Shall we ダンス?の感想文

役所広司と草刈民代のW主演。中年男性が少年の初恋みたいなタチの悪いスケベ心で社交ダンス教室に足を踏み入れ、ダンスを通じて人生に張りを取り戻す話。とても綺麗な映画だった。観ながらちょいちょい茶々を入れてたんだけど、照れ隠しにそんなことをしている自分が恥ずかしくなるくらい気持ちの良い映画だった。役所広司の役がね〜〜〜〜〜〜。良いんですわ。

真面目で優しくて諦めない男。観ていてなんども羨ましいと思った。真面目って良いなあ。おべんちゃらを言わないところも良い。彼は誰であっても対等で人を下げたりしない。ペアダンスを踊る要素として誠実さがいかに大事かを繰り返し描いているように見えた。自分の理想像しか認めない青木(竹中直人)、他者から見て完璧に踊ることにしか意味を見出せなかった岸本(草刈民代)、他人を否定するところから入る高橋(渡辺えり子)。ペアで踊る時に必要なものを軽んじている登場人物全員が必ずしっぺ返しを食らう。反対に、グループレッスンの三人(主役の杉本・田口・服部)は動機は違えど、相手と共に踊る喜びを学んでいくことでドンドン楽しさに目覚めて幸せになっていく。

特に良いなぁと思ったのは、あたりがキツく憎まれ口を叩く高橋でさえペアで踊る幸せを知っているところ。そのためなら過労で倒れるまでがんばれてしまう一生懸命な人間性は登場人物の誰よりも強いし、絶対に幸せになってくれ〜と願うばかりだった。またメインヒロイン岸本は最初、かつてのパートナーを見返すだけのために最強の相手を探すのだけど、主役の杉本・高橋ペアへのレッスンを通して共に踊る意味を学び直していく。最初から最強の踊り相手を見つけるのではなくて、ダンスと共にお互い最強のペアとなっていくというか、相互作用の力強さを感じた。またそこらへんの事情と告白のシーンが真剣にレッスンをして、生徒と成果を喜んだりする顔でさ〜。良すぎた。幸せ。



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