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大日本弓道會と「よそく流」の謎

戦前に実在した、大日本弓道会と同じ名前を名乗る不思議な団体の存在について、全弓連注意喚起をしているので調べてみた。

まず、実在した本物の大日本弓道会については、以下の論文に詳しくまとめられている。現代弓道の歴史を知る上でも、とても興味深い内容です。

大日本弓道会の成立・展開と組織形態

五賀友継 Advance Publication by J-STAGE Published online 2018/1/19

一方で、話題になっている不思議な大日本弓道會とは以下のWebサイトの組織である。
Dai Nippon Kyudo Kai 大日本弓道會

組織の代表者はアメリカ人のようだが、国税局の法人番号公表サイトによると、2024/2/28に一般社団法人として国内に登記されている。また、所在地の住所は、GMOが提供する新宿のバーチャルオフィスのようだ。

何を目的にしているのかは定かではないが、想像に難しくない。上記のwebサイトを眺めると、本団体は戦前に実在した大日本弓道会そのものであり、活発な海外進出を活動の特徴としているようだ。具体的には弓道を低コストで提供することをビジョンとしていて、有料のメンバーシップを募集している…

およそ80年前に解散した実在した組織を名乗ることが、法的にどのような問題があるのかはわからないが、少なくとも日本人であれば、まっとうな組織ではなさそうであることはすぐに気が付く。しかし、海外の方はその怪しさに気が付くことができるのだろうか?大丈夫だとは思うが心配である。
Webサイトには、阿波研造の写真や本多利實の名前がふんだんに使われている。これはオイゲン・ヘリゲルの『弓と禅』が世界的な名声を得たため、その本に登場しているレジェンダリーな弓道家を利用することで、海外で暮らす外国人にとって、伝統的な日本の弓道団体であることを印象付けるためであろう。ちなみに『弓と禅』はスティーブ・ジョブスの愛読書としても有名である。

そんな怪しい団体の怪しいWebサイトなのだが、一つだけどうしても気になることがある。それが「よそく流」だ。こんな弓道の流派はこれまで聞いたことがない。

それもそのはず「よそく流」とは、2023年にこの古くて新しい大日本弓道會により再興された流派だそうだ。

なぜだ。なぜ、そこだけオリジナリティーをだしてきたんだ??そして「よそく」ってなんだよ!「よそく」の語源って何なんだよ、気になるじゃないか!!やれやれ、謎は深まるばかりだ…

最後に、一つくらい役に立つかもしれない情報をお伝えします。
この大日本弓道會のWebサイトでは以下のような実在する文献についても引用しています。

そしてこの本を含め、古い文献を以下のサイトで全文参照することができるんです。
国立国会図書館デジタルコレクション (ndl.go.jp)
もちろんデジタル配信していない文献も多いですが、デジタル配信できる文献は年々増えています。アカウント登録をすることで、閲覧できる文献が増えますが、とりあえずアカウントを作らなくても閲覧できる文献も結構あります。

弓道に関する文献もいろいろあって、例えばこんなのとかは、イラストを見てるだけでも時代を感じて面白いです。
女子弓道指針 - 国立国会図書館デジタルコレクション (ndl.go.jp)

続きの記事も書きました!


最後まで読んでくれてありがとうございます。
今後も弓道に関することを記事にしていきたいと思います。
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