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オフシーズン展望:Redsox野手編

どうも、bos-bosです。

レッドソックスお疲れ様。ジェットコースターに乗ったようなとっても楽しいシーズンをありがとうございます。一ファンとして今季を軽く振り返りつつ、オフシーズンの展望をしていきたいと思います。

今回は野手編です。

今季野手陣の雑感

主力選手で19年からチームに在籍していたのはザンダー・ボガーツ(Xander Bogaerts)とラファエル・デバース(Rafael Devers)、そしてJD.マルティネス(J.D. Martinez)とクリスチャン・バスケス(Christian Vazquez)のみ。前評判通りに打線が活躍してくれました。

BOS13(Ellsbury,Perdoia,Ortiz)しかり、打線は主軸3人が揃っていれば一定水準の維持は可能だと、改めて思いました。バスケスもここ2年程トレードの噂がありましたが、ハート&ソウルとして必要不可欠な存在でした。

BloomCBOのオフの補強もうまくハマりました。キケ・ヘルナンデス(Kike Hernandez)はセンターと二塁の2ポジションをこなして、ほぼ彼ひとりがロスターの柔軟性に大きな影響をもたしたと言っていい。rWAR4.9はボガーツと並んでチームトップの成績も納得です。後半戦には打撃が覚醒し、さらにプレーオフでの猛打は歴史的でした。

ハンター・レンフロー(Hunter Renfroe)は打点やOPSで自己ベストを更新して攻守に貢献。シルバースラッガー賞のファイナリストにも選ばれて、おそらくゴールドグラブ賞のファイナリストにも選出されるはずです。打撃もさることながら、キケとともに強力な外野守備陣の形成に貢献。

レイズほどでなくとも、さすがレイズのフロント出身のブルームらしい補強となりました。

シーズン途中に補強したカイル・シュワーバー(Kyle Schwarber)の補強もハマりました。ほとんど守ったことのない一塁守備もなんとかこなしてレフトと兼任しつつ、キケとの1.2番コンビで貢献してくれました。クラブハウス内でも好影響を与えて、ファンの支持もありました。ここまで気難しいボストンの気質にうまくハマったのもあまりなかったのでは。来季は相互オプションとなっていてFAは至極当たり前。本人も再契約を望んでいて、僕もファン心理として残留してほしい。

ただ一方で、オフに補強したもうひとりのUT戦士マーウィン・ゴンザレス(Marwin Gonzalez)は打撃不振がはだはだしくシーズン途中にDFA。シーズン最後はALCSで相手側のアストロズベンチで応援していました。また、アンドリュー・ベニンテンディ(Andrew Benintendi)の交換相手としてやってきたフランチー・コーデロ(Franchy Cordero)は空回り。シーズン終了を待たずにDFAされてしまいました。ウェーバーで欲しがるチームがなく残留となったこともまた寂しい。

若手の突き上げもジャレン・デュラン(Jarren Duran)のメジャー初昇格は対応に苦戦して40三振4四球。ジーター・ダウンズ(Jeter Downs)は初のAAAに対応できずにメジャー昇格すらもおあずけ(断っておくと、19年にAAで43打席のみでコロナ禍により1年間実戦なしから、いきなりAAAでプレーしていたのだから適応できないのもごもっともだと言いたい)。

そういうわけで、選手層の厚みに関しては課題が残りました(マイケル・チェイビス(Michael Chavis)はピッツバーグで応援しています)。シーズン終盤は「オールドフレンド」のトラビス・ショウ(Travis Shaw)ホゼ・イグレシアス(Jose Iglesias)の2人を拾ってきてやりくりすることになりました。結果的にはうまくハマりましたけど。ただ、プレーオフではJD.マルティネス(J.D. Martinez)の負傷欠場を除くと、スタメン起用は捕手の併用以外固定。なおかつ、今季ラストゲームとなったALCS第6戦の最後は、代打攻勢を仕掛けた結果ボビー・ダルベック(Bobby Dalbec)がやったことのない二塁を守ることに。

主力組でFAとなるのは、オプトアウト条項を持つJD.マルティネスとそれぞれオプションを持つシュワーバーとバスケスぐらいです。JD.マルティネスはとりあえず残留するという前提で、ポイントとなるのは要は2つ。①FAとなるKyle Schwarbaerとの再契約の判断②戦力層の充実

①カイル・シュワーバー(Kyle Schwarber)との再契約の判断

1.契約規模とJD.マルティネスとの比較

一番の問題はぜいたく税です。

まず契約規模を考えると、昨季のATLオズーナ(Marcel Ozuna)とその前年にCINカステヤノス(Nick Castellanos)が契約した4年6400万ドルが基準となるでしょう。

オフシーズン展望Redsox野手編(Schwarber成績比較)

しかし、今オフは下位チームが積極的に補強に動いてきそうなのは市場にとってプラス材料。一方で、外野両翼の人材はまずまず豊富で、一塁手にも大物がいますがこちらは需要がそこまでないように感じます。そもそもオズーナはコロナ禍もあって相場より安値でサインし、そもそもカステヤノスよりもシュワーバーの方が評価は高いだろうといった感じ。ただ、争奪戦になるのかはちょっとわかりかねます。

とりあえず、来季のみを考えるとシュワーバーと再契約(年平均1600万ドル?)をしたとしても、残り予算で先発投手を獲得できます。終盤に課題となったブルペン陣をどこまで補強するのかにも左右されるでしょう。

オフに控える労使協定の合意を待たなければ23年以降のぜいたく税について考えるのは鬼も笑う話。来オフにはボガーツがオプトアウト条項の権利を持ち、JD.マルティネスと正捕手のバスケス、そしてエースのイオバルディ(Nathan Eovaldi)が契約満了となります。若手の突き上げにも期待がかかるので、変化の年になる1つの目安としているはず。

JD.マルティネスとシュワーバーを比較した場合、打撃の完成度、安定感は前者が上回っているといって良いかと思います。一方で、シュワーバーの方が5歳も若い。前者は年齢を重なるにつれてさらに指名打者専任となりそうで、ケガのリスクも。後者の一塁とレフトを守れる点は優位です。

またもしかすると、ナ・リーグに指名打者が導入されれば、引手あまたとなってJD.マルティネス流出のリスクも大きくなる可能性も考慮しなければいけないかも。そうなると、シュワーバー再契約はアイデアとしてアリかなと感じます。

ただ、オーナーは出すときは出すぞという気概の持ち主であり、ブルームCBOが信頼を勝ち取ればまたぜいたく税を支払うことを躊躇しないでしょう。23年以降についてはまだ不確定な要素が多い。

2.プレイタイムとロスター構成

シュワーバーの豪打は間違いなく大きな戦力。キケとの1.2番コンビは魅力的ですし、開幕当初は2番を打っていたアレックス・バーデュゴ(Alex Verdugo)が5もしくは6番に回り「巧打の左打者」が打線のつながりを良くしてくれる点も大きなプラスになります。

一塁守備は急造だったので、まだ成長の余地があると信じています。そもそもレギュラー格だったダルベックがDRS-7と守備には課題があり、大きな問題にはなりませんでした。また、シュワーバーは元々捕手であり、ワンバウンド送球への対応は無難にこなしてように見えました。三遊間がボガデバコンビなので重要。

仮に、来季シュワーバーが残留した場合の起用法を考えます。ベストシナリオとして有望株デュランがレギュラー獲得、キケは二塁をメインに起用としています。

オフシーズン展望Redsox野手編(Schwarber残留とプレイタイムのシェア)

シュワーバーはダルベックとともに一塁での出場を分け合う形。外野手としてのオプションも捨てずに起用します。JD.マルティネスは毎年外野手としても出場しているので、DHと外野守備をシェアするような起用法になると思います。なので、DHなしのナ・リーグ主催試合にも対応できます。

また、一塁にはチーム内でもトッププロスペクトのトリスタン・カサス(Tristan Casa)銀メダリストが控えています。この点が問題に挙がりますが、少なくとも来季はポジションを明け渡す必要はないと思います。まだ来季で22歳、AAAに昇格したものの打席数は約40ほど。今オフは40人枠ロスターに加える必要もありませんので、AAAでもう1年間経験を積ませ、ケガ人が出た場合のみオプションとして考えればいいでしょう。

ただ、将来的には一塁のレギュラーに育ってほしい。その場合は、シュワーバーが2年目以降ポジションを変わる必要があります。22年でJD.マルティネスがFAとなるので、彼との再契約を見送り指名打者をメインで起用するのか。もしくは2人を維持して、シュワーバーはレフトのポジションに戻すのか。Bloomは守備力を重視しているような印象があります。

オフシーズン展望Redsox野手編(2023年以降の起用法)

本人がどのポジション、役割でのプレーを望んでいるか。一塁手としてやりがいを感じたか、やっぱり自分は外野(レフト)の選手だ、今の時代複数ポジションは当たり前だ、本当はまだ捕手に未練があるんだなどは、単純に本人の気持ち次第です。大型契約を狙う選手なので、ポジションの固定を望むか。元カブス戦士なので複数ポジションをこなすことへの抵抗感はあまりなさそうですが。

②戦力層の充実

戦力層の充実をどうしていくかという課題もシュワーバーとの再契約に影響を与えます。今季の戦力層については先ほど述べた通りですが、別に悲観しているわけではありません。

今シーズンの戦いをみた感想は、レギュラーシーズンを戦うための必要最低限の選手層はありましたが、短期決戦のプレーオフで切れるカードはあまりなかったという印象です。不振のレンフローをスタメン起用し続けるしかなかった。守備の貢献度もあるし、そもそもダルベックがいて、デュランの成長がベストシナリオだったか。

(プレーオフでも日ごとにスタメンを入れ替えていたのはLADドジャースとSFジャイアンツのみ。特にALはアストロズとレッドソックスがほぼ固定していた印象)

そもそも、シーズンの大半はベンチ入り野手が3人のみでした。基本的にシーズン中は勝負所での代打起用などの采配はナショナルリーグではないので必要ない。延長戦もタイブレーク制が継続されていて不安は少ない。主力の休養日を作り、プレイタイムを管理して負担を減らすだけの戦力層と柔軟性があれば十分との考えだったのでしょう。ああ、コーデロよ。

主力選手はほとんど20代とあって健康面の不安なく戦えました。逆に、エンゼルスはトラウトとレンドーンの故障離脱で戦力層の薄さがはっきりと出たといったところ。

ただ、思い返すのは2014年のBOSです。前年のワールドチャンピオンはスター選手に頼らない陣容でしたが、翌年は疲労のたまったベテラン陣が故障離脱し、有望株ボガーツとJBJことブラッドリーJr(Jackie Bradley Jr)がメジャーの適応に苦しむなど戦力層が大きく低下。再び最下位に沈みました。そして、オフにサンドバルとハンリーに大型契約を与えてしまう。



当時ほどの不安はありませんが、最悪のシナリオとしては35歳を迎えるJD.マルティネスが故障、デュランなど有望株は適応できず、また、アローヨなどはケガの不安もあります。自己ベストに近い数字を残した選手たちが、勢いを維持できず終わるなんてことも。同じような事態にならないようにオプションを持つ必要性があるかもしれません。

ただ、ベンチ野手3人なおかつシュワーバーと再契約と仮定するとできることはほぼありません。捕手プラウェッキ(Kevin Plawecki)と内野の控えダルベックが確定。2年目のデュランを使うのならばアローヨと出場機会をシェアするような形になるでしょう。ケガ人が出た場合は、捕手のウォン(Connor Wong)やUT選手のアラウズ(Jonathan Arauz)でやりくりをし、結局は、ダウンズら有望株の成長に期待するしかないのかもしれません。

とりあえず、デュランの競争相手は必要。


最後にシュワーバーが残留した場合の起用法を改めて想定してみました。

オフシーズン展望Redsox野手編(プレイタイムの簡単な予想)

ダルベックとデュラン、アローヨのいずれかがブレイクして頭一つ抜け出せるかどうか。ダルベックは有望株時代に将来は一塁か外野に回るだろうと言われていて、プレーオフでは急造二塁も経験。今後はよりユーティリティー性(1B.3B.OFなど)を備えた選手になるかも。また、将来のセンター候補と目されるデュランですが、メジャーロスターに残ったとしても、「センター守備をこなせるピーダーソン(Joc Pedersoon)」のような選手になるのではとの予測もしています。

補足

JD.マルティネスは過去2年間で42試合にしか守備機会を得ていません。ただ本人はむしろ守りたがり。外野守備について以下の記事から詳しい話を要約して付け加えておきます。

シュワーバーがBOSでのデビューを飾った時、JD.マルティネスは10試合中8試合で外野手としてスタメン出場しています。しかしその間の成績は38打数5安打、打率.132OPS.432と苦戦しています。本人は「開幕前から準備をしていなかった中で、シーズン後半の8月に急遽外野でのプレーを増やすのは難しい」また、「指名打者としてのルーティンも慣れるのに時間がかかった」とも述べています。

“It’s tough when you don’t do it all year and you’re out there (eight) out of 10 days in August, the hottest month of the year,” he said.
(Can the Boston Red Sox bring back both J.D. Martinez and Kyle Schwarber in 2022? It’s the biggest question facing the team entering the winterより引用)

オフの間にシュワーバーが一塁守備の向上に努め、なおかつJD.マルティネスも外野の守備機会増へ向けた準備をすれば、1年間戦えるのではとも思います。ケガが怖い。結局はこの2人の守備力とコンディションをどう評価するかが問題でしょうか。


おさらい

1.打線の軸となる選手が3人いれば、一定の質を維持できるはず。

2.ブルームのオフの補強は攻守ともに成功し、夏のデッドラインで獲得したシュワーバーもボストンにすぐさま適応。

3.シュワーバーとJD.マルティネスの共存はあっても1年のみ?

4.ロスターの柔軟な起用法と戦力層の充実

こんな感じでした。

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