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スカシウマ書き出し小説大会【後編】

前編はこちら。


@at(あっと)

さぁ、何から書き出そうか。

あおいとり

12月24日の上野公園は花見客の笑顔であふれかえっていた。

「人間の雄も交尾を終えたら死ねばいいのに」グラスの水滴を指でなぞりながらリョウが呟いた。

これはまだ誰も知らない情熱とぴえんぴえんの物語である。

ミゾグチ

本当に時間を停めることができるストップウォッチが、ソフトオンデマンド本社の秘密の金庫に厳重に保管されている。

「葬送のフリーレン」のモデルとなった東京都東村山市在住の女性が最近地元の警察のお世話になっているという。

もものすけ

23時59分、今日も来たぞ。決まってこの時間、毎日コンビニに来るお客さんを私は宇宙人ではないかと勘繰っている。

「ええぇえぇーーー!!!うそぉ!!まじ!え!え!!!ぇ!!幸せすぎるぅぅー!!!!」

アラシハズカム

今年は梅雨入りが早いと、五月病の花嫁は前髪を気にした。

三周目に差しかかってもなお、びんとろは「止まりたくない」と願った。

ヴァンパイアも考えていたが、結局は献血センターに入った。

カルキラー

ねね、ちょっと見て、今日のくつ下、オレンジなの。

やんばるくいな

「ここが夢に見たあの家なのか。」そう呟いた私は5年前に見た夢と寸分違わぬドアノブに手をかけ、えいやっと開いた。

夜の七時

個人情報晒しで有名なTwitterアカウントに自分の免許証の画像を送ってから、叶人(かなと)はうっとり頬を桜色に染めていた。

父の使っていた黒傘(くろかさ)の、天頂に空いたささやかな穴が街灯の下(もと)で今、私の新たなポラリスとなった。

「絶対にみんな幸せになろうぜ!!」、テレビの中の女が腹の底からそう叫んでいるのを見かけた翌日、実際に私の人生は輝き出した。

どきどきメルモちゃん

「少し痴呆が進んだ魔法使いのお婆さんは、かけた魔法が午前0時に切れることを新規顧客に伝え忘れている。」

「『そこはダメ❤️』メルモは咄嗟に伸びてくるヤマチの手を掴んで自分の股間に押し当てた。」

「淫乱な女子高生との狂気じみたセックスの後ふと我に返ると、隣にいたのは見ず知らずのおっさんだった。」

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