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重要な局面でのフリースローの成功率が低くなる現象について


プレッシャー下でのパフォーマンスが低下する「チョーキング」現象(注1)は、スポーツ界でよく知られています。
特にバスケットボールの試合で重要な局面でのフリースローの成功率が低くなる現象について、この論文ではその要因を分析しています。

ESPN.comから取得した2002年から2013年までの男女のカレッジバスケットボールとプロバスケットボール(WNBAとNBA)の試合データを用いて、プレッシャー下でのフリースロー成功率に性別やプロフェッショナルか否かがどのように影響するかを調査しました。

その結果、試合終了30秒前の緊迫した状況下では、WNBAとNBAの選手はそれぞれ5.81ポイント、3.11ポイント、フリースロー成功率が低下することが分かりました。

また、女子カレッジ選手は2.25ポイント、男子カレッジ選手は2.09ポイント、成功率が低下しましたが、NCAAの女子選手については統計的に有意な結果は得られませんでした。

また、カレッジ選手とプロ選手のチョーキングの差は、プロ入りする予定のある男子カレッジ選手とそうでない選手を比較すると顕著であり、プロ入りする選手のフリースロー成功率はプレッシャー下で6ポイント低下しました。

最後に、女性と男性のチョーキングの傾向には有意な差は見られなかったとの結果が示されています。

この研究から、プレッシャー下でのパフォーマンス低下は、性別やプロフェッショナルか否かによっても影響を受けることが明らかになりました。今後、選手たちの心理的サポートやプレッシャー対策が求められるでしょう。


この研究の結果は、バスケットボール選手たちにとって、プレッシャーに対処する方法を研究することの重要性を示唆しています。

例えば、選手たちはメンタルトレーニングを受けることで、プレッシャー下でのパフォーマンス低下を防ぐことができるかもしれません。

また、コーチやチームスタッフは、試合の緊迫した局面で選手たちがリラックスしてフリースローに集中できる環境を整えることが重要です。

さらに、この研究はプロ選手とカレッジ選手の違いについても考察しています。

プロ選手になることが決まっているカレッジ選手は、プレッシャー下でのフリースロー成功率が特に低下することが分かりました。
これは、プロ入りを目指す選手たちにとって、プレッシャーに対処する能力がより重要であることを示しています。

最後に、この研究が性別に関してもチョーキングの傾向に有意な差がないことを明らかにしています。
これは、男性選手と女性選手が同等のメンタルサポートが必要であることを示唆しています。

総じて、この論文はプレッシャー下でのパフォーマンスに影響する要因を明らかにし、バスケットボール選手や関係者がプレッシャーに対処する方法を模索する上で貴重な知見を提供しています。

参考文献:プレッシャー下でのフリースローの失敗:プレッシャー下でのチョーク(詰まる)の要因分析、マティ・トマ、スポーツ経済学ジャーナル 18 (6), 539-559, 2017

注1)
プレッシャーの中でのチョーキング現象(チョーク)は、高いプレッシャー、緊張、ストレスがかかる状況下で、個人が通常であれば達成できる能力を発揮できなくなる心理的な状態を指します。これは、アスリートやパフォーマー、試験を受ける学生など、さまざまな状況で発生することがあります。
チョーキング現象が起こる原因はいくつかありますが、以下のような要素が関与していることが一般的です。







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