主人公のRPとベレトスの縁(よすが)

主人公(ベレトス)とプレイヤーの間で認識の齟齬が生じる話から。自分は今、珍しく酒飲んでます。
情報の精査はしてないです。酒入ってるから。明日も仕事だ早よ寝ろ。

まあネットの意見ですが、ジェラルトが死んだときも絡みがあまりなかったから主人公がそこまで悲しんでるのが理解できなかったとか、主人公がやたら持ち上げられている気がするとか、そういった『プレイヤーがついていけてない』状態の人が結構いて。
物語の流れに納得してないプレイヤーが存在するという。
中には、ジェラルトが死んだとき大修道院全体がお通夜モードで悲しむことを強要されてるようで嫌だという意見もみかけました。

こっからは私の意見。ぶっちゃけプレイヤーの意思ってどうでもよくないですか?だってロールプレイングゲームだし。RPGの意味をご存じか?

TRPGというアナログゲームの一種がありますよね。あれはプレイヤーとプレイキャラクターを明確に分けて、キャラクターを演じることでゲームを進めていくんですよ。
このキャラクターはこういった状況に陥ったらこう動く、この性格なら何て言ってどこに目星をつける……。プレイヤーがキャラクターを操作するのですが、シナリオの中に存在するのはプレイヤーではなくキャラクターです。

昨今はデジタルゲームでRPGが遊べるようになってます。RPGの意味を考えた場合、プレイヤーとキャラクターの関係は先の通りです。ゲームの主人公を操作するのはプレイヤーだが、ゲーム内の世界で生きているのは主人公というキャラクターである、という。
ゲーム内で製作側が想定した主人公の役割だとか性格があります。プレイヤーはそれに則り主人公を演じる必要があります。

ポケモンの主人公とかドラクエの主人公とか例を色々出そうかと思ったけど、ややこしいからやめた。

風花雪月の主人公ベレトスですが、名前も誕生日も好きに設定できます。
しかし最初に設定した誕生日は偽物で、主人公の母の命日が1159年角弓の節(9月)20日以前となっております。ベレトス誕生も同じタイミング。母の名がSytryで制作側が設定した名前がBylethと法則性が存在している。
プレイヤーが設定する名前も誕生日もストーリー上意味は無く、むしろデフォルト名の方に意味が発生している。
ベレトスの人生を描くためプレイヤーの意思は本当に必要なのか。

……別にプレイヤーの選択をないがしろにしたいわけじゃなくてですね。プレイヤーの選択だってストーリーに影響与えてますよ。学級選択とかスカウトとか。
でも、一本道の部分だってあります。その一本道で描写されている主人公や世界を『同調できないから』でプレイヤーごときが否定しないでほしい。ただそれだけ。

う~ん、なんか文章が苛立ってるように見えなくもない。自分は結構色んな意見を興味深いと感じながら読んでるので、怒ってたりいわゆるお気持ち表明をしたりは無いんです。議論はしてみたいかも(議論好き山口県民性)

主人公先生と白雲の章の出来事の整理

ベレトスって、ジェラルトやソティスやガルグ=マクの人々に強い愛着を持ってると自分は捉えています。プレイヤーによっては、まずそこから「違う」と感じる人もいるみたいだけど、ベレトスがそこに強い愛着を感じないわけがないでしょう?

物語序盤、ベレトスは感情の薄い人物でした。内部でソティスが眠っていたため、ベレトスもぼんやりとした日々を過ごしていたのでしょう。
当時のベレトスには、ジェラルトの他に他者との繋がりはありませんでした。戦場以外では人を遠ざけ、外部とのやりとりは全てジェラルトが行っていたと。ベレトスにはジェラルトしかいなかった。

やがてソティスの意識が目覚めに近づくと、ベレトスは夢でソティスを認識するようになり、ルミール村に滞在していたときに初めてソティスと意思疎通ができました。
さらに、エーデルガルトを庇い命を危険に晒したことをきっかけに女神の力を引き出せるようになります。

時の長さも人との距離も存在しなかったジェラルトだけの世界に、ここでソティスが加わります。常に同じものを見聞きし最も近い距離で意見を交し合うソティスの存在のおかげで、ベレトスの人生は時を刻み始めたのかもしれません。

ガルグ=マクに滞在するようになり、ベレトスは大勢との共同生活を経験することになります。ジェラルトは騎士団長の役割を押し付けられセイロス騎士団の長に近い立場で日々忙しく過ごすようになります。一方ベレトスは教師になります。教師に推薦したのはアロイスで、ベレトスの知らなかった父の繋がりをここで知ることで一気にベレトスの世界は広がったようにも感じます。一番最初に接触してくれたのがアロイスで良かった。

学級選択にはプレイヤーの意思が影響しますが、少なくとも一部の時点では学級の分け隔てなく、なんなら生徒も大修道院の一員となってガルグ=マクの全ての人々と接することができます。
修道士、騎士団員、商人、近場に住む人々、各国から集まった士官学校の生徒たち。彼らとの交流をソティスと共有しながら、ベレトスは情緒を育んでいきます。

ベレトスは、大修道院に来る前からジェラルトによって高度な教育を受けていたはずです。突然教師に任命されて当たり前のように教師がやれているのも、それだけの知識をすでに身に着けていたからで。一時はセイロス騎士団の団長を務め、なにより後天性眷属として長い時を生きてきたジェラルトならベレトスにチート級の教養を与える事だって可能でしょう。
その知識が実のあるものとして改めてベレトスの体に刻みなおされたのが、多彩な出自の多くの人々との交流でしょう。
ガルグ=マクはフォドラ中に繋がりがあります。そこで暮らすだけでも貴重な知識経験を得られる。それだけじゃなく、士官学校には各国の上層部に関わる子供たちがおり、その教師をするという経験はベレトスを知らず知らずのうちに指導者の器に成長させていったのではないでしょうか。

風花雪月のストーリーは第一部と第二部に分かれていますが、第一部のなかでも前半と後半に分かれています。鷲獅子戦の前と後です。

五月、士官学校の生徒を襲撃した盗賊団の討伐。
六月、小領主ロナートが中央教会に対し挙兵。中央教会所属の士官学校生も鎮圧に加勢。ロナートを煽ったのは西方教会。
七月、西方教会の襲撃。シャミアが丁寧に罪状を並べてくれてるが王国領主の先導、大司教暗殺未遂、聖廟への襲撃……他。大罪人ですな。
八月、マイクラン。これはゴーティエ家とフラルダリウス家がセイロス教団に依頼をする形、英雄の遺産には英雄の遺産をぶつけるという理由で主人公の学級が選ばれる。
九月、フレン誘拐。

八月のマイクランを除けば、中央教会周りの揉め事を片付ける課題が多くなっています。マイクランの件は割と正当な教団のお仕事ですね。治安維持のための賊討伐。英雄の遺産だけはイレギュラーですけども。
そして十月に鷲獅子戦が行われます。

九月の終わり、フレン救出の直後、ベレトスが笑顔を浮かべ級長に指摘されるシーンがあります。そして翌十月から外伝が本格的に発生するようになります(ロストが関わるドゥドゥーのみ九月からだが、九月はフレン散策で一節丸々飛ばす場合もある)。
ベレトスが感情を表に出すようになり、生徒たちとの関係も密になり、フレンが学級に入ることで眷属側とも距離が縮まり、ジェラルトも我が子の変化に驚く……十月のベレトスはとても充実してるんです。個人的には、ベレトスが最も多くを持っていたのがこの十月だと感じています。
鷲獅子戦の後のわちゃわちゃとした空気感もとても愛おしいですね。

十一月、ルミール村の惨劇
十二月、ジェラルト死亡
一月、ソティス消失
二月、帝国軍の介入
三月、開戦

第一部後半をざっくりとまとめると、これです。ベレトスはここから失ってばかりなんですよね。

十一月のルミール村、《帝国領》の《一般村人》が被害に巻き込まれます。その様は惨憺たるもので、単なる賊の襲撃とは桁違いのもっと強大な力を持った勢力の関与が認められ、フォドラ中を巻き込む大災厄の予兆となっています。
ここでベレトスは強い怒りを露わにします。ソティスは安寧を脅かす存在は成敗するべきだと言います。
思えば、ソティスと意思を通わせ級長たちと出会い物語が動き始めたのもルミール村でした。またもやルミール村で流れがかわるのか……。

十二月は舞踏会や女神の塔イベントで持ち直しはするものの直後にジェラルトを失います。
ベレトスにとっては最も古く最も強い繋がりです。大修道院で大勢と関わり親離れが進んでいたとしても、それでも、ベレトスにとってジェラルトは大切な大切な縁(よすが)でした。
ベレトスは初めて泣き、周りが心配するほどに落ち込みます。ジェラルトはジェラルトで騎士団長(代理)として多くに慕われていたため、大修道院は一時重い空気に包まれます。

一月に入り、騎士団は大規模な捜索に乗り出します。単にジェラルトが殺されたからではなく、ルミール村の黒幕との繋がりが疑われており、フォドラの安寧のために騎士団は動いています。
一方ベレトスは置いてかれてます。復讐心に駆られて何しでかすかわからんと思われるくらいにベレトスはショック受けてます。
級長が得た情報で敵の居所を掴んだベレトスは、反対するレアを折れさせクロニエに突っ込んでいき、結局はソティスを失ってしまいます。
この際、ソティスはベレトスに女神の力を譲与します。今まではソティスの力をベレトスが借りて引き出していたのが、ベレトス主体になっていくのです。
ソティスはベレトスがジェラルトの次に得た縁で、情緒を発展させていく中で彼女は最も近くに存在しました。ベレトスにとって大切な縁を立て続けに失ってしまうのです。

二月、聖墓にて帝国軍の襲撃。
どの学級を選ぼうが、ベレトスにとって生徒の一人であったエーデルガルトが明確に敵として出てきます。初めての生徒の敵対で、初めて生徒を失う瞬間でもあります。後に紅花ルートを選ぼうが、少なくともこの課題戦闘の場面ではエーデルガルトはベレトスにとって敵方であり悪役であり、裏切り者です。

ここまでで、ベレトスの認識する敵の移り変わりは以下。

  • 六月…ロナート

  • 七月…ロナートを扇動した西方教会+死神騎士(エデ)

  • 九月…死神騎士+炎帝

  • 十一月…ソロン(アガルタ)+死神騎士(エデ)

  • 十二月…クロニエ(アガルタ)

  • 一月…ソロン+クロニエ

  • 二月…炎帝=エーデルガルト=アドラステア皇帝

西方教会を扇動していたのもまた黒幕アガルタでしょう。
そして、炎帝がルミール村で言い訳していたようにアガルタとエーデルガルトが別の思想で動いていたとしても、協力関係を築いている点で「口では何とでも言える」になるんですよ。ルミール村でのジェラルトの意見は真っ当だし、あの時ベレトスは炎帝に対してもかなり怒っていた。

ルミール村の惨劇を起こし、ジェラルトを殺した許せない集団(アガルタ)と行動を共にする炎帝が生徒の一人で、しかもそのままフォドラ中を巻き込む戦争に発展していく。ソティスの残した、安寧を脅かすものは許すなという意志。

第一部で築いた縁を横から一本足すならば、レアとの繋がりでしょうか。レアにとってベレトスは命の恩人ジェラルトの子で、シトリーの忘れ形見で、ソティスの紋章石を持っていて、とにかく特別な存在です。ジェラルトは「レア様に心を許すな」みたいなこと言ってたけど、そのジェラルトがレアと親しげだし、レアもレアで自分のことを気にかけてくれるし、そんなレアは周りにめっちゃ慕われてるしで、ベレトスがレアを必要以上に嫌う理由もないんですよ。エーデルガルトやジェラルトみたいな、レアに対し不信感を抱くような理由がベレトスには一切無い。不信感を抱くのはプレイヤーのみであると。
ソティスがレアを警戒していたのは、記憶喪失になっている自分に何かしら関与しているからという不信感かな。記憶取り戻したところでソティスは自身の復活を禁じていたのでレア様お説教食らうでしょうけど。

第一部のラスト、レアが戦場に立つ前にベレトスに言った「皆を、子供たちを、頼みましたよ」という言葉。これは第二部に入ってからのベレトスの道標になったのではないでしょうか。
ジェラルトやソティスや、大修道院で過ごし培ったあらゆるものが、復讐ではなく多くの民の、皆のための力に方向転換させたのがレアの言葉なのかな、とか。

疲れた。気が向いたらまとめ書くかも。いや、もう書かないかも。言いたいこと書いたからもういいや。飽きちゃった。
それはそれとして、プレイヤーの意思ってどこまで反映させるべき?
最初の学級選択で、もしプレイヤーの意思が関わらなければベレトスはどの学級を選んだと思う?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?