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小園を待ちわびて

エースが必要だ。

パリで開催されているオリンピックも見ずにベイスターズの連敗を直視している方、在野です。ここからなんとか持ち直していけると良いのですが。

今永投手の大リーグ移籍によって、やはり絶対的なエースが必要だと感じることが多くなりました。東克樹投手も安定した素晴らしい投球をしていますが、支配的投球とまでは言えないと思っています。そんな中、次世代のスーパーエース候補としてまず名前が挙がるのが2021年のドラフト1位、小園健太投手です。その小園選手の現在地を空振りを奪う能力から考えてみます。結論として、小園選手の本格化まではまだまだ時間がかかりそうです。

奪三振の重要性

はじめに、改めて奪三振能力の重要性を確認しておきましょう。フィールドに飛んだ打球は、30%程度がヒットになることが分かっています。もちろん、投手によって多少は差があるのですが、シーズンを通してみるとどの投手もこれくらいに収束します。また、フィールドに飛んだ打球はヒットになるだけでなく、打ち取った当たりであっても犠飛や守備陣のエラーによって失点につながることもありますので、フィールドにボールを飛ばさせない、つまり三振を奪うという結果が一番安全なのです。これが奪三振能力が重要である背景です。その中でも、空振り三振の方が差がつきやすく、見逃し三振の方は偶発的なものでありだいたいどの投手も同じくらいの割合になることが分かっています。

三振を取りやすい条件

ここでは特に空振り三振に着目して話を進めていきます。Kindoneさんの調査から、空振りを奪う割合と奪三振の割合には強い相関があることが分かります。ストレート系に限定した場合、空振りを取りやすい条件というのはある程度分かっており、球速が早いことと回転数が多い場合に空振りを取りやすいことが明らかになっています。特に縦方向の回転軸である場合にホップ成分が多くなり、ボールの軌道が平均的なものと比較して沈みにくいものになるため、バットがボールの下を切って空振りになりやすいです。

小園投手の場合

小園投手の投球(フォーシーム)は回転数が多いと繰り返し報道(たとえば、昨年オフのものルーキーの新人合同自主トレ時のもの)されており、高い空振りを奪う能力が期待されます。

しかし、以下の表に見るとおり、小園選手は空振りを奪うことが全然できていません。


表1 小園投手の投球-空振り関係

データはいずれもファームでの投球についてで、ソースはYahoo!の一球速報です。手動で集計していますので、多少の誤差にはご寛恕ください。

シーズン開始から8月2日の登板までで、空振り/投球の割合(スイングストライク率)は8.02%にすぎません。DELTA社で提供されているデータと比較すると、この数値はかなり低い方であることが分かります。有料のデータベースですので直接引用することはしませんが、一軍で小園投手に近い8%にいる多くの選手は技巧派と呼ばれる投手です。なお、この数値を直接参照できない場合には、Swing率×Whiffでも求めることができますので、そちらもご利用ください。

原因を探ってみる

原因を探るためには、フォーシームとそれ以外の変化球に分けて考えることが有効でしょう。

フォーシームに原因があると仮定する場合から考えましょう。先の空振りを取りやすい要素として回転数以外に球速と回転軸を挙げました。まず、球速が足りていないという可能性があります。いくら投球がホップしていても、球速が遅ければコンタクトはできるでしょう。また、そもそも実践で長いイニングを投げる場合にそこまでの回転数を発揮できていないという可能性もあります。これらは出力不足からくるものと考えられますので、もう少し身体ができてくれば、このあたりの数値が改善していくかもしれません。回転軸についてはキレイだという報道を見た記憶がありますが、プロ入り後にフォームも変更していますし断言できません。

それ以外の変化球に原因がある場合も考えます。育成段階では意図的に球種を絞るという教育もありますし、まだ変化球をコントロールしきれていない、もしくは自分に適したものに出会えていない可能性があります。この辺りは完全に推測の域に入りますので、記述はここまでにとどめます。

結論: 時間はかかりそう

最初に述べたとおり、小園選手の本格化にはまだ時間がかかりそうです。ヤクルトの奥川選手、阪神の門別選手、オリックスの山下選手など高校卒業後早々に出てきた選手と比較すると不安もあるのですが、大器であるのは間違いないので焦らず期待して待ちましょう。

がんばれ小園選手、応援しています。横浜の救世主になってください。

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