日記(演劇、響ユ、乙武さん、宝石の国)

遊星D「どこへも帰らない」

 知り合いの梢はすかさんの演劇を見に行った。おもしろかった。上記ツイッターリンクから配信が購入視聴できるそうです。
『どこへも帰らない』公演情報|遊星D (note.com)

 特に『ナイト・オン・アース(remix)』という作品が良かった。メタ的な要素を大胆に入れてボケまくるのに、ずっとちゃんとドラマ的緊張感があって、こんなことできるのかと思った。目の前に人間がいるという演劇の特性が活きているとも思ったが、しかしこれをやりきるのは相当すごいセンスが脚本・演出・そして役者全員に求められるだろうなと思った。
 もう一つのメイン作品である『越夜』という作品はピンとこなかった。コロナ禍の大学院生を主人公とするほぼ一人芝居なんだけど、セリフにリアリティを感じなかった。しかし長すぎるよくわからないセリフをちゃんと演じる役者さんから発せられる緊張感はそれはそれで見もので、演劇はすごいなあと思った。


「響けユーフォニアム!」シリーズ

 新任の凄腕音楽教師によって建て直された公立高校の弱小吹奏楽部のおはなし。主人公の一年生から二年生までを2クール+映画2本(とスピンオフ1本)で丹念に描いて今ついに三年生編。
 まっとうに良い青春ドラマでもあるのだけど、組織の物語としてめちゃくちゃ良い。幼い人間達が組織の中の空気やシステムの中で個性を矯正され、組織の細胞としての個性が成長していく。なんと恐ろしくかつ美しいことであろうか‪——‬。
 主人公の黒沢ともよの演技がすごい。プレスコじゃなくてアフレコらしいのに息づかいとかまでなんか生々しい。2期であすかに詰めよるシーンでオロロ〜ンっすよ。

 先ほども言ったように組織の物語としてその怖さと美しさがある。特に2年生編以降は調停者として粉骨砕身する久美子の「労働」がひたすら描かれる。しかしあくまで高校生の部活でしかないので労働と割り切れる感じにもならず、友達関係ドラマと労働モノのいいとこどりとして楽しめる、すごい作品だあ。
 実際にこんな状況があったら友達関係の難しさと職場関係の悪いとこどりなので、久美子にはなりたくなさすぎる。

吉川英治「三国志」

 子供のころ挫折したものを読んでます。人間関係のごたごたと組織の成長と問題を描く作品なので響ユと同じです。
 いやまあ違うのだけど、なんかそんな気分で見ちゃうね〜。
 自分の業を導いてくれる人との出会いに憧れちゃうわい。
 劉備と孔明、後醍醐帝と楠木正成、黄前久美子と高坂麗奈?

 本作は失敗する出会いもいっぱい描かれるのがいい。陳宮は曹操を見出して人生賭けて助けるが秒で「こいつイカれとる!」って後悔するのとか。曹操が関羽に惚れ込むけど劉備との絆を優先するのとか。人と人が出会って覇業にうって出ることの異様な難しさ(そもそも三国全部滅びるバッドエンドだし…)を延々語るからこそ、良き出会いが輝く…。青春だわね!

 また、これが日中戦争の最中にスーパー戦争協力作家によって書かれた戦争協力的作品であるという点でも読まざるをえない。「軍閥が色々な地方に跋扈する時代に、復活した皇帝を名乗る軍隊が武力で中国に平和をもたらす…」という見方を取れば蜀も関東軍(満洲国)も同じかもしれん…。もちろん色々違うんだけど、当時の日本の感覚というのは大和民族と漢民族という隔たりを意図的に無視しているきらいがある。
 実際の満洲国統治では差別も横行したし、なんといっても日中戦争で中国人は日本軍に大量に殺された。しかしそういう事実とともに、当時の日本の中国観には今の排外主義とは全く別の世界観がある。そのややこしさも含めて味わっております……。

補選・乙武さん


 この前衆院補選が行われて、自民が全敗・立憲全勝というわりと驚きの結果になったわけですが、私は乙武さんのことが本当に気になった。
 そもそも選挙とは党と陣営の戦いだと思う。党(正確には党の選対)がうまく戦略を立て、陣営がうまく選挙活動をやって勝つ。
 で、乙武さんは都民ファーストと国民民主党という二党の支援を得て望んだが、その二党の弱さ以上に陣営のショボさが際立っていたように思う。
 初期の調査では二番手格だったのに結果は五位!しかも四位は出来立ての右翼・排外主義政党の日本保守党だから、その惨敗っぷりはすごい。
 今回は投票率が過去最低で、公明の支持を得られた乙武さんはその点で強い(投票率が低いと創価学会の組織票の割合が増えて公明の追い風になる)はずなのに、である。
 今回は自民党が候補を出さなかったのですごく浮動票の割合が大きかった。そこで惨敗したというのは要するに選挙活動が全然ウケなかったのだ。前の不倫が影響したとも書かれているが、もっと根本的な問題だと思う。※追記、つばさの党による選挙妨害はほとんど結果に関係ないと思う。


NHKによる支持政党別調査、浮動票(自民と特になし)を本当に取れてない!



 実際Twitterを見てもスパッとわかりやすいことをいっさい言ってないんです。
 例えばこれとか酷い


 長いしバーチャルラーニング推進とか意味わからんし詳しい説明はどこにもない。動画は別なことを言っているのだが字幕がない。聴覚障害者に配慮してないのもオイオイって感じだが、まずTwitterでウケようという頑張りがいっさい見られない。小選挙区なのでTwitterでウケただけじゃ勝てないが、タレント候補なんだからそういうところで流れ作らないとダメでしょ!
 そして極め付けが西村博之の応援演説!前回出馬時もやって特にウケなかったのにまた頼んだ!

 ノウハウがある人が真面目に選挙に協力していればこうはならんかったと思うんですよ。つまり百合子も玉木も本気じゃなかったと思う、公明はそもそも明確な支援体制すら築かなかった(その割に票は固めてくれたようだ)。個人の陣営にはまともなブレーンがいなかった。(インクルーシブとかいう横文字の多用は百合子一派の考えそうなことだが。)

 まあつまり、人望がなかったんじゃないかって思った。さっきまでの話を引き合いに出すなら、良き出会いと組織づくりができなかったのだろう。
 で、それはなんでかって言うとマッチョさが隠せてないからだと思う。

 強い男になりたいというマッチョな願望が出すぎている。前に不倫報道で出馬失敗したのが影響したかと新聞に書かれていたが、7年以上前の不倫報道が尾を引いたというよりも、今も男らしさのために不倫する奴の顔してんだよな。
 そして不倫報道でいい人イメージが地に落ちたから政治権力に固執するし、ひろゆきなんかにすがっちゃう。そういう哀れさを大衆というのは感知してしまうのだ。
 いかにして乙武さんがマッチョで哀れな中年になったのか、その道筋が障碍と無縁だったとは思わない。しかしこういうおじ様は日本中にいっぱい居るよね……。だからこそ色々考えてしまう。

 今後どうして生きていくんだろう。まだまだ政治活動やってくつもりみたいだが、もう国政選挙で勝つのは無理じゃないかな。国民から比例で出ればワンチャンあるか?
 都民ファで都議会・区議会議員になる道はあると思うが、そういう妥協してもマッチョな願望は満足しないだろうし、今更五体不満足よりすごい本が書ける事もなかろう。
 こういう人間が救われる道はあるのだろうか。無理かもしれん。だって人を救います!ってファイティングポーズをずっと取ってる人は救われない。しかし有名人になりたくて障碍を抱えた体で生まれたわけでもないし、こんな中年になるために本を書いたわけでもないでしょう。誰が救えるのか…?乙武さんもとりあえずユーフォ見とく…?


「宝石の国」

 全話無料で読んだ。フォスが神になるというのが意味わからなかった。最後に宇宙を渡るのも説明がない。多元世界の別世界線に行ったのか完全に別の宇宙に行ったのかもわからん。そこの解釈次第では色々変わる気もする、とりあえずわからんなりに感想。

 ”神”になる、というのは作中において現象として描かれる。神を生み出す方法を月人は知っているし、それが粛々と実行されて神になる。最終的な岩石生命体への継承も、金剛の制作者が意図したもので、すべてがシナリオ通りで、フォスは周りの存在の意図どおり動きつづけたことになる。
 そもそも赤色巨星化した太陽で死ねるっぽいのとかも含めて、フォスの権能が少なすぎないか?つまり神になったフォスってよくできた機械と何が違うんだ?俺は違わないと思うんだよね。要するに月人に必要な金剛が壊れた、月人は金剛の代わりのマシンを作りましたというだけの話。

 本作の仏教モチーフとかメビウス(漫画家)っぽい背景とかすごく好きだったんだけど、最後に涅槃図(だと思う)出されたので冷めちゃった。その程度の存在は仏ではないだろ。悟りとはループからの解放だし、大乗仏教における如来とは宇宙の法則そのものみたいなものじゃないですか。あるいはキリスト教の神というのは運命を決定づけるものじゃん。だから唯一無二なわけじゃないですか。
 でもフォスって形を変えただけでループする世界にいる(だから最後に別の宇宙同じような人物と出会うのではないか)と思うし、宇宙の法則とかの水準にもいない、というより予定された運命を実行するだけの存在。
 多分フォスの祈りが次なる世界(岩石生命体の世界)を善にするという意味での涅槃図(=神聖な死)だったと思うし、次世代への継承が描かれるのがつまらない展開とも思わない。
 だがモノホンの宗教的世界観に比べると劣る宇宙観であることを本作は自ら露呈して終わってしまったのでは?と思う。
 フォスが強くなることで孤独になっていくのがテンポよく描かれる前半とか、月世界で愛欲にまみれて変わってしまうカンゴームとか、そういう話はとても面白かった。類を見ない作品の雰囲気と絵のかっこよさと中盤までの盛り上がりをもって、名作漫画と呼べると思う。

日記

 乙武さんについてくどくど語ってしまったが、15区選そのものもいろいろ面白かった。今後の国政的には須藤元気の躍進のほうが重要だろう。都市におけるれいわの重要性はやはり高い…そして自民の完全な失墜…。おもしれえことになるから岸田はさっさと解散汁!!

 日常生活としてはunity(ゲーム制作ツール)をやっております。最近立て続けに尊敬するインディーゲーム制作者の方と話したのですが、みんなスゴイっす…。私はなんとなくではじめてしまったので、名実ともにゲーム制作者になれるようにがんばって追いつきたいなぁ。


にょ