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ありがとう又吉克樹。そして中日中継ぎ陣の展望(後編)

こんにちは、ばやのりです。
前編を書いてからだいぶ時間が経ってしまいました。

https://note.com/bayanori_0730/n/na83964cdb418


時間がたち過ぎた結果、なんと人的補償の選手まで決まってしまいました(笑)。
ということで今回は、人的補償で中日に移籍が決まった岩嵜翔投手の成績を振り返りつつ、来季の展望を書いていこうかなと思います。

https://news.yahoo.co.jp/articles/395d7611d2a8c3177d205d2c859ed435fb8b126b

3.岩嵜翔のキャリアを振り返る

まずは岩嵜翔投手についてどのような経歴を辿ってきたのか、どのような成績を残してきたのか振り返っていこうと思います。

1989年10月21日生まれ(32歳)
右投右打
市立船橋高校
2007年高校生ドラフト1巡目
中日の同世代選手 田島慎二、阿部寿樹

2007年に2球団からドラフト1巡目の指名を受けてソフトバンクに入団した岩嵜選手ですが、そのもう一つの球団はなんと中日ドラゴンズでした。これも何かの縁かもしれません。次に、年度別及び通算成績を見てみましょう。
太字はリーグ最多

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プロ入りからしばらくは先発投手として一軍で出場しますが、思ったように結果を残せていませんでした。
2016年に主にリリーフとして35試合に登板すると防御率1.95の好成績を残しました。
2017年には勝ちパターンとして72試合に登板、森唯斗投手、D.サファテ投手と共に鉄壁のリリーフを形成し、リーグ優勝と日本記録となるサファテの54Sに貢献しました。また、自身も最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得しています。
その後は投げすぎた影響により怪我に苦しみますが、今年は48試合に登板し、復活を果たしました。

この成績で目立つのは、キャリア後半の奪三振能力が非常に高いことです。特に今年は自己最高となる11.18をマークしました。これはルーキー森博人投手の11.25に次ぐチーム2位の数字であり、クローザーのR.マルティネス11.06を上回っています。森博人は10登板とサンプルが少ないことを踏まえると、中日リリーフ陣の中では一番奪三振率が高いことになります。

若干肘の調子が心配なのと今年は被本塁打率が1.39と高いのが気になりますが、本拠地の|本塁打PF《平均を1とした球場ごとのホームランの出やすさ》を見た時PayPayドームが1.26、バンテリンドームが0.58と大きく開きがあることを踏まえると以前ほど一発の心配はしなくていいかもしれません。

https://ranzankeikoku.blog.fc2.com/blog-entry-2907.html

次に、2021年シーズンの岩嵜投手の投球を細かく見ていきましょう。
まずは球種になります。

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投球のおよそ9割をストレートとフォークが占める、いわゆるツーピッチの投手です。ストレートの平均球速は152.7キロであり、中日の投手ではR.マルティネスに次ぐチーム2位セリーグの日本人投手の中では最速となっています。フォークボールも優秀であり、wSFフォークによる得失点合計7.8となっています。

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三振や空振りを取る能力は非常高いです。
O-Swing%ボールゾーンスイング率
Z-Swing%ストライクゾーンスイング率
Swing%スイング率
O-Contact%ボールゾーンの球に当てられた率
Z-Contact%ストライクゾーンの球に当てられた率
Zone%ゾーン内に投球した割合
SwStr%全投球に対しスイングが空振りになった確率
はどれも優秀な数値を誇り、球速、奪三振能力ともに中日のリリーフ陣にはいないタイプです。

先ほど被本塁打率が高いと言いましたが、打球の性質は優秀です。

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ゴロの割合の方が高いので、中日の内野守備とも相まって高いパフォーマンスを発揮してくれることでしょう。


懸念点は年齢が高めなのとの具合なので、無理な起用はするべきではないと思います。最初はビハインドや大量リードなどの余裕のあるシチュエーションで様子を見つつ、慣れてきたら勝ちパターンで起用するのがいいと思います。また、R.マルティネスがもし離脱した場合は抑えをやらせてみても面白いかもしれません。
数字としては
40試合5H防御率3点台
このくらいの成績を残せたら十分かなと思います。
改めて、岩嵜翔投手、中日ドラゴンズへようこそ!


4.来季の中継ぎの展望

ここからは、又吉投手の流出、岩嵜投手の加入を踏まえた来季の中継ぎの展望を考えていこうと思います。

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上の表は2021年シーズンの中継ぎ投手の役割を大まかに振り分けたものになります。太字は左投手
そして、ここに以下の戦力の移動があります。

out 又吉ロサリオ三ツ間
in 岩嵜石森 (育成選手は割愛)

やはり大きいのは「8回の男」でありチーム最多登板最多ホールドの又吉投手の流出でしょう。
加入に目を向けてみると、岩嵜投手、そしてドラフトで高い奪三振能力が持ち味のサウスポー、石森投手を獲得しました。

又吉投手の流出は確かに大きいですが、正直この穴は埋められると私は思います。
なぜなら、中日の中継ぎ投手はレベルが高いからです。チーム中継ぎ防御率は2.92でありセリーグ1位、唯一の2点台を誇ります。選手個人を見ても絶対的守護神のR.マルティネスをはじめ、祖父江のタイトルホルダーコンビ、経験豊富な谷元、若くから多くの試合数を投げている藤嶋、元守護神の田島などバラエティに富んだメンツが並んでいます。
しかし課題もあります。勝ちパターンの投手は申し分ないのですが、2020年、2021年ともにビハインドで投げた投手が失点しそのままズルズル点差が開いて追いつけずに負けるということが多々ありました。
なので、来季の中日中継ぎ陣の課題としては

「8回の男」又吉の穴埋め
ビハインドで投げる選手のクオリティの向上

が上げられると思います。
そしてその課題を踏まえ、私の考える来季の中継ぎ投手の大まかな構想を下の表にしてみました。

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抑えのマルティネスは変わらないと思います。
セットアッパーには祖父江、福を中心にそれぞれ右は藤嶋、左は橋本の若い投手を起用することで全体的な負担を減らしつつ、ビハインドでも投げられるくらいの余裕を持った起用が出来るのが理想的だと思います。

https://news.yahoo.co.jp/articles/3da14e6b1d2e0a96361d615ab4355d9826cab227

https://news.yahoo.co.jp/articles/69900603c81fecaeed8e663c89088deff6bc08fa

重要な火消しのポジションにはこれまでの谷元に加えて山本拓を起用し負担を減らせるのがいいかと思います。

https://www.nikkansports.com/baseball/news/202112260000653.html


そして同点・僅差ビハインドでは新加入の岩嵜が加わり、田島らの高い奪三振能力を誇る投手を起用し課題の克服が出来れば理想ではないでしょうか。

大量点差ではルーキーの石森近藤といった若手を起用し、自信をつけてもらいます。彼らがここで結果を残せるのなら、より良い場面での起用も見えてきます。

ロングリリーフ・敗戦処理ではこれまで通り岡田佐藤を起用しつつマルク垣越といった二軍メインの若い投手もチャンスがあれば起用するのが良いでしょう。

ここまで挙げたのはあくまで私の理想ですが、状況に合わせた柔軟な投手起用をしていけば、又吉の穴を埋めつつ全体的な層の底上げは不可能ではないと思います。そこは立浪新監督含めた首脳陣の手腕に期待しましょう。

ここまで読んで頂きありがとうございました。来季はレベルアップした中日の中継ぎにも目を向けてみるとより野球を面白く見れると思います。
それでは又吉の新天地ソフトバンクでの活躍、来季の中日中継ぎの奮起を期待しつつ締めさせていただきます。

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