大麦の分析(Gerstenanalysen)について その1

はじめに

また今週からしばらく職業学校のターンです。実は前回、事業所を変えた(ちょっと前の記事参照)ので一回職業学校のブロックをスキップしているんですが、無事今回から再び参加できました。今週は前回の復習を結構やってくれてるので、なんとか追いつけそう……と思いきやもうさすがに結構ガッツリ専門領域に突入しているのでいっぱいいっぱいです。ドイツ語にイーッってなりながら頑張ってます。

大麦の分析(Gerstenanalysen)

さて、これも前回の授業ブロックの復習ですが、自分的には新内容なのである程度日本語に起して覚えたいと思います。本当はドイツ語のまま覚えるのが授業的には一番いいんでしょうけど、しっかり把握するためには一度日本語に起さないときついなーと感じています。訳して、またドイツ語で覚えてで二度手間、三度手間ですが、頭も良くないし外国語だし仕方ない、割り切ります。

大まかに分けると分析の工程は以下の様に分けることができます

1.手や感覚器官での調査(Handbonitierung)
2.機械での調査(Mechanische Untersuchungen)
3.生理学的な調査(Physiologische Untersuchungen)
4.科学技術での調査(Chemisch-technische Untersuchungen)
5.微生物学的な調査(Mikrobiologische Untersuchungen)

今日はこの中の1.をまとめようと思います。

手や感覚器官での調査(Handbonitierung)

Handbonitierung...手や感覚器官での調査という風に訳していますが果たして厳密にいったらこれで合ってるのか、毎度のことながら自身がありません。一応テキストには、この調査方法は職業的な体験と感覚器官による知覚に基づいて判断される、とありますので、大きくは外れていないと思います。この調査項目の中にはさらに複数の項目があります(この項目が一番ボリュームある)。

香り(Geruch) / 色・つや(Farbe und Glanz) / 汚染物質の度合い(Grad der Verunreinigungen) / ほころんだ粒(Aufgeplatzte Körner) / 種類の純度(Sortenreinhet) / 異常生成物(Auswuchs) / 湿度(Feuchtigkeit) / もみ殻の状態( Spelzenbeschaffenheit) / 粒の傷(Verletzte Körner) / 均整(Gleichmäßigkeit) / 有害な動植物による被害(Schädlingsbefall)

量多いなまじで。ただ上記の項目を見てもらえれば分かるように目視や触れて確認できるものがほとんどになっています。これ記事長なるけど良いかなあ……。まあ基本的には自分用の記録やしいいかあ。

香り(Geruch)
望まれる状態:純粋 / 新鮮 
かび臭い匂いは湿気ている、不適切な貯蔵を示す。誤った貯蔵は大麦の発芽能力を損なわせる。ここで問題があると精麦工場や醸造工程での問題に繋がる。

色・つや(Farbe und Glanz)
望まれる状態:明るい黄色 / 輝いている / 均一
緑色の麦は収穫が早すぎることを示す。色が淡い麦はガラス質であり、流加の可能性があることを示す(これ実物みてみないとわからんな……)。グレーでくすんだ麦は雨で台無しになったか貯蔵期間が長すぎることを示す。赤い麦はイネ馬鹿苗病菌が蔓延していることを示しており、完成したビールでは噴出する傾向が強くなることが予想されます。噴出とは、適切に保存されているにもかかわらず、ビール瓶を開けたときのビールの強い発散のこと。

汚染物質の度合い(Grad der Verunreinigungen)
望まれる状態:出来るだけ低く(そりゃそうだ)
雑草のタネ、石、金属片、別の穀物などなどは、洗浄の必要性が高まることによって経済的な損失及び加工の際の問題に繋がる。

ほころんだ粒(Aufgeplatzte Körner)
望まれる状態:好ましくない麦芽化や瘤などのない状態
収穫前の吸水量が多いため、腹側の溝の部分に強い膨らみができることがある。水を吸収することで、苗の生育条件が整う。手早い乾燥は、苗の生育を妨げる。その結果、抽出物の損失や発芽能力の低下が起こる可能性がある。カビが発生するリスクが高まるため、その後のビールの品質に影響を与えます。

種類の純度(Sortenreinhet)
望まれる状態:純粋な状態
「種類の純度」が意味するのは夏大麦と冬大麦の混在がないことだけでなく、別の種類が混ざっていないことも指す。また、同じ種類の大麦でも生産地の違いで加工の際の問題になることがある(気候条件が違うと発芽性質に差がでるため)。タンパク質やデンプンの含有量の違い、もみ殻の状態の違いなどの理由から混在した種類の大麦の加工は困難である。

異常生成物(Auswuchs)
望まれる状態:異常生成物なし(そりゃそうだ)
晩熟期の湿度の高い天候は、すでに畑で穀物が成長していること、すなわち葉や根が発達し、酵素の形成がすでに行われる原因になっている可能性がある。したがって、デンプンの損失(抽出物の損失)、および乾燥が必要な場合には、発芽能力の低下をもたらす。
フロートやカットサンプル (Schwimm- und Schnittprobe)ではある程度の情報が得られるが、より良い染色メソッド(Färbmethoden:なんて訳すのがいいんやこれ)では隠れた成長の程度を検出することができる。目に見える成長(変化)と隠れた成長(目に見えない変化)を識別する。
目に見える変化の場合は、粒が割れて、根の発現が見える状態になっています。

湿度(Feuchtigkeit)
望まれる状態:乾燥している、手に取ると流れ落ちる状態
手で調査する際に、手を大きく開いて指の間からさらさらと流れるくらいが望ましい。粒同士がお互いにくっついてはいけない。
移送中の不適切な貯蔵や乾燥もしくは水の吸収は、麦の湿度を上げることになる。
ちなみに湿度が高いと……
・麦芽化までの苗の呼吸数増加(呼吸損失)による抽出物の損失
・呼吸数の増加による発芽材の温度上昇を補うためには、大麦を冷却する必要があり、これはコストが高くなる。
・CO2は呼吸中に放出されるので、発芽材の通気性を高めることで、発生したCO2を除去しなければならない。しかし、この処置は呼吸損失の増加をもたらす。

もみ殻の状態( Spelzenbeschaffenheit)
望まれる状態:細かい皺、薄い皮
細かい皺は抽出物が多く取れる麦ということを示す。なめらかで、厚いもみ殻のものは未熟もしくはビールの製造に適していない種類であることを示す。荒い皺の大麦は、抽出物に対してもみ殻含有率が高い。それによって、望まれる麦汁内の抽出物の量を獲得しようとすると醸造の際の麦芽の使用量が多くなる。
他にも……
・状態が良いとLäutern(純化?マッシング後の工程の事日本語でなんて言うの)作業が楽になる。
・殻はタンニンを含む。もみ殻に貯蔵されていたタンニンは、醸造作業中に溶解してもみ殻から流れ出る。タンニンが多量に含まれていると、麦汁やビールの色が濃くなり、硬くて苦い味がするようになる。

粒の傷(Verletzte Körner)
望まれる状態:可能な限り傷が少ない状態
脱穀や獣害(後述)が引き金となって傷がつく。
傷ついた粒は:
・少ない抽出物しか取得できないことによる経済的損失
・発芽能力の阻害、少ない抽出可能物の含有量の原因。
・微生物的な問題。内胚乳部分的に欠損しているため、カビなどの微生物が沈降する可能性がある。

均整(Gleichmäßigkeit)
望まれる状態:Vollgerste(第一品種、腹幅が2.5mmを超える大麦粒の事を指す、らしい)高含有
均質な、抽出可能物の多いモルトを生産するには、Vollgersteの割合が高いことが前提条件となる。

有害な動植物による被害(Schädlingsbefall)
望まれる状態:害のない状態
最も多い被害はKornkäfer(穀象虫)、ついでKornmotte(メイガ、蛾の仲間)が多い。(あとネズミもね……。)穀象虫の被害は、虫食い(Fraßlöscher / 注: キモいので画像検索してはいけません!)で認識できる。中が空洞のため、この粒は水に浮いてくる。これらの被害を受けた粒はモルト化には不向きで、麦芽工場に留まる。

おわりに

めっちゃ長くなってしまったし1つの単元書くのに2日かかってしまった。まあでも訳しといて損はなかろう……。また次回続きも書く(はず)。それでは。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?