プレゼンターとして何が大切なのか?
既にご存知の方も多いと思いますが、TEDとは世界の叡智が講演をおこなう極上のカンファレンスです。
英語やプレゼンの教材として日本でも注目度が高いTED。
プレゼンの模様を録画した動画アーカイブ(TED Talks)は質も量も充実していますが、非常に興味深いものからそうでないものまで、講演する人の実力は多岐にわたっているのため、正直どれから見ていいものか迷ってしまうと思います。
そんな状況の中、数多のプレゼンを統計学のアプローチから解析し、TEDにおける史上最高のプレゼンと史上最低のプレゼンの条件をプレゼンするというすさまじい講演がかなり秀逸なので、まずは、これを見てみてください(^^)
・TEDTalksにまつわる真っ赤な嘘と統計の話
素晴しく皮肉の効いた分析により、セバスチャン・ワーニックがTEDTalkを統計分析というツールにかけ、ユーザ評価に基づいた「最適なTEDTalk」を作るための基準を編み出しています。
この講演をどのように評価されますか?
「びっくり」?
「説得力なし」?
それとも、ただただ「可笑しい」?
https://www.youtube.com/watch?v=1Totz8aa2Gg
どうでしたか?
すごい講演で有名なTEDから学ぶ統計的に最高&最低プレゼンの条件(^^)
TEDの舞台には、世界各地から様々な分野の叡智が集結するのですが、その中でも群を抜いた天才が時折出現するので、見てビックリ、聴いてビックリぶりなプレゼンも多いのも事実です。
それでは、そんなプレゼンの中から、最高のプレゼンをピックアップしてみたので、堪能してみてください(^^)
・アドーラ・スヴィタク 「大人は子供から何を学べるか」
神童アドーラ・スヴィタクは、世界には「子供っぽい」考え方が必要だと言います。
大胆なアイデア、奔放な創造力、そして何よりも楽観的であること。
子供たちの大きな夢は高い期待を受けるにふさわしいものであり、大人は子供に教えるのと同じくらいに、子供からも学ぶようにしてほしいと彼女は言います。
https://www.youtube.com/watch?v=V-bjOJzB7LY
・プラナフ・ミストリー :次なる可能性を秘めたSixthSenseテクノロジー
TEDIndiaでプラナフ・ミストリーが、SixthSenseデバイスの詳細をはじめ、パラダイムシフトを起こす新しい紙のノートPCなど、日常生活とデータの世界の交流を可能にするツールの数々を見せてくれます。
ステージ上でのQ&Aでは、SixthSenseの可能性をすべての人が手にできるよう、ソフトウェアをオープンソースにする予定であると語っています。
https://www.youtube.com/watch?v=YrtANPtnhyg
・メアリー・ローチ「あなたの知らないオーガズムに関する10の事実」
「セックスと科学のイケない関係」の著者、メアリー・ローチが我々の知らない、数世紀にわたる科学的研究の歴史を徹底的に調べ上げ、オーガズムについての一風変わったものから笑いを誘うものまで10の事実を紹介します。(成人向けコンテンツ)
https://www.youtube.com/watch?v=7jx0dTYUO5E
・アンソニー・アタラ:臓器の培養
アンソニー・アタラの最先端技術を駆使した研究所では筋肉、血管、膀胱を始め様々な人間の臓器が培養されています。
TEDMEDでアタラ医師は生体工学の研究者たちと取り組んでいる様子を紹介します。
摂氏37度に予熱されるオーブンのようなバイオリアクタ―や人間の組織をプリントする機械など、どれもSF小説の中から飛び出して来たような発明ばかりです。
https://www.youtube.com/watch?v=7SfRgg9botI
・ケヴィン・スラヴィン 「アルゴリズムが形作る世界」
ケヴィン・スラヴィンは、アルゴリズムのためにデザインされ、コンピュータプログラムによるコントロールが広がり続ける世界に我々は生きていると言います。
TEDGlobalで行われたこの魅惑的な講演で、彼は複雑なコンピュータプログラムがいかに多くのことを決しているかを示しています。
諜報戦略、株価、映画の脚本、建築デザイン。
そして私たちがもはや読めもしなければ結果をコントロールすることもできないコードを書いていることに警鐘を鳴らしています。
https://www.youtube.com/watch?v=TDaFwnOiKVE
・ウッディ・ノリスの驚嘆の発明の数々
ウッディ・ノリスが音作りの新しい形を可能にした2つの発明を紹介し、発明と教育に対する革新的なアプローチについて語る。
「ほとんど何も発明されていない」と彼は言う。次は何を?
https://www.youtube.com/watch?v=HF9G9M0cR0E
・キース・バリーのブレインマジック
キース・バリーがポッドキャスト上でも通じるトリックを使い、いかに我々の脳が体を騙せるのか披露します。
そして観客を巻き込みながら、驚異的で、ちょっと危険なブレインマジックの技を披露します。
https://www.youtube.com/watch?v=GigYWy2UmOY
・ダニエル・タメット:異なる認識の仕方
ダニエル・タメットには言語・数値・視覚的な共感覚能力があります。
つまり、彼の言葉・数字・色彩に対する知覚は、完全に違った形で世界を感じて理解する組み合わせなのです。
「ぼくには数字が風景に見える」の著者であるタメットが自分の絵や言語に対する思いを語り、その並外れた意識を垣間見せます。
https://www.youtube.com/watch?v=Pzd7ReqiQnE
・マルコム・グラッドウェル、パスタソースと幸せについて
ティッピング・ポイント(邦題:「急に売れ始めるにはワケがある」)の著者マルコム・グラッドウェルが食品業界における“完璧な”パスタソースの追求の真相について、そして選択と幸せ感の本質について語ります。
https://www.youtube.com/watch?v=iIiAAhUeR6Y
・ブレイス・アグエラ・ヤルカスによる新世代地図の実演
TED2010で観衆が息を飲んだデモンストレーションにてブレイス・アグエラ・ヤルカスがマイクロソフトの拡張現実的地図の実演をお見せします。
https://www.youtube.com/watch?v=NCPzji_-2Oo
・デービット・メリル:考えるブロック玩具「シフタブル」
MIT大学院生のデービット・メリルが未来の玩具「シフタブル」のデモを行います。
この手のひらサイズの電子ブロック「シフタブル」は、積み上げたりシャッフルすると計算をしたり、音楽を奏でたり、友達と話までできてしまう。
次の実践型教育にはこれがくる?
https://www.youtube.com/watch?v=JP0w9lZoLwU
・パティ・マースによる 「第六感」デバイス のデモ。ゲームの流れを変える着用可能な技術です
MITのパティ・マースと開発の指揮をとるプラナブ・ミストリによるデモ。
このデモはTEDでとても人気があります。
プロジェクターを搭載し、新しいインタラクションの道を拓く、着用可能なデバイス。
映画「マイノリティーレポート」の世界を実感させてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=nZ-VjUKAsao
・ジェイミーオリバー TED prize wish: 子供たちに食の教育を
ウエストヴァージニア、ハンティントンでのアンチ肥満プロジェクトにおける物語を語りながら、TED prize 受賞者のジェイミー・オリバーが我々の食への無関心に反旗を翻します
https://www.youtube.com/watch?v=go_QOzc79Uc
・JD・シュラム:自殺未遂者の沈黙を破る
外見上は問題のない人生のように見えても、静かなる精神的な苦痛を抱えて、自らの人生を終わらせようと決断してしまう人々がいます。
TEDYouでは、JD・シュラムが自殺や自殺未遂における沈黙を破ることを求めると共に、死から逃れて人生を取り戻そうとしている人々が大いに必要としている支援体制の設立を提案します。
支援体制へのリンク:http://t.co/wsNrY9C
https://www.youtube.com/watch?v=Hy4yby7ZAd0
・マイケル・プリチャードが汚水を飲料水に変える
世界中の非常に多くの地域が、清潔な飲料水へのアクセスを欠いています。
技術者マイケル・プリチャードはそれに挑戦し、携帯式の「Lifesaverフィルタ」を開発しました。
それはぞっとするような水を数秒で飲料可能な水にすることができます。
TEDGlobal 2009での驚くべきデモです。
https://www.youtube.com/watch?v=rXepkIWPhFQ
・グラハム・ヒル「ものは少なく、幸せは多めに」
作家でありデザイナーのグラハム・ヒルが問います「モノやスペースを制限することは、幸せを増幅させるだろうか?」スペースを節約し、あなたの人生をコンパクトに編集する3つのルールをご紹介します。
https://www.youtube.com/watch?v=L8YJtvHGeUU
以上の通り、どれだけプレゼンテーションの資料の見栄えをよくしても、肝心の構成が悪ければ言いたいことが伝わりません。
プレゼンテーションで大切になるのは構成です。
基本的には、わかりやすく整理して口頭で相手に伝える力がプレゼンテーション能力であると考えていいかと思います。
ここで、構成を考えるには、センスが必要だと思っている人もいると思うのですが、こうすればいいという型が、あらかじめ存在しています。
それが、SDS法、PREP法、IREP法です。
SDSとは「Summary、Details、Summary」の略です。
最初に全体要約(Summary)を伝え、次に詳細な説明(Details)をしたあと、最後にまとめ(Summary)を述べる構成です。
PREPとは「Point、Reason、Example、Point」の略です。
まず結論(Point)を述べて、次に理由(Reason)を説明し、具体的な例(Example)を出した後、最後にまとめ(Point)を述べる構成です。
IREPとは「Issue、Reason、Example、Point」の略です。
まず論点(Issue)を述べて、次に理由(Reason)を説明し、具体的な例(Example)を出した後、最後にまとめ(Point)を述べる構成です。
SDS法は、話をじっくりと述べながら、ストーリー重視に向いています。
PREP法は、結論を早く伝えたいときに向いています。
IREP法は、聴き手の考えと異なることを述べる場合によく使います。
ここで、メラビアンの法則ってご存知ですか?
聴き手が話し手の印象を決定づける要素のことです。
話しの内容が7%、話し方が38%、ボディランゲージが55%。
メラビアンの法則から言えば、前述の各型による文章構成は、話しの内容そのものであり、たったの7%の部分になってしまうんですね^^;
そう、それ以上に大切なものが、プレゼンの要素にはあるってことです。
例えば、話し手の想いや、熱意、気持ち、感情、パーソナリティ、人となり、など。
TEDでの素晴らしいプレゼンもそうですが、話し手の感情、想い、心の叫びこそが共感を呼ぶんですね。
もちろん、滑舌や発声方法、声の響きなど、総合的なものが合わさって聴き手の心をとらえています。
ただし、心に触れるものがなければ、それは言葉の遊びに過ぎません。
では、プレゼンターとして何が本当に大切なのか?
それは、私が何を話したのか、何を伝えたか、これが一番大切なんでしょうね(^^)
これには、聞き手の興味や見識がどのレベルにあるのか?、聞き手を知るということがポイントになってくると思います。
聞き手が何に関心があり、何に関心がないのか。
何を知っていて何を知らないのか。
これらのことを知ることは、非常に重要なポイントだと感じます。
なぜかというと、聞き手はプレゼン内容の10割が知っていることだとつまらなく感じるだろうし、逆に知らないことが4~5割を占めると難しく感じてしまうから。
それがあってこそ、伝えたい想いを伝わりやすくする為の話し方の手順である各型の文章構成法が活きてきます。
型は型として、型のみに頼りすぎないことが大切です。
そのためにも、プレゼンに限らず、自分自身がいいモノを作り出そうと思うなら、何より大事なのは、たくさんのいいモノに触れる必要があります。
TEDの様な優れたプレゼンは、何回も見ていれば判ってきますが、型どおりのものとは限りません。
骨格は理路整然としていても、味付けはそれぞれです。
そのため、プレゼン力を磨くためには、質の高いプレゼンを数多く見ることをオススメします。
ここで、以下のTEDのプレゼンを見てください。
・ジル・ボルト・テイラーのパワフルな洞察の発作
ジル・ボルト・テイラーは、脳科学者なら願ってもない研究の機会を得ました。
広範囲に及ぶ脳卒中の発作により、自分の脳の機能―運動、言語、自己認識―が、1つひとつ活動を停止していくのを観察することになったのです。
この驚くべき物語をお聞きください。
https://www.ted.com/talks/jill_bolte_taylor_my_stroke_of_insight?language=ja
・デイブ・メスリン:無関心への特効薬
学校、建物の用途、市議会選挙などなどローカルな政治は私たちの生活に直接影響を与えます。
なのに、なぜ私たちはもっと積極的に関わろうとしないのでしょうか?
無関心だから?
デイブ・メスリンは「違う」と言います。
私たちが実際に関心があるにもかかわらず、私たちをコミュニティーへの参加から妨げる7つの障害を彼はこのスピーチで明らかにします。
https://www.ted.com/talks/dave_meslin_the_antidote_to_apathy?language=ja
彼らのプレゼンは、どれも刺激的でアイデアに溢れ、その多くが、死ぬまでには解決できそうもない問題に取り組んでいることです。
でも、聴いていると、どうにかなるんじゃないかと思わせてくれるから不思議です(^^)
それは、たぶん、彼らが夢のある仕事がしたいと思っているからではないでしょうか。
その根幹にあるのは、少なくとも自分たちが死ぬまでには解決できそうもない問題に取り組むことであると感じます。
自分の夢を以下の項目に注意して、プレゼンしてみると、自分の夢が明らかになってくるかもしれませんよ(^^)
・パーソナルな体験を語ってみる
・物語で始めて、物語を語ってみる。
・テーマを一般化してみる
・シンプルなコンセプトに落とし込んでみる
・倫理的な主張をする
最後に、プレゼンテーションのスキルを磨くことができるのは書籍ではなく、やっぱり、経験量と他者のプレゼンテーションを目の当たりにする、かな(^^)
【参考記事】
絶対にプレゼンを成功させる方法「TEDトーク 世界最高のプレゼン術」
https://kojigen.com/post-2118-2118.html
最も見られているおすすめのTEDプレゼン・ベスト30
https://hep.eiz.jp/the-most-popular-ted/
【参考図書】
「本物の気づかい」井上裕之(著)
「あなたはあなたが使っている言葉でできている」ゲイリー・ジョン・ビショップ(著)高崎拓哉(翻訳)
「マイクロソフト伝説マネジャーの世界No.1プレゼン術」澤円(著)
「驚異の「紙1枚!」プレゼン―説明0秒!一発OK!」プレゼン」浅田すぐる(著)
「声と言葉のプロが教える伝わる話し方」のざききいこ(著)
「伝える極意」(集英社新書)長井鞠子(著)
「ロジカル・シンキング―論理的な思考と構成のスキル」 (Best solution)照屋華子/岡田恵子(著)
「「分かりやすい文章」の技術―読み手を説得する18のテクニック」(ブルーバックス)藤沢晃治(著)
「新装版「分かりやすい表現」の技術 意図を正しく伝えるための16のルール」藤沢晃治(著)
「世界で一番やさしい会議の教科書」榊巻亮(著)
「世界で一番やさしい 資料作りの教科書」榊巻亮 (著)
「デザイン入門教室 特別講義―確かな力を身に付けられる 学び、考え、作る授業~」(Design&IDEA)坂本伸二 (著)
「なるほどデザイン―目で見て楽しむデザインの本。」筒井美希(著)
「ゼロからつくるビジネスモデル」井上達彦(著)
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