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プロップで戦場を規定する-プロップの活用(1)

プロップは舞台用語で小道具類を表し、LHTRPGではシーンに設置するもののうち、アイテムやキャラクター以外の様々なデータ群を指す。識別難易度などの数項目以外に共通の制限要素はなく、組み合わせることで極めて多様な方向から戦場を定義づけている。

本稿では[壁][空間]など、種別ごとのプロップの特性を中心に基本的な運用方法やアイデアを紹介する。

探知・解析・解除の可不可を決める

プロップ共通の項目に、探知難易度・解析難易度・解除難易度がある。つい難易度「困難」などを参照して数値を設定してしまいたくなるが、大まかに全体の戦場デザインを確定させるまでは仮に「探知難易度:自動/解析難易度:自動/解除難易度:不可」としておく位の気持ちでデザインを行うことをお薦めしたい。
探知や解析にも手番はかかってしまうため、戦場の全容を把握するには1ラウンド分を潰すか、それをせず運任せに突っ込むしかない!という状況はテンポを考えれば基本的にはあまり良くないだろう。

また、戦場デザイン上絶対に除去されてはならないプロップというのもでてくる。ボスエネミーの行動を実質的に定義づける効果や、いわゆるバグとりの役割を果たすものがそれだ。これらがうっかり解除可能、などとならない用心のためにも、最初は解除不可として後で調整を行おう。

[シーンエフェクト]で方向を定める

【高重力空間】
[シーンエフェクト][天然]
探知難易度:自動 解析難易度:自動
解除難易度:不可

シーン内のすべてのキャラクターは【移動力】が-1される。〔滞在〕[飛行]状態の対象は以下のどちらかを選んで実行する。・対象は[飛行]状態を失う。この効果はシーン終了時まで持続する。・対象は[疲労:6]を受ける。
【ドリームワールド】
[シーンエフェクト][魔法]
探知難易度:自動 解析難易度:自動
解除難易度:不可

シーン内のすべてのキャラクターが行なう攻撃において、本来ならHPダメージを1点以上与えないと与えられない効果は、命中さえすれば与えられる。

[シーンエフェクト]はプロップ種別のなかで最もシンプルなもので、シーンあるいはシートそのものに対して設置する。記述の方向性としては〔滞在〕や「シーン内のすべてのキャラクターは」という文言と関連が深い。
この種別のプロップはシーンに登場している全てのキャラクターや戦場自体に影響を与えるため、戦場における基本的なルールを定める場合に効果的となる。また、[地形][空間]プロップや[隠密]などの状態をあらわすタグと組み合わせることで、やや複雑な実行条件を設定する時にも利用できる。

[シーンエフェクト]は、多くの場合戦場の前提として敷かれる。そのため特別な事情がない限り、探知難易度・解析難易度は自動、解除難易度は不可としておくのが良いだろう。

[空間]は数を絞ってシンプルに

【上昇気流】
[空間][天然]
探知難易度:自動 解析難易度:自動
解除難易度:不可

〔接触〕対象は[飛行]状態となる。この効果はプロセスの終了時まで持続する。
【電磁場】
[空間][機械]
探知難易度:自動 解析難易度:自動
解除難易度:不可

〔接触〕対象が与えるダメージには[電撃]タグが付与され、また優先的に継承される。この効果はこのプロップから離れるまで持続する。
〔滞在〕対象に4点の直接ダメージを与える。

[空間]はSqに対して設置し、〔接触〕〔滞在〕などの実行条件が利用される。持続的な効果には「このプロップの影響下にあるキャラクターは」や「この効果はこのプロップから離れるまで持続する。」という文言が使われることが多い。広義には、侵入不能で射線も通さない「黒塗りマス」も空間プロップの一種と見なすことができるだろう。

Sqそのものを指定することで、プレイヤーに「どのSqに入ると、何が起こるのか」を意識させることになる。1つのSqに対して複数の異なる[空間]プロップは配置可能だが、複数のプロップが重なって入り交じるような配置を作ってしまうと混乱を招く。後述の[地形]もそうだが、誤解に基づく行動選択が起こらないよう、基本的に同じSqには1種類ずつ設置するように調整するのが好ましいだろう。[地形][空間][シーンエフェクト]が1つずつという状況は十分複雑であり、それ以上さらに複雑にするべきではないと筆者は考えている。

[壁]が状況に変化を持たせる

【暗幕】
[壁][機械]
探知難易度:自動 解析難易度:自動
解除難易度:困難

このプロップが設置された辺は通過可能であるが、両側の射線を遮る。([瞬間転移]の移動先を指定する際は、射線の通っている範囲から選ぶ必要がある。)
【ルーンの壁】
[壁][魔法]
探知難易度:自動 解析難易度:自動
解除難易度:本文

このプロップが設置された辺は通過不能となり、両側の射線を遮る。このプロップが《異常探知》の対象となった時、このプロップをエンカウントシートから取り除く。

[壁]はSqとSqの境目に存在する「辺」に対して設置され、〔接触〕〔通過〕といった実行条件が利用される。〔通過〕の実行条件は、キャラクターが実際に辺を越えて移動する前に適用されることに注意したい。

[壁]には戦場を区切り、キャラクターに移動を促す効果がある。また、壁自体に破壊可能な性質を持たせたり、射線や移動の制限を一時的に解除する仕掛けをつくることで戦場に時間的な変化を加えることができるようになる。
PCの初期配置と壁の位置を調節すると、[隠密]状態のエネミーを1ラウンド目の異常探知から守ることも可能である。この場合、プレイヤーは直前の[偵察]特技で得られた情報から隠れているエネミーの数を計算することになる。これも戦場に時間的変化を与える仕掛けの一つだと言えるだろう。

初期配置の位置から《異常探知》をする時、射線が通らないSqは予め把握しておくべきだ。上図のPCから見て、太線の壁に遮られて射線の通っていないSqを灰色で示している。ここに隠れているエネミーからの攻撃は、状況次第では大きな脅威となる。

まとめ

・探知や解析にも手番はかかるため、自動探知、自動解析を基本にする。
・戦場の基本的なルールを定める場合には[シーンエフェクト]が有効となる。
・[空間]の存在は「どのSqに入ると、何が起こるのか」を意識づける。
・[壁]は移動を促し、戦場に時間的な変化を加えるのに役立つ。

次回は残る[オブジェクト][地形]に加え、一部のプロップを無力化する効果について解説予定である。ぜひ合わせてお読みいただきたい。

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