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シングルS17 最終27位 甘美対面

 レギュFお疲れ様でした。S15-17で使用した構築の記事になります。最終順位には決して満足していませんが、この並びで戦えることは今後ないと思うので、自分なりに考えたことを書きます。

1. コンセプト

  • 対面操作+崩しの裏選出を用意した対面構築

  • 対面駒の止まる範囲をずらすことで対面寄せの選出を極力崩さないようにする

  • 各ポケモンに複数の役割を持たせることで対戦の中で多様な勝ち筋から選択できるようにする

 よくある対面駒+崩しピン刺しという並びでは、対面駒+サイクルの形に不利を取りやすい。理由として、こちらの崩し枠と相手の対面駒の対面ができてしまうと、引くことができずに数的不利をとってしまい、詰まされてしまうためです。この問題を解決するために対面操作を行えるクッション枠を採用し、初手、もしくはあと投げから対面操作を行うことで崩し枠の有利対面を作る、崩し+サイクルの選出を対面構築の裏選出として用意しました。

 対面選出のパターンを増やすために、初手(テラス)枠に2枚、裏枠に2枚割くことにしました。その際、打ち合える範囲が広いことは前提として、各々の止まる範囲をずらすことを心がけました。例えば、初手枠の2枚が両方アーマーガアで止まってしまうとしたら、アーマーガアが採用されているだけで崩し枠を出すか、選出択になってしまいがちです。止まる範囲をずらすことで、相手の受け駒に強い初手+裏+クッションの選出や、その2枚で崩し切れることに期待して対面×3の選出を行うことができ、基本選出を守りやすくなります。自分は構築の見た目の綺麗さから、初手枠、裏枠でそれぞれ物理、特殊を採用することが多いですが、それ自体は本質的なものでなく、止まる範囲さえ違えば物理2枚などでも問題ないと思います。

 以上をまとめると、構築としては対面4受け1崩し1の形になり、選出のベースは以下のようになります。

  1. 対面3

  2. 対面2+受け

  3. 崩し+受け@1

 採用される各ポケモンはそれぞれの役割に寄ってはいますが、1対1に対応しているわけではありません(崩し枠でテラスを切って対面性能を持たせる、対面駒の補助技で崩しに行く、受け枠を対面的に運用するなど)。よって、選出画面、および対戦中において相手に対応しながら柔軟に勝ち筋を選択することができます。

2. 構築経緯

 キョジ+対面のような構築に対して、選出択をある程度解消することができるカバ+ツツミから構築をスタート。

 残りは、自分の得意な形であるクッション入りの対面構築(ざっくり対面4受け1崩し1)に、採用率の高く強そうなポケモンを当てはめていき、構築が完成しました。

対面→イーユイ、カイリュー、テツノツツミ、ミミッキュ
受け→カバルドン
崩し→サーフゴー

3. 個体解説

イーユイ@スカーフ 災いの珠 フェアリー
控え目 131(4)-×-100(0)-205(252)-140-152(252)
オーバーヒート 悪波 噴煙 テラバ

 サイクルも崩しも上振れ待ちも行える最強の初手枠。特殊で初手におくポケモンを考えるにあたって、多くの特殊ポケモンが苦手とするハバタクカミにも打ち合える点が大きな特徴です。一時期数を増やしていたブリジュラスにある程度の耐性を持つ点も重要です。

 調整に関してはBラインを増やすか悩みましたが、ハバタクカミに対するオーバーヒートや、コノヨザルに対するテラバーストがミリ耐えされてしまうことが多かったのでCS振り切ることにしました。ただ、テラスを切った時に特化ランドの地震をいい感じに耐えるあたりまでは振っても良かったかなと思います。砂と合わせて電気テラスパオジアンを縛りに行くことが多かったので炎技は基本的には放射の方が強いです。しかし、同じような型のイーユイが増えたことで、イーユイパオ対面でつららを打たれる頻度が増えると想定し、素噴煙で突っ込んだ方がいい気がしたのでS17では噴煙にしました。実際は全くそんなことはなかったですが、噴煙のせいで負けた対戦も特になかったです。

カイリュー@イカサマダイス マルスケ 鋼
意地 175(68)-204(252)-119(28)-×-121(4)-120(156)
神速 スケイルショット アイアンヘッド 地震

A: 多分特化の方がいいので特化
S: +1でオーガポン抜き
B: -1かつマルチスケイル込みで特化グローブ冷凍パンチが37.5%の乱数1発
DL調整

 イーユイと双璧をなす初手枠。崩し性能は低いですが、技範囲+先制技によって高い対面性能を持つ点でイーユイと綺麗に役割をずらしており、イーユイやオーガポンなどに対して強引なあと投げが可能な点でカバやサフゴとの相性もいいです。

 技や型はかなり悩みましたが、ステロをまかないorイーユイによってまかせない構築が多く、裏カイリューの選出は用意できた方がいいと考えてスケショ採用。けたぐりはあっても毒ガチグマには勝てず、地震であれば持久力ブリジュラスに拾えていた対戦が多かったので採用。初手イーユイでテラスを切った後の裏からカイリューを出すことがあり、カミと打ち合う必要があったのでアイへも外せませんでした。結果として時々マッチングしたサーフゴーに対しても躊躇せずに選出できたので良かったかなと思います。テラスも選択肢がありますが、なんだかんだ言って砂が残っている中でもマルスケを守れる点や、イーユイを出しにくいアシレーヌを削ることができる点、カミへ安定する点、テラス後に地面技を誘発しサフゴに引ける点を評価して鋼テラスにしました。

テツノツツミ@ブースト(S上昇) クォークチャージ 水
臆病 131-×-134-176(252)-81(4)-206(252)
ドロポン フリドラ アンコール 身代わり

C: 砂4回+水テラスドロポンでCSカミが68.7%の乱数1発

 レギュBで解禁されたイカレポケモン.どこまで行っても運が絡むポケモンですが、初手で作った数的有利からそのままアンコで詰めたり、逆に数的不利をアンコ択で捲ったり、ステロあくびからつなぐエースとして選出したりと万能なポケモンです。ウーラオスやママンボウの流行により強化されたような気さえします。シーズンを重ね、選出を詰めるにつれてこのポケモンの選出率が上がっていきました。

 テラスタイプですが、キョジなどの高耐久ポケモンへの処理スピード、カバの起点作りからエースとして展開すること、対ハッサムを考慮して水にしました。相手のカイリューに少々不安が残りますがカバやカイリュー、ミミッキュなどに任せることにしました。

ミミッキュ@命の珠 化けの皮 ステラ
意地っ張り 131(4)-156(252)-100-×-125-148(252)
影うち じゃれつく シャドークロー 剣の舞

A: H252ランドロスが+1ステラじゃれで75%の乱数1発
     H252ガチグマが+2ステラじゃれで37.5%の乱数1発
  ASウーラオスがじゃれつくで87.5%の乱数1発

 構築屈指の諸説枠。選出するとガチグマやウーラオス、炎ガポンに蹂躙されるため出しどころを絞る必要がありますが、自然に積み技が入る点や、カイリューを使う上でネックになるステロなどの定数ダメージに耐性がある点を信用して最後まで使い続けました。実際にディンカイサフゴなどにはカイリューツツミミミと投げてそれなりの勝率を出していました。

 調整ですが、あらゆるところに火力が足りていないためA特化にしました。また、ツツミのアンコから起点を作り、裏のカミまで貫くような展開を想定し、その形になったときにじゃれと影うちの両方の火力を伸ばしたいためステラで採用しました。 

カバルドン@オボン 砂起こし 炎
腕白 215(252)-132(0)-165(92)-×-113(164)-57
地震 欠伸 ステロ 吹き飛ばし

HD: 特化ガチグマのノマテラブラッドムーンが31.2%の乱数1発
HB: オーガポンの特化ウィップが18.7%の乱数1発
  ウーラオスの特化テラス水流連打をオボン込み確定耐え

 クッション枠であり、構築に必須な電気の一貫切り。崩しの選出にも加担することができ、欠伸によって詰めの対面駒と自然に強い並びを作ることができるポケモンです。カイリューカミに強い点で特にイーユイとの相性が特にいいですが、ウーラオスやガチグマの影響で適当に選出して強いポケモンでは無くなってしまったので、ミミッキュと同様に出しどころを見極めることが重要でした。相手のカイリューとの選出択や、パオを襷まで削った後の先制技に対してカバに引くかどうかの択など、選出画面にいるだけで択を生みまくる最低のポケモンですが、トリル系や天候系、壁、受け系統、ミミッキュ系に選出した時はちゃんと強いです。

 コンセプトである対サイクルへの安定を考えた時に、ママンボウ絡みに入っているパオイーユイをケアできるテラスタイプにすることで、初手カバが安定すると考えたため最終日にテラスを炎に変更しました。一番の役割対象であるカミのムンフォも一応ケアできます。

サーフゴー@風船 黄金の体 鋼
控え目 175(100)-×-116(4)-198(212)-117(44)-123(148)
ゴールドラッシュ シャドーボール 身代わり 悪巧み

C: 崩すため高め
S:準速ガッサ+1
HD:臆病C252ハバタクカミのシャドーボールが確定2発
DL調整

 崩し枠であり、レギュF末期にはかなり強かったポケモンです。風船+テラスによる耐性変化よって最低限の対面性能を持ちます。砂に耐性を持っている点でカバと、地面技や格闘技を誘発できる点で鋼テラのカイリューとの相性が注目されがちですが、ツツミとの相性も抜群です。サフゴで相手のカミを最低でも削ってツツミの一貫を作る、パオに不意打ちを打たせつつツツミの起点にしていく、ウーラの格闘技をアンコで縛ってサフゴの起点にするなど様々なシナジーがあります。

 型に関してですが、カバと合わせて崩すにあたって相手のグライオンがネックになるので風船を持たせるのはほぼ確定でした。S15、16では格闘テラス気合い玉を搭載した3ウェポンでしたが、ママンボウやキョジ絡みのサイクル構築が多様化したことでツツミだけでは怪しい構築が増えたので、最終日のみ身代わりを採用、スタンに出した時にガチグマやパオに気合いだまを打ちたくなかったので2ウェポンはゴルラシャドボになりましたが、ガチグマを命中安定で倒せるのは特に大きかったと感じます。また、アシレーヌを+2テラスゴルラで削ってイーユイやツツミを通すなど、試せていませんが鋼テラにすることで選出をさらに詰める余地が生まれていると思います。対受けループもカバ+鋼テラで崩せる気がしますが、これも検証の機会がないままルールが終わってしまいました。

4. 選出

 選出を区分する意味はないですが、実際に自分が選出を考える上で使っていたのでそんな感じで書きます。各ポケモンの想定していた役割とは外れますが、レギュFにおいて強かったと感じている応用的な選出も書きます

  1. 対面軸
    基本
    カイリューorイーユイ+(ツツミ、ミミッキュ、サフゴから2匹)
     初手テラス+詰め2匹の対面選出です。被弾が抑えられることから最も下振れにくい選出のはずなので、出せる時は優先的に出していきます。
     特に持久力ブリのような有限の物理受けに対して、サーフゴーを裏に置くことで初手カイリューを強く動かせる点がポイントです。カイリューツツミサフゴは最低限引くこともでき、安定感や捲り性能も十分に高く、使用率上位構築に対する選出の一つでした。

    応用例
    カバ+ツツミ+ミミ
     ステロの刺さり込みでカバが初手テラス枠として機能する時の選出です。カイリューもイーユイも出しにくいブリアシレなどに選択肢となります。カバを炎にすると選出機会は減りますが、鋼のときは意外と出していました。性質上ツツミミミで捲る展開になりやすい、魂の選出。

  2. 対面2+受け
    基本
    カイリューorイーユイ+カバ+ツツミorミミッキュ
     
    初手テラスで数的有利をとりに行った後、クッション+積み技持ちで詰める選出です。引先を作ることで安定して対戦を進めることができるため、カバやステロの刺さりがいいとき、引先が必要なときに出していきます。また、物理2枚+カバ、特殊2枚+カバで相手の受け駒を腐らせ、有限の受け駒に対して役割集中をかけて崩しに行く目的でも選出することがありました。

    応用例
    イーユイ+テツノツツミ+カイリュー
     革命の選出です。イーユイで倒せないステロ持ちが減ったことを加味してウーラやガポンとも撃ち合えるカイリューを裏の対面駒として置き、初手のイーユイで技をこだわった後の起点回避や、カイリューに打たれる氷技の引先としてツツミを用意した選出です。現環境で腐らせるのが容易なカバと違い、環境最速のSからアンコールを打つことができるツツミは選出して腐ることがほとんどないです。
     ランドやブリ絡みのサイクルが増えた場合はカイリューを初手に出せなくなるので、この選出に寄せるためにツツミをゴテラ、カイリューを舞スケショにする案を考えていました。実際、S17はそのような構築が流行っていたので、最終日はその構成で戦うつもりでしたが、終盤にかけて想定していた以上にそれらのサイクルの数が落ち着き、カイリューの初手率が上がったと感じたのでお蔵入りになりました。

  3. 崩し+受け@1
    基本
    カバルドン+サーフゴー@1
     カバルドンを初手、もしくは後投げから展開し、対面操作からサーフゴーの有利対面を作りに行く選出です。対面駒では崩しきれないサイクル構築に対して選出します。安全にカバを着地させるためのサイクルパーツとしてカイリューやイーユイを選出することが多いですが、特にサポートなくカバが展開できる場合には、崩した後の詰めを行うためにツツミやミミッキュを置くこともありました。

    応用例
    カバルドン+テツノツツミ@1
     主にキョジオーンピン刺し構築など、ツツミが崩しとして十分に機能すると感じた時に行う選出です。この選出ができる場合、こちらは基本選出を歪めている訳ではないため、選出が噛み合わずとも大きく不利を取ることはありません。

5. 結果と感想

 コンセプトの性質上、環境がサイクルによってくれた方が勝ちやすい構築だと思います。また、構築の細部や選出を詰めることができたのでS17はかなり手応えを感じていましたが、思うような結果が出ませんでした。安定していること自体は悪くないですが、どこかでもう少し勝てても良かったかなと思います。とはいえ準備不足であったのも事実なので仕方がないですね。

 禁伝ルールが始まるらしいですが、構築の中で個体のパワーに差が出るようなルールでは、自分のような取り組み方よりもメタ的な視点を入れた方が勝ちやすい気がしています。やる機会があるとしたら使えるところは取り入れつつ、うまく頭を切り替えて考えていきたいですね。

tn m!micU

S15: 33位
S16: 27位
S17: 27位


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