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選択肢を調節する

前回の記事で「シナリオサイドもプレイヤーサイドも、用意したものが最初から無かったように扱われるのは不本意だ。だから、すげなく無効化して終わりというのはやめにしませんか」ということを書いた。

しかし、積極的にPCの一部能力を無効化すべき状況というのも実は存在する。行動の選択肢が多すぎる場合である。

多すぎる選択肢は導線を見えなくする

あなたはセッションの最初に「100種類のキャラクターから好きに1人を選んで、相棒として連れて行くことができる。この選択はゲームを大きく左右する」と言われたらどうするだろう。
技能、戦闘力、性格、見た目…選ぶ尺度は色々あるだろう。しかし、まず確認したいのが、100種類をチェックする自信の有無だ。自信がなければ、あなたは「オススメのキャラクターを2、3体見繕って貰えませんか?」と言いたくなるのではないだろうか。
実は、これと同じことが戦闘の最中に発生しうる。

ある程度の高CRとなった冒険者の戦闘手段は実に多彩だ。特技ばかりでなく、アイテムや装備の効果も数多く、連携まで考えれば行動ごとに非常に多くの選択肢を抱えていると言える。さらに、ヘイトシステムを採用しているLHTRPGでは、MPなどに特徴的な「行動の実質的な使用回数制限」がない。戦闘が続く限り、何度でも打てる特技が多く存在し、それらは選択肢から消えずに残り続けるのだ。

大量の選択肢を抱えたPCはたくさんの判断(ある行動を使う/使わない)をすることになるが、この時PCは先程の「100種類のキャラクターをチェックする」作業と同じことをしている。100もしっかり確認すれば負荷もかかるし、時間もかかる。だから、GMがその選択を先に3種類くらいに絞ってしまえば話はシンプルに進むというわけだ。この、選択肢を絞る手段に無効化がある。

PCの強みと導線は必ず残す

アルシャードというシステムで100レベルセッションのリプレイが発売されている。その時の作者のtogetterが大変参考になるので、ご覧いただきたい。ここで作者の田中天氏が、こんな金言を残している。

https://twitter.com/tanakaten/status/196948150433488899?s=21

高レベルPCの手札は多いが、必ずその中にはメインの行動が含まれている。それを真っ先に無効化してしまうのは、セッション中の十全なロールプレイを阻害する結果を産んでしまうことにつながる。しっかりと「100の中からオススメの2、3手を提案する」ことを心掛けて、その上で残り97の道を潰しにかかるのである。

また、戦場の導線も必ず確認しよう。無効化は非常に影響力が大きいので、それを置いたが為にエネミーが想定通りに動かなくなることもあり得る。一度完成した後見直しをするといいだろう。

対策を撃たせる

[食料]アイテムや消耗表、探索表のロールに対して効果を発揮する特技、あるいは[暗視]を得る特技などは、PC側が得られる「無効化」行動である。これらを十分取得する余裕があるレベルでは、意図的に[疲労]や消耗表、【暗闇】などをセッションに盛り込んでおくと良い。このような対策を目的としたアイテムや特技は、むしろGMが状況を用意しないと行使できないのだ。活躍の機会を簡単に与える方法でもあるので、もし対策を持っていなかった時のことも一応想定に入れながら使うことをオススメする。

まとめ

・選択肢が多すぎると選ぶのに時間がかかる。
・PCの主たる行動を取り上げてはならない。
・対策特技は撃たせなければ持ち腐れ。

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