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コロラド博士のJack in The Box No.001 2023/07/12(GMT) 日本版コルジ・ローゼンタール・ボックスの作り方

1. 世界から落後した日本のCOVID-19対策

SARS-CoV-2による感染症、COVID-19がパンデミックを起こして既に4年目に入りますが日本では、対策が著しく遅れており、世界で最も社会の正常化が遅れています。とくにο株(オミクロン株)がドミナント(主たる勢力を占める)となって以降、日本は、統計上だけでも世界でも最も多くの人が死亡する(人口あたり死亡数)集団となっており状況は悪化の一方です。

12ヶ月累計COVID-19死者数の推移 OWID
日本の統計は、2023/05/08以降、事実上消滅している

日本では、ο株対策に大失敗しており、スウェーデンと並んで統計上でも状態が急速に悪化しています。

日本では、エアロゾル感染対策、とくに「空気感染」=サブミクロン級エアロゾル対策が著しく劣後しており、その対策が急務です。エアロゾル感染対策は、感染性エアロゾル対策を意味し、それは数十ミクロンの大きさである感染性飛沫対策と感染性のサブミクロン(数百nm〜数um)エアロゾル対策となります。

ここでは、能動的エアロゾル対策(空気中のエアロゾルを除去する)の最も有力な手段である高性能大流量空気清浄機、コルジ・ローゼンタール・ボックス(Corsi–Rosenthal Box)の日本版の作成方法を書きます。

緊急性が高い為Corsi–Rosenthal Boxの由来や詳細、要求性能等は、後日noteの記事として、今回は、作り方の記事に単純化します。詳細についてお急ぎの方は、筆者のTwitter発言のツリーをお読みください。

コルジ・ローゼンタール・ボックスについて詳細 筆者Tweet

2. とにかく作ろう 材料編


現在、筆者は、合衆国版の原設計Corsi–Rosenthal Boxを4/12以降、3ヶ月間運転評価しており、日本版コルジ・ローゼンタール・ボックスを2ヶ月間運転評価しています。双方ともに良好な運転実績であり、とくに日本で安く、手軽に、大量に製作可能な日本版コルジ・ローゼンタール・ボックスについては、すべての要求性能を満たしました。

必要な材料は、十分な濾過の容量を持つHEPAフィルター(High Efficiency Particulate Air Filter)と大流量のファンが主で、ほかに補助部材を少々です。

筆者の場合、下記の材料を使いました。基本的にAmazon.comとスーパーマーケットや100円ショップですべて揃うことを前提としています。

材料一覧

1. HEPAフィルター

Blue Pure 221 231 211 3610 用フィルター ブルーピュア200シリーズ交換用 フィルター 3800円Amazon(HEPAであるなら互換品で構わない)

2. ボックスファン

THREEUP スリーアップ DCモーター搭載 ボックスファン ナチュラルウッド BF-T1812-NW 2978円Amazon(色は何でも良い)

3. 保護用プレフィルター

換気扇フィルター 30X30cm 4枚以上
ダイソーやスーパーにあるもの 百円から数百円程度

4. 段ボール

フィルター底面の蓋とファンとフィルターの隙間潰しになるなら何でも良い。AmazonやMonotaro等通販の箱が手軽
0円

5. 粘着テープ

荷造り用の布テープOPPテープ
100円前後

6. ドラフティングテープ(仮止め用紙テープ)

Amazonや文具店、ホームセンターなど
50円前後

7. 必要な工具

はさみとカッターのみ(文房具で十分)

材料費総額7500円程度。8000円以内で調達できれば上々です。ファンやフィルターは同等品でしたら何でも構いません。後日紹介しますが、小型化したモバイルタイプも知己のある医療者により試作されています


材料1 この中で使ったのは主フィルターとプレフィルターのみ
プレフィルターは、換気扇フィルターで十分(写真は空気清浄機用の良いもの)
HEPAフィルターの上に乗っているのは、使い物にならなかったトラック用ラジエーターファン


材料2 プレフィルター
濾過性能に関係ないので何でも良い
材料3 ボックスファン
HEPAフィルターに対してやや小さいのでもっと大きいほうが良い。
送風量は十分なので段ボールでアジャスターをつくって挟んだ

3. とにかく作ろう(製作編)


製作途中の写真を撮るまでもなく15分で完成してしまうNHKの「できるかな」程度の工作ですので、完成品の写真で説明します。


上面
ファンをフィルターの上に載せてテープで「隙間なく」固定する
このファンは、フィルターの開口径より少し小さいので段ボールで口径差を補正している


底面
底面は、段ボールで蓋をしてテープで「隙間なく」固定する


側面
側面は、本来何もしなくてよいがHEPAフィルターに埃が入り込まないように保護用の荒いプレフィルターを隙間なく巻いた
プレフィルターが小さい為にドラフトテープで縛っているが、30cm角の換気扇フィルターなら4面を4枚で覆える為に工作はずっと楽になる


出来上がり
だいたい15〜20分で完成する。工具はハサミとカッターナイフのみで、小学生でも作ることができる
ファンは、フィルターの中か外へ排気する向きで、2ヶ月運転後も全く埃が入り込んでいない


4. 性能評価

今回作成した日本版コルジ・ローゼンタール・ボックスは、最大風量で1時間あたり約250立方メートルの空気を濾過できます。合衆国版は、とても大きい為に1時間あたり1500立方メートルの空気を濾過できます。

日本版は、HEPAフィルターを使っていますので空気中のサブミクロンエアロゾルを一回の濾過で99.9%以上除去できます。これは合衆国版がMERV13を使っている為に精々60%(50%と評価すべき)しか除去できないのに対して二倍近い性能です。

したがって、捕集効率と濾過容量から、日本版コルジ・ローゼンタール・ボックスは、合衆国版の1/3の濾過性能を持っている事になります。

音は、合衆国版は大口径低速ファンを使っているので静かですが、日本版は、中口径高速ファンを使っている為に最大風量(定格出力)では、やや音が気になります。

日本の小中高校の教室は、200立方メートル以下が大多数ですので、合衆国版は2台設置すれば十分ですが、日本版は、理想的には8台、現実的には4〜5台程度運転し、人がいる間は常に運転していることが求められます。

一般家庭では人が集まるLDKで日本版を1台、終日運転すれば防御力は相当に高まります。

診療所などでは、待合室、診察室、調剤室、検査室にそれぞれ一台ずつ設置して常時運転すれば十分でしょう。

一般家庭には、日本版が2台もあれば十分と思います。

寿命は、現在評価中ですが、ファンは1年程度余裕でもつと思われますし、プレフィルターを取り付けたおかげで2ヶ月連続運転後もHEPAフィルターは殆ど汚れていません。したがって、下記を想定しています。

プレフィルターは汚れれば交換

HEPAフィルターは1〜2年での交換を目安

ファンは、1〜3年程度で異音がしたり、回りにくくなれば交換

またHEPAフィルターが折り畳み式で組み立てると丈夫ですから合衆国版に比して大幅に頑丈です。子供が触ったり落とした程度ではまず壊れません。そのため、日常的に持ち運んで移動させています。合衆国版は、バラバラになったり破れたりしそうなので設置したら動かしたくありません。

5. 重要な能動的エアロゾル対策

エアロゾル対策は、受動的エアロゾル対策と能動的エアロゾル対策の二つにわけられます。

受動的エアロゾル対策

マスク着用 エアロゾルを出さない、吸い込まない

能動的エアロゾル対策

空気清浄 エアロゾルを取り除く
換気 空気をエアロゾルごと交換する(空調と干渉するし効率が悪い)
殺菌 紫外線やオゾンによりエアロゾル中のウイルスや菌を殺す(高コスト・安全性に課題)


家庭のような小規模の集団でしたら、空気清浄機の運転でエアロゾル対策は十分で、感染者が出た場合は、隔離とマスク着用を併用すればよいです。

学校の教室のように数十人の人が入る場所では、第一に発症者は、NAAT(核酸増幅検査, PCR検査などのこと)で陰性を確認できるまでは休ませることが第一です。RAT(迅速抗原検査)は、きわめて感度が低い為に非感染の証明には全く使えません。あくまで発症した人を陽性が出るまで何度でも検査して、抗ウイルス剤の発症後72時間以内投与につなげる為のものです

その上で、Surge(波)が発生する前ならば空気清浄機の常時運転のみで集団はほぼ安全に保たれます。もちろん、マスク着用は推奨されますが必須ではありません。

Surgeが始まったときは、能動的エアロゾル対策=空気清浄機の常時運転に加えて受動的エアロゾル対策であるマスク着用が強く求められます。そうであってもマスクを着用できない人が少数ならば能動的エアロゾル対策で集団を守ることが出来ます。この場合も、可能な限り全員マスク着用すべきです。

体育などスポーツ中にマスク着用することは無理があり、体育館などは、大量の空気清浄機と常時換気で能動的エアロゾル対策をした上で社会的距離の確保などを併用することになります。

屋外では、社会的距離を確保すれば十分です。

接触を伴うスポーツ(コンタクトスポーツ)の場合は、これだけでは不十分ですが、合衆国では実績がありますので調べると良いでしょう。(筆者は、現在手が回りません。)

合衆国疾病予防管理センターは、空気清浄機の設置、紫外線殺菌灯の設置など能動的エアロゾル対策を求めおり、連邦予算での対策を進めています。しかし、とても間に合わないので合衆国市民は、子供を守る為に学校にCorsi–Rosenthal Boxを持ち寄ることで学校の安全、地域の安全を守っています。

Corsi–Rosenthal Box”で動画検索すると、約2万件の動画がヒットします。それほどにCorsi–Rosenthal Boxは、日本以外では、当たり前のものになっています。

日本では、能動的エアロゾル対策をほとんどしていないだけでなく、受動的エアロゾル対策であるマスク着用について岸田首相の趣味で子供からマスクを剥がすという丸裸化をすすめてきました。

結果、日本では9th Surgeが全国的に5月以降始まっており、先行する沖縄県、北海道では社会と医療がともに強いウイルスの圧力を受けています。とくに沖縄では医療が破綻する状況に至っています。

学校・幼保は、パンデミックの爆心(エピセンター)になりやすく、じっさい、学校・幼保から家庭に持ち込まれ、更に会社や老健施設に持ち込まれて社会を停止させることが日本でのみ起こっています。

行政は全くあてになりませんので、住民の自決権としても能動的エアロゾル対策である、日本版コルジ・ローゼンタール・ボックスの普及を進めるべきと考えます。

今回はここまでです。次回以降、合衆国版Corsi–Rosenthal Boxの解説や、日本版の小型化などのバリエージョン、日本では能動的エアロゾル対策のパイオニアであるクレアウィンフィルターのご紹介などすすめてゆこうと考えています。

お問い合わせやご質問があれば、筆者のTwitterアカウントまでお寄せください。


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