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想定通りに動くエネミーを作る

エネミーは戦場作成の主たる要素だ(といいつつも、筆者はエネミーと同格以上にプロップを愛しているのだが)。
少し言い直そう。戦場の内容がシンプルであるほど、エネミーデータの重要度は増していく。バランスの整ったエネミーを適切な位置に配置できれば、それだけで戦場はほとんど完成すると言って良い。

本稿では、LHTRPGのエネミーを自ら作成するための、私なりのエッセンスを紹介する。エネミーの作り方には様々な方法があり、これはその一つに過ぎない。一部でも参考になるものがあれば幸いに思う。

エネミーがどういうものか知る

エネミーとはどういうものなのか、ざっくりとでも知っておかないと良いものを作るのは難しい。幸い、LHTRPGではWEB上でエネミーに関する各種データを閲覧できるので、積極的に活用していきたい。エネミーは多様だ。色々なサンプルを見て「こんなことができるのか」と知識を増やしておくと、あなたのアイデアも実現にグッと近づくだろう。

エネミーデータガイド」では、エネミーの基本書式についての解説や、ランク10までのエネミーの数値データについて、役割別に掲載されている(エネミー設計にも、クラスのような役割分担の思想が流れているのだ!)。

ログホライズンデータベース」には、330体のエネミーサンプルが掲載されている。公式エネミーの書式に準じた形でテキストを整形すると、万人にとって行動意図に誤解の少ないエネミーを作ることができるだろう。

ここで得られる基本的な骨組みに、特技などを肉付けすると、エネミーの基本が完成する。特に事情がなければ、既存のエネミーの名前や大種族など、主にフレーバー面を変更するだけでも良い。それでテストプレイしてみて、問題点が出たときに初めて修正をすれば大方バランスは整うことだろう。

特技の数を絞る

エネミーの特技は《エネミー識別》によってプレイヤーに公開され、PC側の行動の参考資料となる。GMとPLの両方が適切に自分のキャラクターを操作するためには、この参考資料が簡潔で、誤解のないものである方がいい。

エネミーのもつ特技数が過剰だと、読みにくいだけでなく導線の誤解によって意図しないトラブルが発生する原因になる。良いセッションはフェアプレーによって成り立つものなので、ディベロッパーの誠実を伝えるつもりで難解な表記は出来るだけ避けるようにしよう。

参考までに、筆者は特技数をボスで7個、ノーマルで5個、モブで3個までの目安で作成している。特別な事情がなければ、タイミングが常時のものは1個にまとめて提示する。ひとつの戦場に出すエネミーの種類も、3種類程度にしておくほうが安全だろう。

書式は公式に倣い、シンプルを念頭に

【泥沼】ランク:1
[地形][天然]
探知難易度:自動 解析難易度:自動
解除難易度:不可

▼効果:このプロップは[阻止能力]を持つ。

上の例は、公式シナリオ「千客万来!究極ふかふか肉まん」(リンク先下部よりDL)に登場するプロップの一つである。「足止めしたい」という要求に対して、最小の文字数で万人が誤解なく処理できる書き方でそれを実現している。たいへんに優れたデータであると思う。

注目すべきは、[阻止能力]という公式の定義したルールを利用している所だ。これによって、何かあった時にデータ作者ではなくルールブックから解決法を探すことができる。もちろん、実装によってはバグというべき挙動になってしまうことがあるので、テストプレイではバグがおきるかの確認後、適宜修正することになる。これは特技であっても同様だ。

たいていバグが起きるというのは複雑な処理を試みている場合である。それを修正するためにさらに複雑なコマンドを増やすと、他のバグがおきる火種になることもある。できるだけ、記述はシンプルにまとめた方が(判読のためにも)良い。

LHTRPGには、〔実行条件〕や[タグ]の概念など、あるアイデアを誤解なく記述し動作させるための偉大な仕組みが導入されている。これを使いこなすには初歩的なアルゴリズムの知識が必要となるが、その先にはまだ見ぬ地平線が広がっている。一歩ずつ歩いていけば、彼方へと到達できるだろう。

フレーバーを整える

もし、あなたの要求を叶える特技を作った上で、常時特技をはめ込む余裕がありそうなら、エネミーのイメージのためにこの枠を使ってしまうのもいいかもしれない。

まずは公式のエネミーを当たってみよう。作ったものと同じ種族のエネミーがいれば、それらの常時特技を持たせると統一感がでる。特に類似のエネミーがいなければ、自分の思う弱点などを与えてみるといいだろう。

まとめ

・まずは既成のエネミーを利用せよ
・過剰な量のデータをのせない
・誤解なく記述するよう努める
・テストプレイで誤動作を洗い出す

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