
韓国の場合は、それに対して急激な人員増加を行うことにして、それに医師が反発、退職届を出して、出勤を拒む。政府は、強制的に働かせようとする。国民は、医師をデモで批判する。
お互いの意見などを聞いて調整するということが出来ないのだろうか?医学部の定員を増やすという政策も、それを行う前に現場の意見を聞いて、増やす人員などの意見を合わせるとか。
国民も、意にそぐわないことがあれば、すぐにデモだ。その時間があれば、やることがあるだろう。デモをしても、問題は解決しない。
医師にも、職業選択の自由があるだろう。出勤しないと最悪懲役刑になるというのも、どこの独裁国家なんだ。
韓国のいつものやりかたで、場当たり的にその時の感情や雰囲気で色々なことが決まる。そして、納得いかないとデモだ。その前には、鉄道のデモや運送業のデモなどをやっていた。民衆には、デモを行う権利はある。しかし、社会的に影響や損害が出るほどのデモはマイナスにしかならない。
日本は、働く人の権利が低すぎて、デモはほとんど行っていない。この30年の不景気で、デモをして昇給や待遇改善を要求しても、無理なのはわかっているし、それで会社が潰れれば意味がない。
アメリカのように、職種別の労働組合があれば、同じ職種でなら会社が違っても、同じ給料なので、比較的転職しやすい。給料を増やすには、職種を変更するか、上のグレードに上がればいい。わかりやすい。
日本の場合は、会社ごとに労働組合があるので、会社が変わると給料などは保証されない。ここが変化すれば、日本でも転職しやすくなるのだが。
しかし、長年続いている習慣を変化させるには、時間が必要だ。急激な変化をすると、どこかにひずみが発生する。
少しずつだが、着実に変化するようにしないと、韓国のようになる。