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バスケの言い分 ウェブ保存版

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MACPOWER誌にて2000年7月号から2004年12月号まで5年にわたって連載されたコラムを当時のままの文章で公開します。内容的には今読むとアレですが、まぁそれはそれとしてお… もっと読む
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記事一覧

[#52] 文句も尽きました

この連載が始まったのは、Mac OS Xが正式に発表される前、パブリックベータの配布前夜といった時期だった。そこから4年半、いろいろ好き勝手なことを述べてきたなぁと、われながら思うが、どうも最近文句も尽きてきた感がある。当初文句を言い始めたころのテンションは保てなくなっているというのが、正直なところなのだ。理由はいくつかある。 まず歳を重ねたこと(笑)。30代前半と後半では、テンションも違う。また最近は猛烈に忙しく、呑む時間も割いて仕事をしている。オレにとっては「呑む時間

[#51] 哀愁の「🍎」メニュー

パリではApple Expoなんてものが行われて、iMacもG5になったこの時期になっても、いまだにWWDCでのキーノート・スピーチで気になっていることが1つある。それはMac OS X v10.4(以下、Tiger)の「🍎(アップル)」メニューだ。壇上でスティーブ ジョブズがデモで使っていたマシンでは、どうも見た目がほかのTigerとは違うOSが使われていたのだ。顕著なのが🍎メニュで、青地に白でリンゴマークが表示されていた。なんか普通のメニューではないぞ、と主張しているよう

[#50] Spotlight に将来はあるのか? : WWDC 2004 レポートその2

WWDCでの Tigerの説明は、検索機能のデモで始まった。ファイルの管理が大変になってきた、最近のパーソナルコンピューティング。インターネット上の情報ならGoogleで一瞬に探せるのに、自分のマシンの中の情報はなかなか見つけられない。何たることか。ということで、Tigerでは検索機能の強化が図られることになったわけだ。それが「Spotlight」である。 デモの中では、メニューバーの右端に虫眼鏡アイコンが常に表示されており、そこをクリックすることで検索フィールドがポップア

[#49] Dashboard と Core Image : WWDC 2004 レポートその1

今年もWWDCの季節、たまっている仕事を何とか片づけて、Mac OS Xの次のバージョン「Tiger」のプレビューを観にサンフランシスコに来ている。今回は、Tigerの新機能が開発者の目にはどう映ったかを書いてみよう。 ただし守秘義務の関係上、スティーブ・ジョブズのキーノートスピーチで語られたこと以上のことは、残念ながらここには書けない。キーノートの内容は、どうしても見た目が派手なものに限られてしまう。開発者会議なのでもっと突っ込んだ内容でもいいと思うのだが、それだとジョブ

[#48] 名前はありませんが、実は私、こういうモノです

先月は、名前がないほうが都合のいいときもあるぞという話だった。名前がないという状態がもたらすメリットについて、いろいろ考えてみたのだ。今月は、名前がない世界でいかに個々を認識するかということについて、掘り下げてみたい。 先月の最後に話題にした、「名称未設定」というテキスト書類を例にとってみよう。たくさんの情報を、メモ的に書き留めておくのには非常に手軽な仕組みである。しかし、じゃあ数多くあるメモ的ファイルをどうやって区別するのか?という話から考えてみる。つきつめてみると、個性

[#47] 名前なんてないほうが自由に生きていけるのです

先々月、名前を付けるということの重要性について書いてみた。今月はその続きとして、逆に名前がないとどうなるかを考えてみる。実はPerlやPython、JavaScriptなどに代表されるスクリプト言語では、名前のない関数を作れたりする。名前がなくてどうやって呼び出すのかというと、文章だけでは説明も難しいのだが、まぁ関数自体をオブジェクトと考えて、それに「実行しろ」という命令を送るようなモノだと思ってもらいたい。 ではプログラミングにおいて、関数に名前が付かないと、どういうメリ

[#46] PowerPlantから離れられない本当のわけ

以前、Xcodeの話をした時に、「もうCodeWarriorを使うのはやめる!」と宣言してしまったが、あれから4カ月、いまだに使わなくてはいけない状況が続いている。まったくもって面目ない。しかも新しいパージョンに更新しないぞ、とまで言っていたと思うが、これも更新してしまっている。言い訳になるが、理由はクライアントサイドの要求だからなのだ。プログラミングを仕事に飯を食っている以上、これは断るわけにはいかない要求なのだ。MacPower誌で宣言してしまったんですけどー、なんていう

[#45] 名付け親にはプログラマを

ものに名前を付ける、という行為がある。普段の生活ではあまり行うことではないかもしれないが、世のなかのものにはたいてい名前があり、それは誰かによって命名されている。次のプロジェクトの名前、生まれてくる子供の名前、拾ってきたペットの名前、ホームページの名前 - などなど。 我々プログラマも、ものづくりに関わっているということもあり、名前には意外と敏感である。例えば、自分でソフトを作って発表する場合、ソフトの名前の付け方次第で、そのプログラムの将来もけっこう決まってしまうものだ。

[#44] Xcodeをネタに考えてみよう : 開発環境とプログラマの指向性 その3

さて、前回はEclipseというJava用の開発環境を説明した。あれだけ褒めていたわりには、実はオレ自身はEclipseを使っていない。その理由とは簡単で、Macのアプリとしての出来が悪いから。それにつきる。たくさんの魅力的な機能を備えてはいるが、使い勝手の悪いツールを日常的に使うということは、開発者にとって、とてもストレスになってしまう。 EclipseはJavaで書かれている。だからWindows Linux, Mac OS Xじようにちゃんと動く。だから、多少の使い勝

[#43] Xcodeをネタに考えてみよう : 開発環境とプログラマの指向性 その2

現在最もホットなプログラミング言語は何か、といえばJavaと答えるしかないだろう。正直最初に見たときは、これだけの普及を見せるとは夢にも思わなかった。予想をはるかに超える勢いで浸透し、しかもプログラミングという文化において、新しい動きを見せつけてくれている。それはパラダイムにとどまらず、ツール面でも新しい動きをしつつあるので、ちょっと解説してみよう。 EclipseというIDE[*1]がある。基本的にJava言語のためのものであり、なおかつJavaの実行環境で動くものだ。い

[#42] Xcodeをネタに考えてみよう : 開発環境とプログラマの指向性 その1

Xcodeが発表されてから早いもので、もう半年近くになる。Pantherの発売とともに正式版1.0も登場し、以前に比べるとバグも減りずいぶん安定してきた。まだまだ未完成なところも多く突っ込みどころは満載なのだが、ここいらで話題として取り上げてみるのもいいだろう[*1]。 Mac OS Xの開発環境の前知識を簡単にまとめてみると、まずXcode の前身としてProject BuilderってのがMac OS X標準の開発環境として存在していた。これは無料で手に入る。それに対し

[#41] Panther気に入ってます - たまには手放しで褒めてみましょうか

ついにPantherが発売になった。WWDCでプレビューを見て以来、本当に待ち遠しい日々が続いたが、これでようやくPantherの良さについて堂々と話せる日が来たわけだ。そのくらい自分では気に入っているバージョンアップである。 まず目に付くのは描画速度の速さだ。これまでのどのバージョンのMac OS Xよりも、いろいろな処理が高速化されている。これは普通に使ってみてすぐにわかるくらいだ。確かテキストのレンダリング速度がアップするということを言っていたので、それの効果が大きい

[#40] プログラマってのは日々バグと戦ってるんです

先日、高尾山に登ってきた。山登りに行くっていうのもガキのとき以来。なんか懐かしい雰囲気だ。なんで山に登ったかっていうと、運動不足の解消(笑)というのもあるが、もう1つ、最近プログラミングのほうで解決できないバグに悩んでいて、一度ちょっと頭の中を空っぽにしたかったのだ。 自分で書いたコードというのはなかなか厄介な部分がある。細部まで熟知しているはずで、もちろん実際にかなりの部分は把握しているのだけど、実は細部の挙動はいまいちつかんでいないっていうこともたまにある。こういうとき

[#39] 使いやすい道具の手触り感

CLIEの新作「UX50」を手に入れた。画面がきれい、速度も速い、キーボードも使いやすい。最初にPalmを買ったのはずいぶん前のことだが、それから数えて5代目のPalm OSデバイス。いつもあまり使いこなすことができずに人に譲ってしまってたが、今回のCLIEはとても気に入っている。細かい作りもいいし、付属アプリも使い物になる。長い付き合いになりそうだ。 しかし不満はある。1つはSONYの意図する機能とPalm本来の機能がかみ合っていないということだ。Vaioでも同じことが言