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19. 電池に関する規則、規制

リチウムイオン二次電池を対象とした安全規格は、UL(Underwriters Laboratories Inc.)の規格がもっとも有名です。


ULは米国の民間団体であり、米国の公的な規格ではありませんが、米国、カナダで販売するためにはデファクト・スタンダードとも言うべきものです。

IECやJISなど、国際規格や日本の規格も、基本的にはUL規格をベースとしています。

ULの、リチウムイオン電池セルに関する規格としては、UL1642があり、電池パックとしてはUL2054など、用途に応じていくつかの規格があります。

国際規格としてはIEC61960がありますが、上述のごとく、UL1642をベースとした規格となっています。

日本電池工業会は独自のセルの安全基準を作成しています。

しかし、これは業界の基準であって、規格ではありません。

弊社ではUL1642認定品であることをセルの最低限の要求事項としており、その他、電池パックに使用する部材は可能な限りUL認定部品を使用しています。

リチウムイオン電池の安全性試験の項目として、釘刺し試験が行われることがあります。

セルの外部で短絡したときの試験はULなどの外部短絡試験で試験ができますが、しかし、セルの内部で短絡が発生したときには簡単に行える試験方法がありません。

円筒型リチウムイオン電池ではセル内部にPTC(大電流が流れると抵抗値が急速に大きくなり電流を阻止する。)を備えているのが一般的であり、外部短絡に対してはこれが作動するため、大きな事故にならないことが予想されます。

一方、セルの内部で短絡が発生した場合はセルに備わっているいろいろな安全機構が作動せず、短時間にセルのほぼ全エネルギーが放出されることとなります。

釘刺し試験は満充電状態のセルのほぼ中央付近に鉄製の釘を貫通させるもので、セルの内部短絡のシミュレーション試験であるといわれます。

しかし、釘の太さや釘挿入のスピードにより、試験結果が非常に大きく変わります。

このため、厳密さを要求される規格で、釘刺し試験が規定されることはありません。

しかし、非常に簡便にできる試験であるため、セルメーカーではセル生産ロットの安全性の確認試験に実施されることもあるようです。


輸出貿易管理令


日本においては主に、ハイテク製品をテロ支援国家などに輸出することを禁止する目的で、「外国為替及び外国貿易管理法」があり、輸出品の自己評価を行い、報告する義務があります。

リチウムイオン電池の該非判定基準は「輸出貿易管理令」別表第一の七の項(6)の二次電池、および「輸出貿易管理令別表第一及び外国為替令別表の規定に基づき貨物又は技術を定める省令」の第六条第五号ロで規定されています。これがいわゆるパラメータシートです。


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*2006年当時のお話をもとにしております。

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