幼稚園生活とコロナ禍
幼稚園に合格し、入園まで5ヶ月。
入試までにクリアできなかった部分をクリアし、さらに園生活に必要な物の名前、生活の指示、自分の要求を伝える言語力は最低限身につけないとなりません。
しかしここで窮地に立たされました。コロナ禍になり、自粛生活を余儀なくされたのです。通常の外出はおろか、療育にも行けなくなりました。普段からワンオペでしたので、家の中で2人きりでやり込むしかありませんでした。
幼稚園は入園そのものが遅れ、6月半ばに始まりました。
ここで今まで全く予想していなかった問題が出てきました。「マスク」です。
その頃の息子は、“誰かが喋っているのを見れば注目する”ようになっていたのですが、マスクをされていると意識がそこに向きません。
しかしコロナ初期でまだまだ慎重な時期、外してもらうことも出来ません。
まだマイク(ロジャーのようなもの)を購入していなかったことを後悔しました。すぐに相談し、夏休み前に購入して、夏休み中に慣らすことになりました。
2学期から絵本読みやお話の時間にマイクを使ってもらうようにして、徐々に園生活からも言葉が増えてくるようになりました。
しかしお友達とのやりとりは、先生を挟まないと難しそうでした。
だんだんと子供達だけで遊ぶ時間が増えてきてから、衝突することも増えてきました。
ここで言語が遅れていたことの弊害を思い知らされます。
当然ながら、健聴児達は思うようにならなかった時に説得されてきたり言い聞かせられてきた経験が息子より多いのです。
息子がいかに聞き分けが悪く、その経験の少なさから気持ちの切り替えが困難で幼稚か、毎日のように痛感させられました。
言葉が出ないことよりも、それで精神的にえぐられる日々でした。
しかし、もっと経験を増やしたいと思っていても、コロナ渦でお友達を誘うことは難しく、なかなか機会を得ることができません。
言葉だけが伸びても、経験の差を埋めるのはやはり容易ではありません。どうするのが理想的だったかを何度も話し合い、3歩進んで2歩下がるような速度で少しずつ心の成長も伸びていきました。
お友達とのやりとり以外に難はなく、言語面も生活面も伸びていたので、語彙検査では2年経たずで年齢相応に追いつきました。発達検査では健聴児と比較しても優秀なスコアを出していました。
やりとりに難があるのに、検査結果は良好。検査される項目には、息子の困り事を拾うことは一切できないようでした。
年中の終わり頃から、全てが落ち着きだしたのですが、息子に必要だったのは結局のところ言語力、語彙力、実体験の回数でした。言葉で説明して通じる経験を重ねることで、本人が納得でき、少しずつ自らの力で前に進む力がついたのだと思います。
ここに至るまで、日々のサポートが本当に大変でしたが、めげずに向き合ってきて良かったと心から感じています。
この日々のフォローがGoogle検索で「難聴児」と入力すると、候補に「子育て つらい」と出てくる理由だと私は思ってます。
しかし、これほど濃密で長い時間を過ごした日々は、私の人生で初めての経験でした。
この経験は他では得られない貴重な宝物です。苦しさももちろんありましたが、その中で見出す成長と喜びは計り知れません。
日々、家庭でどのようなフォローをしていたかは、別の記事にまとめたいと思います。
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