主治医とかかりつけ医の間で
数カ月前から涙がベタベタする症状を感じていた私は、一昨日近所の眼科を受診しました。スマホアプリで紹介された他院の涙器外来を受診するために紹介状と検査データを提供してもらうためでした。しかし、話は想定外の方向に進んでいきます。
涙点プラグ
上下両瞼の目頭にある涙点から生理食塩水を鼻に通す検査をしたところ、問題無く流れたので涙道は問題ありませんでした。従って、涙道の病気を扱う涙器外来を受診する意味は無くなりました。そうすると、原因は眼側か鼻側にあると考えられます。
私は慢性副鼻腔炎を患っていることから、高粘度の鼻水が鼻涙管から目に逆流した可能性が疑われました。特に、鼻うがいで排出されなかった食塩水が鼻腔に残留してできた膿の一部が涙道を経由して目に逆流したのが原因ではないかと考えられました。その逆流を防ぐために、主治医から涙点プラグを勧められました。涙点プラグはドライアイの治療で使われるデバイスで、涙点から涙が排出されるのを防ぐ栓です。これを鼻うがいの後に勢いよく鼻をかんだり等何かの拍子で鼻水が逆流しても目に流入しないよう涙点に栓をすることに応用するアイデアです。初めから上下左右4点すべてを塞ぐのは怖かったので、下瞼左右2点に涙点プラグを適用して様子を見ることにしました。デバイスの費用は 保険適用3割負担で 7,000円 ~ 8,000円 でした。
耳鼻科の見解
今日は問診時に眼科で涙点プラグを装着したことを報告してからBスポット治療に入りました。今回の鼻擦過と吸引はいつもに増して激しいと感じました。鼻粘膜が腫れている時に感じる左鼻上部擦過時の強い圧迫感の他、従来なかった角度でスワッブが抜き差しされました。治療後の長尾先生のコメントからこれは涙道を拡げるためのアプローチだったようです。出血はありませんでしたが、いつもより痛みを感じました。涙がベタベタする症状について、先生の見解は下記の通りでした:
原因はアレルギー。
鼻の治療で治る。しかし、月一回の頻度は少ない。
涙点プラグは外した方が良い。
涙点プラグの着け心地に違和感を感じ、Bスポット治療の頻度を月一回に減らしセルフケア頼みのメンテナンスに疑いを感じ始めていた私は眼科に直行したのでした。
眼科の見解
眼科の主治医に耳鼻科のかかりつけ医から涙点プラグを外すよう助言されたと伝えると、以下の2点を聞かれました:
なぜ鼻涙管を拡げたのか?逆流が酷くなるのでは?
なぜ涙点プラグを抜いた方がいいのか?逆流を防ぐために入れたのに。
私はこれらの質問に答えることができませんでした。
原因がアレルギーと鼻粘膜にあることは理解していましたが、鼻水の逆流が起こる理由と、涙道を拡げる処置の狙いは気にしていませんでした。眼科の主治医からは、医療行為や助言を受けて行動する前にそれらの内容を理解するよう注意されました。全くその通りだと反省しています。涙点プラグの取り外しは一旦保留しました。
逆流の原因がわからない
なぜ私が今回の医療行為や助言に疑問を持たなかったのか、まだ整理がついていません。以下まとめてみようと思います。
一般的に、専門家を信頼することと、その内容を理解することは別である。
特に、複数の専門家と連携して自らの問題を総合的に解決する時には、自分が感じる複合的な症状を引き起こしている包括的なメカニズムに関する仮の理解を持ってから各専門サービスを受ける必要がある。
今回の場合、粘性涙液の原因が目と鼻のどちらにあるのかがわからない。
目に焦点を当てると、アレルギーが原因と思われる。これについては、抗アレルギー点眼剤で治療中である。
鼻に焦点を当てると、副鼻腔炎による粘性鼻汁が涙道を経由して鼻から目に逆流したのが原因と思われる。これについては、Bスポット治療で鼻腔粘膜を強化する根本治療を継続中である。しかし、なぜ鼻水が目に逆流するのかがわからない。
通常は、重力の影響で、涙が鼻に落ちる。これを妨げる原因は何か。
鼻うがい後に強く鼻を噛む行為により、鼻水が重力に逆らって目に押し上げられる可能性はないか。
鼻涙管が閉塞しているため、涙が鼻に降りてこない可能性はないか。涙道通水試験で、生理食塩水が涙点から鼻に流れたことは確認済である。よって、その可能性は低い。
長尾先生が涙道を拡げた背景に、涙道狭窄の疑いがあったと思われる。この点は問診時に未確認だった。
疑問を解消する問診
眼科での涙道通水試験結果を長尾先生に伝え、涙道を拡げた理由を聞いた結果、下記の通りに理解することができました。
逆流の原因は、鼻涙管狭窄による毛細管現象。
両下瞼の涙点プラグに加えて、Bスポット治療で鼻涙管を拡げたことにより、涙が涙道を流れるようになって、涙の粘度が低下した。
生理食塩水を用いた通水試験に加えて、クロールチンクを流せば収斂作用により涙道が拡がる。但し、岩渕診療所のクロールチンクは自家製のため市販されていない。
残された課題は、
涙点プラグの除去
クロールチンクで涙道通水
次回眼科受診時に上記2点を相談します。
境界領域の診断
ところで、外気が乾燥した冬の季節に、別の眼科でドライアイの症状を訴えたら、目に涙があふれている状態と形容されたことがありました。今思うと、これは流涙症だったのかもしれません。
涙道は眼科・耳鼻科の境界領域のため、双方の医師の見解を総合して自分の症状を理解する必要がありました。しかし、痛みや不快感を伴う患者としての当事者意識が強い分、それらを解消するための各科の治療に従おうとする反面、診断の背景にある専門知識への興味や現象理解が及びませんでした。今回の場合は、眼科医の問診で2つの質問が与えられたことがきっかけで、耳鼻科医から毛細管現象を指摘されるに至り、逆流の理由が腑に落ちました。医療の基本は問診であり、境界領域で専門知識をつなぐのは患者の症状です。専門用語を知らない患者が自分の症状を医師に分かりやすく伝えるためには、医師の質問に従って慌てずに自分が感じていることを言葉で伝える必要があります。伝える。これは、医師から治療を受ける前に、患者に与えられたタスクでもあります。良い経験ができました。このノートが皆さんの問診体験向上の一助になれば幸いです。
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