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月とウサギ~松平璃子の見上げる景色~

 5月5日は松平璃子の誕生日。彼女は2018年夏の坂道合同オーディションに合格し、欅坂46の二期生となった。その個性を発揮し活躍する彼女は自身をウサギに例えることが多い。事実松平はウサギのようにくりっとした大きな目、白い肌を持っている。性格もウサギ同様人懐っこく、先輩の一期生、同期を強く慕っている。そんな松平がこれまで見上げてきたものを振り返る。

きっかけは代子

 松平とウサギは深く結びついている。その歴史はデビュー時から始まる。
2018年12月10日に日本武道館で行われたお見立て会において、松平は大事にしているシェリーメイのぬいぐるみを紹介しようと思ったが、著作権の関係で紹介できなかった。その代わりとして抜擢されたぬいぐるみが「代子(だいこ)」だ。

松平璃子①

 なぜクマのぬいぐるみの代わりがウサギなのか。真っ白なウサギのぬいぐるみである代子を持って自己紹介をする松平は一際異彩を放った。

目に留まった、松平の素質

 2019年2月18日、冠番組「欅って、書けない?」で初登場。著作権を考えたのか、限りなく小さな声で「シェリーメイ」と発言。いきなり笑いを取る。
 その後の放送でも「素質あるね」と言われたエピソードを繰り返したり、電流の単位を「デシベル」と間違えたり、豊富なエピソードで番組を盛り上げ、もはや松平は番組に必要不可欠な存在になった。

松平璃子②

松平璃子③

 画像は松平の父親のアンケート。父親の単身赴任が決まり、松平は「パパが奈良に行っても毎日メールするからね!」と言ったが、結局10年間1回も連絡しなかった、というエピソード。更にはアイドルになったことすら父親に伝えてないというエピソードには驚愕した。
 そんな彼女の、思いついたことをそのまま喋る素直さ、それで笑いを取る彼女の素質、バラエティー力は群を抜いている。彼女のキャラクター、個性の強さ。更には二期生で最高身長、小顔で目も大きくスタイルは抜群。彼女が好きなウサギのように誰よりも高く、誰よりも速くアイドルの道を駆け抜ける。
 しかし、ウサギの走る坂道は、決して楽ではなかった。

苦手なダンス

 2019年に入ってから、二期生も歌番組に出演する機会が少しずつ増えてきた。最新曲「黒い羊」を含め、既存曲は21人のフォーメーションを想定している。そのため一期生全員+二期生選抜の21人での出演が基本となる。その選抜に、松平が選ばれることは多くはなかった。
 欅坂の曲は高難度のダンスが多く、かつ曲に込められたメッセージを届ける表現力も求められる。したがって、ダンスに定評のある武元唯衣、小さいながらパフォーマンスの迫力がある森田ひかる、トーク力のある井上梨名、田村保乃、松田里奈などが選抜されるケースが多い。早くて2018年12月4日に歌番組初出演を果たした二期生がいる中、松平は二期生では最も遅い2019年7月24日の初出演となった。
 更に松平は9枚目シングル(発売未定)の選抜にも選ばれなかった。二期生9人の内7人が選抜入りしたことは松平に大きなショックを与えただろう。その悲しみは当時のブログでも綴られている。

『ファンの皆さんが応援してるね!と言って下さっているのに今回のシングルではその期待に応えることが出来なかったのが情けなくて悲しくて、ファンの方の期待に答えられない自分が情けなくて申し訳無い気持ちで一杯でした。』
(2019年9月17日公式ブログより引用https://www.keyakizaka46.com/s/k46o/diary/member/list?ima=0000&ct=49&dy=20190917)

 そして年末の紅白歌合戦。欅坂46は4年連続の出場を果たしたが、披露曲『不協和音』では松平の姿は無かった。欅坂の代表曲の一つ。激しいパフォーマンスとダンス。フォーメーションの『21人』という枠を勝ち取るのは、松平にとってあまりにも高いハードルだった。ウサギが人間になる為の、人間に捧げるごちそうは手元に無かった。

松平とロック

 ごちそうが無ければ自分を捨てて、という訳には行かないが、松平は自身をこう振り返っている。
 松平はロックが大好きで、好きなアーティストにUVERworld,ONE OK ROCK,THE ORAL CIGARETTESなどを挙げている。以前のインタビューでも、カッコいい、ロックな曲をやってみたい、だから欅坂以外考えらなかったと発言した。

私、音楽はいつも歌詞をじっくり読む方で、UVERworldさんとかONE OK ROCKさんとかのロックバンドばかり聴いていたんですね。すぐに人の裏とかを考えちゃうタイプなので、人間の黒い部分をちゃんと歌っている曲が好きで、だから初めて「サイレントマジョリティー」を観たとき、“こんなにカッコいいアイドルがいるんだ!?”ってビックリしたんですよ。「エキセントリック」でも堂々と靴を振り回して踊っている姿に“カッコいいなぁ”って思ったし、だからアイドルになれるなら欅坂46以外は考えられなかったんです。
(【インタビュー】松平璃子(欅坂46)「欅坂46以外は考えられなかった」自分を変えるべく飛び込んだアイドルへの道より引用https://rankingbox.jp/article/65807)

 サイレントマジョリティー、不協和音、エキセントリック、ガラスを割れ、彼女が踊りたい欅坂の曲は多数ある。現状、松平のやりたいことの多くは叶えられていない。

大好きな先輩

 思うようにいかない。そんな松平を支える一期生がいる。

松平璃子④

 その一人が長沢菜々香だ。彼女は初期から松平と行動を共にし、写真を撮ったり、遊びに行ったりする時間が非常に多かった。

いつもいつも優しく包み込んで下さる優しさに私はたくさん沢山甘えていました。
なーこさんが居てくれて本当に救われる事が沢山ありました。
仲良くしてくれて有難うございました。
(2020年4月02日公式ブログより引用https://www.keyakizaka46.com/s/k46o/diary/member/list?ima=0000&ct=49&dy=20200402)

 長沢も松平同様ダンスやパフォーマンスに苦手意識がある。悩む松平の気持ちに寄り添うことが出来るメンバーの一人だっただろう。


松平璃子⑥

 松平の憧れの一人が、鈴本美愉だ。鈴本は小さい体ながらそのダンス力はメンバー1で、多くの二期生の憧れだ。松平はブログやメッセージで何度も「鈴本さんは永遠の憧れ」と話す。ロックが好きな松平にとって、格好いいパフォーマンスを見せる鈴本は憧れなのだ。

 先輩の活躍、励ましが松平の活動の源になったのは間違いない。今は長沢と鈴本がグループを離れてしまったが、その意思は確実に受け継がれている。

好きを仕事に

無題

 最近松平はブログで、好きなファッションやロックバンドのことを投稿するようになり、松平の「好き」をアピールする姿勢が目立ってきた。それはかつて長沢がブログで漫画雑誌「りぼん」が好きだとアピールした結果、りぼんの連載の仕事を取ったことを思い出させる。ブログやメッセージの更新頻度も増加し、ファンを楽しませる努力や取り組みは、長沢の意思を継いでいるとみて間違いないだろう。


 今は少し結果が伴っていないかもしれない。だが地道な努力が実る日はいつかやってくるはずだ。時にウサギのようにハイペースで、時にカメのように地道な努力で坂道を駆け上がる。そんな松平の姿をステージで見たいファンは、私を含めて多いはずだ。

 一つでも多くの活動ができることを願う。松平の上る坂道が、少しでも長く、高いところへ続く道でありますように。

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