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2000円で量感たっぷりの低域とキレの良い高域!音質カスタマイズも可能で超高コスパな逸品「KZ Castor」レビュー

はじめに


AS16 Proを買ってからというもの、中華イヤホンの魅力にすっかりハマってしまい、毎日アリエクを彷徨い続ける亡霊と化した筆者です。

そんな人を虜にしてやまない中華イヤホンですが、この度新たなイヤホンをお迎えしました。
その名は「KZ Castor」。
厳密には「KZ Castor(Harman Target with Improved Bass Version)」です。
名前の後ろに付いてる説明は何かというと、元々Castorはハーマンターゲット(ハーマン・カーブ)(※)を狙ったチューニングが施されており、そちらに準拠したモデルも存在するのですが、今回紹介するのはそのハーマン・カーブに対し更に低域を強調したモデルになります。

(※)ハーマン・ターゲット(ハーマン・カーブ)
ハーマン・オーディオ社が提唱した、人間の聴覚特性に合わせて音がフラットに聴こえるように感じる周波数特性を定義したもの。

Castorはドライバに2基のダイナミックドライバを搭載した2DDのモデルで、1基は20-200Hzの低域専用の10mm、もう1基は中高域を補う8mmという特徴的な構成になっています。
構成からも想像できるように、低域により大口径のドライバが用いられていることから低域の豊かさが期待できます。
また、Castorにはシェルに備え付けられたスイッチによって更に特性をカスタマイズすることができる機能があり、よりリスナーの好みに合わせたチューニングをすることが可能なことも特徴です。

AliExpressで2100円ほどで購入しました。セール時などはもう少し安い値段で買えることもあるようです。

外観

それでは外観を見ていきましょう。まずは外箱から。

外箱

他のKZのイヤホンと同じくイヤホンのイラストと簡易的な説明が書かれたシンプルなものです。こういった共通化も低コスト化の一助になっているのかもしれません。

包みを外した状態。
内容物一覧。このケーブルは臭くなかったので常用できそうです。ただし、音質はいまいち
チューニングスイッチの説明とスイッチを動かすためのピン

中身はイヤホン本体、ケーブル(2pin-3.5mm)、シリコンイヤーピース(小、大)に加えてCastorではチューニングスイッチの解説書とスイッチ切り替え用のピンが追加で入っていました。
説明書には5つの設定例が紹介されていますが、実際には4つのスイッチ全てが自由に設定可能です。自分の好みの設定を探してみましょう。

イヤホン本体。側面にあるのがチューニングスイッチ。
開放型のようにシェルに穴が開いているのも特徴です
シェル外観

イヤホン本体はシェルがメタルとクリア素材の2重素材で成形されており、価格帯に見合わぬ高級感があります。濁りのないクリアなシェルはカスタムIEMのようで満足感が高いです。

音質

それでは肝心の音質について触れていきましょう。視聴環境は下記の通りです。

Windows PC → iBasso D-Zero Mk2 → Castor

その前にCastorのカスタマイズスイッチについて触れておきます。
カスタマイズスイッチは左から順に低域~高域のカスタマイズスイッチとなっており、それぞれをオンオフすることによって特性を変化させられます。
今回はカスタマイズの恩恵を感じられるようセッティングは1111(すべてオンにした状態)で試聴しています。

・高域

専用のドライバを用いているためか、低域重視のモデルとは思えないほどしっかりとした音。一言で言ってクリア。非常に精細とは言えなくとも(価格的にそれを期待するのが難しいのはもちろん理解しています)帯域を表現するのに十分なニュアンスを捉えられており、それでいて刺さりなどもあまり感じず、しつこくない、煌びやかな音色を奏でてくれています。

・中域

華やかな高域と比べると控えめと言った印象です。低域と高域が山になっているとすると、中域は丁度その間の谷にいるような音で、一歩間違えると双方に埋もれてしまいそうな音。ですが、そのギリギリの絶妙な立ち位置でボーカルやギターなどの音色も十分に表現されており、高域や低域を引き立てるいぶし銀の活躍をしてくれています。控えめではあるものの、出音そのものは比較的クリアであり、聴いていてとても気持ちの良い音です。

・低域

このモデルの真髄ともいえる領域です。
専用の10mmドライバがこれでもかと言ったほど大活躍しています。インナーイヤー型のイヤホンとは思えないほど豊かな低域は、キックからベースまでしっかりと表現してくれています。キックのパンチの強さもなかなかのものですが、特筆すべきはベースで、ベースが震わせる空気の振動までも表現しているようで、まるでライブハウスのモニターの前に立っているような感覚すら覚えます。

全体的な音の傾向としては低域強めのややドンシャリと言った音です。(低域が強調されているので当然ではありますが)
音場も価格帯からすれば比較的広く、空間的表現もある程度こなしてくれています。
また、これはKZの特徴かもしれませんが、付属のケーブルの表現力があまり高くないので、リケーブルをオススメします。自分は純銀4芯のKBEAR KBX4904を組み合わせ使っていますが、高域の表現や解像感が豊かになり非常に良いです。

総評


2000円でこの音が聴けるというのは本当に理解しがたいとすら言いたくなる出来でもはや価格破壊と言っていいレベルです。低域から高域まで元気に鳴らしてくれるので、とてもリスニングが楽しくなります。
更に音質カスタマイズ機能を備えているので、日々の気分や好みに合わせたチューニングを施して都度新鮮な体験が得られるのも良いです。(自分としては1111がベストだとは思いますが)
とにかく騙されたと思ってまずは聴いてみてほしい。こうしてレビューを書きたくなるほどの衝動に突き動かされる理由が自ずとわかるはずです。

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