サービスチャットについて考えてみた
ChatGPTに慣れてきて困るのが、対人間チャットへの期待値。質とか量の話は置いておいて、基本的にChatGPTのほうがひとつ先を読んだ返事をしてくる。まだ得ていない情報を推測して話し始めるかどうかの違い。まぁ、同じ情報から答えを導き出す速度が圧倒的に速いAIだからできる試行錯誤なんだけど。
ちなみにこれは車会社のWebについてるサポートチャットサービスの話。サービスのページを探していたら、チャットが開いてなにかお手伝いできる?ときたのでつい聞いてみたときの話。さらに脱線するがこれも弊害の一つ、そもそもチャットで解決できるかもという期待値が上がってしまっている。一昔前ならそもそもチャットに尋ねようとは思わなかった。ChatGPTでの自分の成功体験がこうした行動を変える動機になっている。それ自体はいいことなんだけど、まだまだチャットサービスの質が追いついていないのが現状だ。
話を戻そう。こうしたチャットによるサポートは時代と共に電話から問い合わせフォームやメールと変化していき、どこかのタイミングでチャットが登場してきたわけだが、フローとしては電話の時代から変わっていない。ただ非同期性のメリットが追加されただけだ。つまり会話をしている間ずっと時間を拘束される必要がない。
でも電話、つまり相手を拘束しているからできていた手法は、非同期なやり取りでは効率が著しく悪くなることも考えないといけない。基本的なやり取りの形式というのは電話の時代とチャットでも変わっていないように感じる。電話だったら必要な情報を一つ一つ順番に聞いていくのは当たり前の方法ではあったけど、これをそのままチャットに持ち込まれるとうっとうしく感じてしまう。これはたぶん非同期なやり取りのためだろう。
非同期のメリットは、つまり裏返すと会話のコンテキストを覚えておかなければいけないと言うデメリットとなる。非同期なのでいったん他へ頭を切り替える。チャットの返事が来たらやってたことを中断してコンテキストを思い出して会話を続ける。会話の中の各発言はステートレス、いわばHTTPリクエストのようなものなのだ。発言の間にある話題、テーマ、目的を覚えておかなくてはいけないセッション情報セットアップにはそれなりのコストがかかる。ポストのたびにセッション情報のアンロードとロードが発生する、これがチャットでのやり取りのフラストレーションの原因なのではないかなーと考えている。
それで最初のテーマ、ChatGPTの「足りない情報を推測して返事を生み出すフロー」が、チャットでのやりとりには向いていると言うことなんだろうと思う。もしくは足りてない情報を全部最初に列挙してくれたら一気に答えられるのでそれもありだろう。電話によるサポートから時代は流れているはずなのに、基本的な流れが変わっていないのは残念なところだ。AIによるチャットブームをいまの流れに閉じ込めてはいけない。ユーザーの期待値も上がっている今、サポートのあり方、情報の取得方法、いろいろアップデートしていくときなんだろうと思う。