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コロラド博士のJack in The Box No.003 2023/07/17(GMT) 日本版モバイル・コルジ・ローゼンタール・ボックス(Corsi–Rosenthal Box)の紹介

1. お外で、用務先で能動的エアロゾル対策

日本の市場に最適化した、日本版コルジ・ローゼンタール・ボックスの製作にいては、先日の記事でご紹介しました。

日本版は、日本の市場と社会に最適化したものです。大きさもボストンバッグに入る程度ですから持ち運び出来ますが、電源がDC12Vの為、ちょうどよい電池がありません。鉛シールバッテリですと重い上に持ち込み制限で持ち込めない場面があり得ます。5V USB電源対応のボックスファン(トップランド 卓上扇風機 SF-DFB10)を使えば、USBモバイルバッテリで運転できますが、やや大きい点は変わりません。

やはりモバイル向けに特化した高性能大流量空気清浄機を新たに製作する必要があります。

使う場面は、新幹線や航空機などでの移動中、用務先で十分な感染性エアロゾル対策がない場合、自分だけでも守るなどで、現在の日本では必須アイテムといえます。

故に、次の概要が考えられます。

軽くて小さいこと

鉄道のボックス席程度を防護する能力

モバイルバッテリなどの飛行機に持ち込める電源対応

バッテリが長時間の旅行に耐える低消費電力

周りに迷惑にならない程度の静音

フィルター性能に妥協はしない(HEPA)

製作費8000円以内

中学生程度ならだれでも簡単につくれること

以上の要求概要で試作するにもお金が枯渇しているなと考えていたところ、医療者、うじーさんがドンピシャリの素晴らしいモバイル空気清浄機を試作、運用試験中でした。

本稿では、うじーさん考案の日本版モバイル・コルジ・ローゼンタール・シリンダ(円筒)をご紹介します。

ご本人了解の上でツイートを引用してゆきます。

2. うじーさん考案日本版モバイル・コルジ・ローゼンタール・シリンダ

うじーさんが試作・運用試験しているモバイル空気清浄機について、ツイートを使って紹介します。

2023/07/10 1 概要 
定格118CFMのファンなので200立方メートル/時の風量となる


2023/07/10 2 性能評価 
パーティクル・カウンターでエアロゾルの減衰を測定している



2023/07/10 4 保護ネットの取り付け
保護ガードの付いているファンの場合は、必須ではない


2023/07/10 5 ファンの取り付け
ファンとフィルターの密着は最も重要なのでテープでがんじがらめにしても良い


2023/07/10 6 材料


2023/07/11 拡大派生型
より大きなHEPAフィルターを使っている
「まりんとメラン」に出てくる暗殺モノマキアみたい


このモバイルフィルタも日本で大きく発達しているオシャレな小型空気清浄機の交換用HEPAフィルター(High Efficiency Particulate Air Filter)を使っています。

また音が大きくなりますが、強力な装置内蔵用冷却ファンを使っている為に風量が大きく、筆者の日本版コルジ・ローゼンタール・ボックスに近い濾過容量を持つと考えられます。

小型且つ高性能で、USBモバイルバッテリ駆動を実現している為、無理をすれば据置型としても使えます。

うじーさんは、風量測定とサブミクロン粒子除去能力の実測で性能評価もされていますが結果はかなり優秀で自家用車、バス、鉄道、航空機などでの移動中の防護に実用的です。

3. 実用化に向けた改良案

うじーさん考案のこの素晴らしいモバイル型は、まだ試作段階が故に下記の弱点があります。

1) フィルタが小さい為フィルタに対して濾過流量が過大となりフィルタの寿命に不安がある

2) 消費電力が大きくモバイルバッテリが大容量化する(機内持ち込みなどで不都合)

3) 音がやや大きい

4) 部品点数が多過ぎる

5) 費用がやや過大

ここでは、モバイル用途に限定して、性能余裕をバッサリ切り落とし、上記5点の課題を解決する案を出します。本来は、改良型を試作・運用試験した上で記事にすべきですが事態が緊急を要する為、改良案を書くに留めます。

改良案

ファンを5V USB電源DCファンに交換する

風量は、大幅に減少する(目標は1/3〜1/2)

フィルタに負担がかからない

消費電力が下がる、静音、部品点数が4〜5点になる

材料費が5000円以内で済む

一方で、筆者が持つ5V USBファンでは、組み込み前の風量が30〜40立方メートル/時となる為、HEPAフィルターによる損失を考えると新幹線や飛行機の二人座席分の空気を1時間に5回濾過できるのが精いっぱいです。これでは能力不足です。

筆者が2年間NASやMac miniの冷却の為に回し続けてきた5V USBファン
2年間使い続けてきたため、埃でかなり汚れている


そこで12cm口径のUSBファンを探しました。すると次の製品が見つかりました。

GROOVY グルービー

BIG-FAN120U for Men [USB接続 ケースファン 120mm]


869円 Yodobashi.com

接続:USB・Aタイプ

電源:5V/0.32A

回転数:1,900rpm

風量:69CFM

ノイズ:31dB

サイズ:横122×縦122×厚さ25 (mm) 


風量が69CFM(69立方フィート/分)ですから、117立方メートル/時となり、損失を考えても60〜80立方メートル/時程度は達成できそうです。これならば新幹線や飛行機の二人席ならば1時間あたり10回の濾過が出来そうです

一方で、4人掛けのボックスシートには、やや能力不足となります。

うじーさんが使われたファンは、AC100V電源で118CFM(200立方メートル/時)ですからこのファンは、スペック上は、約6割の風量を持ちます。

但し、あくまでカタログスペックですので実測しておらず製作して、性能評価せねばはっきりとしたことは言えません。

CFM(立方フィート/分)というヤードポンド法の邪悪な単位は、こちらのサイトでMKS単位系に換算できます。

4. みんなで作ってみよう

この小型モバイル・コルジ・ローゼンタール・シリンダは、旅行中、外出先で身を守る為の有力な道具です。HEPAは、MERV13と異なり1回の濾過で99.97%以上のサブミクロン級(300nm以上)エアロゾルを除去できるため、感染性エアロゾルはほぼ除去できると考えてよいです。

折角、小型HEPAフィルタ普及国に住んでいますので、さまざまな工夫で自分に合った空気清浄機を作ってみてはいかがでしょうか。

重要なのは、HEPAフィルターであること、ファンの風量が十分に大きい(目安として100立方メートル/時以上)、ファンとフィルターを密着出来ること(接着剤は不可)です。

またHEPAフィルターの寿命を延ばすには、第一回で示したように換気扇フィルターなどの目の粗い保護フィルターを上から巻き付ければよいです。

ご質問等がありましたら、筆者のTwitterアカウントまでお寄せください。


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