何見てんねん

あらすじ
中学2年生になったタロウ
いつもひとりぼっちだった少年に運命的な出会いが訪れた。

喋る兎(関西弁)である。

本能をくすぐる小動物ムーブと関西のおじさん臭さのハーモニー
面倒見の良い兎と少年タロウの
非日常な日常会話劇

第1話 何見てんねん

確かに兎はそう言った。
なるほど疲れているのだと思いつつ、怪訝な顔で兎をもう一度見た。

兎「だから何見てんねん」
やはり確かに兎はそう言った。

兎「自分、今暇?」
僕「えっ、」
兎「いや君や」
僕「あっ僕ですよね」
兎「暇なん?」
僕「そう、、、ですね。暇です」
兎「チモシー持ってる?」
僕「、、、、」
兎「君に言うてんねん」
僕「えっと、、チモシー?」
兎「なんや自分!チモシー知らんのかいな!」
僕「ごめんなさい。何ですか?チモシー」
兎「牧草」
僕「いや知らんがな」

(うわあ食べてる。可愛いなあ。あの口どうなってんの)
兎「ごめんちょっとプレッシャーすごいわ」
僕「可愛いですね」
兎「なんか独特やな君。会話苦手なタイプ?友達おらんやろ」
僕「友達はいないですけど、兎と話したことないんで、、、」
兎「そらそうかwwwワハハwwそらそうかww」
ピタッ
モシャモシャモシャモシャ(食べる兎)
僕「やだかわいい」

第2話 僕のヒーローその名も

僕「どうしてお話できるんですか?」
兎「こっちが聞きたいねんけどなそれ。まあええわ。」
僕「昔から話せたんですか?」
兎「いや、君が初めてやで」
僕「えっすごい」
兎「神様が ぼっちの君を救うために遣わしたんちゃうか。知らんけど」
僕「じゃあ僕のヒーローですね」
兎「冗談やんww真に受けるなよ恥ずかしいww」
僕「、、、、」うつむくタロウ
バツの悪そうに寄ってくる兎
兎「どしたん?話聞こか?」
僕「てえてぇ(尊い)!!!!」

僕「友達ができないんですよね。できないというか、離れていっちゃうんです。」
僕「気づけば一人ぼっちで、お母さんに心配されて、笑って嘘ついちゃったんです。」
僕「だからなんか家にも帰りたくなくて、、、聞いてますか?」
兎「ごめんお月さん見てた」
僕「、、、」
兎「うそやん!怒らんでええやん!まだ夕方やーんって話やーん!」
僕「そろそろ帰ります」
兎「怒ってるやーん、、、」
僕「お母さんが心配するからですよ。明日また来ます」
兎「そうかそうか!気ぃつけて帰りや!僕はいつでもここおるからな!」
僕「はい。明日も来ます」
兎「いいよいいよ!おいで!相手したる!」
僕「まあ当番なんで僕」
兎「ワシ飼育されてたん!?」
笑顔になるタロウ

最終話「卒業」
僕「一年間ありがとうございました」
兎「何をかしこまってるんな!卒業するんやろ?めでたいやんか!」
僕「僕、嬉しかったです。兎さんと出会えて、話せて、相手してもらって」
兎「背中かゆなるて!なんなん?卒業ってそんなに少年を大人にする何かを持ってるん?」
僕「ずっと寂しかったんです僕。友達いなくなって、でも家にも帰りたくなくて」
兎「うんうん」
僕「飼育委員なんかやりたくも無いの仕事押し付けられて」
兎「そうやったん!?」
兎をなでるタロウ
1年間の思い出が溢れる

(兎「見て見て!こんなにジャンプできるようになった!」ピョーンピョーン
(兎「もしゃもしゃもしゃピタッ、、もしゃもしゃ」
(兎「当たり前やん。僕は君のヒーローやで」

兎「卒業するんやな」
僕「はい」
兎「寂しいな」
僕「寂しいですよ。」
兎「明日からもうこうへん?」
僕「そうですね」
兎「留年とか無い?」
僕「無いです義務教育です」
兎「どうにかならへん?」
僕「ならないですね。僕はもう大丈夫ですよ。」
兎「1人で大丈夫?ほんまに?」
僕「はい。大丈夫です。」
兎「そうかそうか。これでゆっくり眠れるわ」
僕「ずっと僕のわがままに付き沿ってくれてありがとう」
「次の飼育委員優しくしてくれるといいですね」
「急に話しかけちゃダメですよ。びっくりするんで。」
「じゃあ。家に帰りますね。」
「ありがとう。兎さん。」

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