終われない(後編)
[拝啓
秋気いよいよ深くなりました。貴国ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。]
読みかけの手紙を閉じ、机にしまう。
「俺、この人苦手なんだよなあ、」
青色の目の彼、彼はこの国の国王。今は戦時中だ、ただでさえ戦闘に関するの書類が多い中で見かけた一枚の手紙。
「あ"ーーーこの国が原油さえ持っていなければ.....」
背筋を伸ばして欠伸をする。貴国は原油大国。貴国との貿易が出来なくなったら戦争どころではないのだ。
一息ついてホットココアを飲むといきなりつけていたヘッドフォンに雑音が入る。
「うぉっ!!!!......何何何。」
弾みにココアをこぼした。
しばらく雑音が続く、目の前のパソコンに違法アクセスされていると写し出された。
「待って俺これ専門外!!!!!!!....インカムインカム...」
インカム特有の雑音。司令部に連絡がついた。
「はいはーい、こちら葱杜。どーしたんすか国王。」
返答したのは葱杜大佐。何時ものように軽いノリで要件をきく。
「やばいよこれ。違法アクセスされてる!!!!」
「草ですねwちょっと待ってて下さいね~」
葱杜はパソコンを開くと違法アクセスされているサーバーに入った。
「初戦ゲームなんだよwサバゲーサバゲー。」
「いっち」「にーい」「さーんっ」の掛け声と同時にアクセス元のパソコンを完全破壊する。
「死ね~」
「.......すっごw」
「まぁ僕の専門なんで、」
得意気にワントーン高い声で話す大佐に思わず笑ってしまう。
「あ、そーだ。前線やばいらしいですよ、えと、少佐重症ぽいってハナちゃんが言ってた。」
言葉に付け足すように、思い出した。と小声で呟く。
「......え"相手どんだけ強いの。もう前線だせる指導者いないよ?」
大佐は、待ってました。と言わんばかりにテンションが上がり、
「じゃあ僕がw痛め付けてきまっす!偉大なる国王陛下に忠誠を、」
「........いってらっしゃい。」
国王、いや、あおぐも陛下は葱杜をインカム越しに見送った。
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「いや~久しぶりの前線だなw」
敵がほとんど居なくなった戦場を風を切るように走る。とりあえずインカムの反応をたどって合流しようという算段だ。
「......つまんな」
見渡す限りでは仲間も敵もいない戦場に飽きてくる頃、微かに何処かで銃声が聞こえた。
(ん?敵かなー)
目を凝らすと数十メートル先の岩影に人の姿が、見えたかもしれない。
(目、悪くなってきたかも。ゲームは辞めないけどねw)
心の中でそう呟いていると、大佐に向かって弾が飛んできた。
「あっっっっぶな!!!」
前方から銃弾、確かに先ほど見えた人の姿は敵だったのだ。
「壱。」
さらに二発の弾が撃たれる。うち、一発が左腕に命中した。
「い"っ.............」
「へぇ........き、みがw」
終われない[中編]終.
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