24.01.20

遡れば去年の秋くらいの話になる。女児ビーズを持ち寄ってブレスレットを作るワークショップを突発的に開いたところ、平成女児をイベントとして楽しみたいというりなさんからお声がけをいただき、お友達のアンドーナッツさんと一緒に平成女児に戻るイベントに参加することになった。りなさんは考えうるすべての平成女児に近づくための準備とイベント開催にあたってのシミュレーションを走らせており、わたしは何から何まで乗っかりまくるというスタンスで楽をさせてもらった。念の入れっぷりが段違い。頭が上がらない。

当日、私とアンドーナッツさんは各々大量のビーズを運搬し大阪へ集い、開店準備に先駆けて駅のそばにある飲食店で決起集会を行った。不安を吐露しながらも、全く関係のない話で盛り上がりお互いの過去をうっすらと打ち明け、切ない声を投げかけ合うなどした。「ひょっとしたら必要かもしれないと思って…」と持ってきてもらった指輪やセボンスターのネックレスを身に着けた。こういうときに色んな可能性を見越してモノを持ってくるような人になりたい。とんでもなくデカい石がついた指輪は日を跨いでも外れず指で光を放っていた。言うまでもなく最高のプレゼント。

開店の1時間前くらいに店に入る。準備として並べられたビーズは店の半分を埋めるほどの量になっていた。実際目の当たりにすると、いかに私達のタガが外れているかがわかる。卓上に溢れるビーズを選ぶ苦しみが見たいという邪な気持ちは「全貌をつかめないほどの量は返って効果が薄まる」という知見となって還元された。アンドーナッツさんはすべてのビーズをジップロックの小袋に分けており、なおかつ私の持ち込んだビーズと区別がつくようハートのシールを貼っておくという心遣いまで施されており、わたしはそこにホスピタリティの極地を観た。ちなみにアンドーナッツさんは細やかな気遣いで場所を回り、人の話を聞き、居合わせる全てに対しての情緒とシンパシーがストップ高になってしまい、いつ顔を見ても「かけがえな……」の面持ちになっていた。

開店後はゆっきゅんのライブで出会ってお友達になった人や、ブログ友達、Twitterのフォロワーなどが訪れ、気持ちが躍る。自分の時間を割いてまで来てくれる人がいる。本当にありがたい。来店された人は揃って趣旨を理解し、その上で楽しもうと能動的で本当にすばらしかった。ビーズブレスレット作りなんてお金をとっているのに、複数個作ってくれる人までいた。

みんなのブレスレットを並べて良いところを言い合ったり、ビーズを選んだときのことを聞きあう講評会が出来なかったのは心残りだが、それでも出来上がるたびに歓声が上がったり、ほうぼうで盛り上がっている様子が聞こえてきたりと嬉しいことだらけだった。次回開催するときはビーズの陳列に気を配ったり、作品が出来上がった順にみんなで眺めてあれこれしゃべる時間を設けたい。

女児に戻ろうとするとき、てらいのない可愛さに慣れず、ついつい自分への言い訳が出てくるのだけど「この場所では誰も何も否定しない」という事実に慣れ始めたあたりでだんだんと気持ちが丸くなっていく様子が見える。静かに向き合う人、作りたいものが見えている人、手探りで可愛いものを集める人、誰かのことを思いながら作る人、パターンから開放されようともがく人、パターンが組めて嬉しくなる人。色んな人がその人のペースで楽しんでいて、どのビーズブレスレットも何かしらの思惑があることがわかる。それは等しく美しく、そしてかわいい。

キャッチーで惹きの強い「インナー女児開放ブレスレット」というおもしろの文脈に別の意味が立ち上がってくるのが見える。ちなみに、インナー女児開放ブレスレットという名前は親しくしているお姉さまによる命名で、これ以上無いくらい気に入っている。

あと、りなさんが持ってきた缶バッジを作ることができるおもちゃCanバッチGood!は専用サイトをつかうと自分の選んだ写真・画像でオリジナルの缶バッジを作ることができるというとんでもない可能性を秘めたもので、実際めちゃくちゃ楽しった。インターネットミームになっているベッドの上で飛び跳ねる2人のギャルの写真を缶バッジにしたときの高揚感たるや。脳の中でバチバチと何かが音を立てて弾けているような気持ちよさがあった。ありとあらゆるものを缶バッジにしたい。缶バッジバーサーカー(取り憑かれたように缶バッジを作ってしまう人)が来てしまうことを恐れていたりなさんの気持ちがわかる。あれは人をおかしくするものがある。

片付けは参加者も手伝ってくれたこともあり、びっくりするくらいスムーズにあるべきものがあるべき場所へしまわれていった。終電の関係でお疲れ様会が出来なかったけど、いつかやりたいな。

宿泊施設へ戻った私は泥になるまで眠った。起床後も台風一過のような高揚感と巨大なものが自分の中の何かを薙ぎ払っていったようなまっさらな気持ちが残っていて、昼過ぎまでぼーっとして過ごした。





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