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中学バスケに「竹内みや」という選手がいるのよ。

竹内みやを初めて観たのは、彼女が小学5年生のときだった。"ディープインパクト"そのもの、まさに衝撃だった。

相模女子大学中学部は全国でも名の知られた強豪校だ。リクルーティングも兼ねていると思われるが、毎年、冬になると中学部主催で神奈川県内のミニバスチームを集めた「マーガレットカップ」が開催されるのだ。

次女がまだミニバスをやっていたときに、参加させていただいたことがあった(現役生の出身チームってのが大きな理由だと思われるが)。そこで、集まったチームが2つに分けられ、トーナメントが組まれる。それぞれのトーナメントで優勝したチームと中学部が、エキシビションマッチを行うのが恒例となっていた。

次女がいたチームは、ビーコルに負けてエキシビションマッチは叶わなかったのだが、大和(たしか)のチームが優勝して中学部と対戦することになった。

全国大会に出るレベルの中学生相手に、負けずとも劣らないハンドリングで会場を沸かせる選手がいた。相模女子大学中学部の応援横断幕に書かれている「Always Go All Out」を体現しているかのように、常に爆速でプレイしていた。「早っ!」「うまっ!」しか口から出てこなかった。しかも、まだ5年生だと聞いた。本当に驚きだった。それが「竹内みや」だったのだ。

姉の「竹内なつ」(現 鵠沼高校)が当時中学部にいたことから「彼女も間違いなく中学部に入るだろう、これは期待できるな」と思い、ひとり心の中でニヤニヤしていたものだ。

姉の竹内なつは、派手さはなくクレバーで冷静沈着タイプのポイントガード。感情を表に出さないポーカーフェイスだ。一方の竹内みやは、ニコニコしながらも抜群のスキルで派手さがあるポイントガードだ。真逆なタイプと見ている。ちなみに、顔もあまり似ていないなと(笑)。

思った通り、中学部に入学した竹内みや。彼女が中学2年だった2022年、夏の北海道全中では大阪薫英女学院中学校に敗れるも8強、冬のJr.ウインターカップでは準決勝に進出。京都精華CLUB(京都精華学園中学校)に敗れるも4強という輝かしい戦績を残した。もちろん、竹内みやもスタートではないがプレイタイムを得て出場していた。

【現地レポート⑨】ここから始まるライバルストーリー ―― 相模女子大学中学校 vs. GOLDEN PHOENIX

Jr.ウインターカップ2022-23公式サイト

昨年のJr.ウインターカップで見せていたステップバックスリー

そして、最上級生となった2023年。否が応でも、さらに上の戦績が期待されるなか、迎えた夏の香川全中。予選リーグ2位(樟蔭に負けた)で決勝トーナメント1回戦に臨むと、竹内みやが21得点11アシストと気を吐くものの、レベルの高い折尾中に24点差で負けて16強どまりだった。

この試合を配信で観ていたのだが、「歯が立たない……」そんな印象を受けた。苦々しい思い出だ。

まだ冬のJr.ウインターカップがある。必ず全国行きの切符を手にして、折尾中にリベンジしてほしい。そう思った。

しかし、県予選決勝でビーコルに負けてしまったのだ。リベンジの可能性が潰えてしまった……そう思ったのだが、JBA推薦枠という形でJr.ウインターカップに出場できるようになった。

本来はシードの相模女子大学中学部だが、1回戦から登場。竹内みやの凄さを見せつつも、強化したというチームディフェンスで相手の得点を抑え、レベルアップを図った竹内みや以外の選手も含めて確実に得点し、白星を重ねた。

これは個人的に感じていたことだが、「竹内みやはオフェンスを抑え気味なのでないか……」

レッグスルーのジャブで相手にドライブを意識させ、次の瞬間にはステップバックしてスリーを沈める。

1回戦で見せた見事なレッグスルーからのステップバックスリー

3回戦でも同じなプレイを見せる


時折見せるスキルは間違いなく高校レベルなのに、チームを意識してか、そこまで自分中心にせず、味方にもパスを散らしている。そう感じていた。

そしてついに、折尾中とのリベンジマッチが準決勝という舞台で実現した。前半は17点のビハインドで終えるが、後半は相手のインサイドを抑えることに成功すると、4Qには一気に相模女子大学中学部に流れが傾く。

そこからは、今まで抑えていたものを解放するかのように「竹内みや劇場」が幕を明けた。

トップの位置でドリブルをする竹内みやのアイソレーション。ゾーン禁止の中学バスケだから完全な1on1状態だ。ゆっくりとしたレッグスルーから一気にトップスピードに上げるドライブで得点を量産。緊迫した場面で見せたバックビハインドパスフェイクは解説の三好南穂さんを唸らせていた。ドライブを警戒して相手が一歩下がってくると、ステップバックしてスリー。

解説する三好南穂さんも「すごい!」「完全にゾーン」とおっしゃっていたように、竹内みやがコートを支配していた。

4Q逆転のドライブ🔥

これだ。これなのだ。俺が見たかったのは自身の能力を最大限に解放させた竹内みやのプレイ。止められない竹内みや。まさにアンストッパブル!実況も「河村勇輝の世界観」という言葉を残していた。

ここでぜひ触れておきたいのが、折尾中のディフェンスだ。

先述したように、中学バスケはゾーンディフェンスが禁止されている。ただ、ダブルチームに行くのは許されている。だから、竹内みやがボールを持つと大抵はダブルチームに来る。その後、マンツーに収束することはなく、ゾーンディフェンスのように「なってしまっている」ことがよくある。あるいは、ダブルチームに行くことを急ぎすぎてゾーンになっていることも。

それをしてこなかった折尾中はさすがだなと。橋口樹の母がコーチを務めるだけあるなと。中学バスケの意義を理解されていると感じた。これだけは触れておきたい。

試合は同点でオーバータイム。3分間の延長にもつれた。先に折尾が得点し2点リードするが、ここから互いに守り合い、1分を切ったところで竹内みやのステップバックスリーが決まる!

延長で見せたお馴染みステップバックスリーが炸裂🔥

アンビリーバブル!!そのままの点差でタイムアップとなり、相模女子大学中学部が初の決勝進出を決めた。

相模女子大学中学部には、竹内みや以外にも素晴らしい選手が揃っている。#7 吉田凜花は他のチームなら間違いなくエースだろう。竹内みやにも負けないポテンシャルを持っている。#11 松浦真央は頼れる3ポイントシューターだ。ポストに入れてくるパスを狙いすましてカットしていた。#5 佐野葵は捻挫というアクシデントから復帰し得点もするという意地を見せた。#6 田村美乃も、#9 中島絢音も攻守に体を張ってチームに貢献していた。

明日の決勝の相手は、昨年の大会で40点差を付けられた京都精華学園だ。だが、チーム力が高まった中学部なら、やってみないとわからない!今日の試合を勝ち切った中学部に不可能はない!

でも、明日は高校バスケを見に行くけども!!

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