見出し画像

【漫筆】サピア・ウォーフの仮説(言語相対論)とは?

私たちの言葉の選択と考え方についての研究結果をベースにした興味深い考察記事を紹介させて頂きます。

【紹介記事】

サピア・ウォーフの仮説は、解釈の仕方によって、強い仮説と弱い仮説があります。

強い仮説は、「言語が思考を決定づける」(言語決定論)と強く主張したものです。

一方で弱い仮説は、「言語が思考に影響を与える」(言語相対論)と主張する程度になっています。

この強い仮説に対しては、反論も多くあります。

しかし、実際のところ、ウォーフ自身は、決定づけると強調していないと言われています。

特に、サピア・ウォーフの強い仮説(言語が思考を決定づける)に対しては、反論もあります。

具体例は、チョムスキーやピンカーによる、生成文法理論(※)の考え方です。

※印:
米国のチョムスキーを中心とする言語学者によって唱道された言語理論。
人間の言語能力の創造性を評価し、表現された形から入って、その奥深くに隠されている言語構造を理論的にとらえようとする。
生成文法の「標準理論」では、文は、 句構造規則と変形規則で生成されると仮定され、普遍文法は、普遍的特質により、 個別言語の文法の形式と適用方法が提示 された。
また、個別言語毎に、様々な規則、例えば、英語の場合は、受動変形規則、wh変形規則、主語繰り上げ変形規則などが提案された。

この理論は、人間が言語のベースとなる文法を生得的に備えてることを表します。

つまり、言語によって思考は影響されないという主張です。

ちなみに、ピンカーの本「言語を生みだす本能」でも、サピア・ウォーフの仮説の批判が書かれています。

なお、前述の紹介記事から、以下の事が解ります。

①言語が人間の認知や思考に影響を与えているのは間違いない。このため、サピア・ウォーフの仮説(言語相対論)は、大筋で正しい。

②しかし、言語が異なれば、認知や思考も根本的に異なるのか?という問いに対して、どうも、そうではなさそうである。つまり、強い仮説は現実的ではない。

③言語が思考や認知に与える影響は、部分的であると考えられる。よって、弱い仮説は、現実的で妥当ではないかと考えられる。

以上の実験結果は、あくまで推測の域をでないのですが・・・

個人的には、人それぞれで世界認識が違うと考えた方が刺激的、且つ、とても有意義な会話が出来そうだと感じるので、ロマンのある強い仮説も支持したいですね(^^)

【参考図書】
「言語・思考・現実」(講談社学術文庫)ウォーフ,B.L.(著)池上嘉彦(訳)

「言語を生みだす本能(上)」(NHKブックス)スティーブン ピンカー(著)椋田直子(訳)

「言語を生みだす本能(下)」(NHKブックス)スティーブン ピンカー(著)椋田直子(訳)

【参考記事】


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?