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ロッカーシューズが慢性アキレス腱炎患者のランニングと歩行におけるアキレス腱の負荷を軽減する

こんにちは。

今日はアキレス腱炎患者の歩行やランニングにおいて、ロッカーシューズがどのように役立つのかを調査した論文を紹介します。

【注目ポイント】

  • アキレス腱炎患者がロッカーシューズを履くことで、歩行やランニング時の足首の内側のプランターフレクションモーメントが減少

  • ロッカーシューズはアキレス腱炎の保存的治療に役立つ可能性がある

  • ロッカーシューズが筋活動に大きな変化をもたらさない

この研究では、慢性アキレス腱炎の患者13人を対象に、標準のランニングシューズとロッカーシューズを履いた状態で歩行とランニングの3次元ゲート解析を行いました。

また、ふくらはぎと前脛骨筋の筋電図も同時に記録しました。

研究の結果、ロッカーシューズを履くことで、ランニング時における足首の内側のプランターフレクションモーメントが13%(0.28 N m/kg、p < 0.001)、歩行時にも13%(0.20 N m/kg、p < 0.001)減少しました。また、歩行時には前脛骨筋のピーク活動が35%(p = 0.015)増加しました。しかし、ふくらはぎの筋活動には、どちらのシューズでも大きな違いはありませんでした。

この研究の結果から、慢性アキレス腱炎患者がロッカーシューズを使用することで、歩行やランニング時の足首の内側のプランターフレクションモーメントが有意に減少し、アキレス腱への負荷が軽減されることが分かりました。
また、ふくらはぎの筋活動に大きな変化がないことから、ロッカーシューズはアキレス腱炎の治療において安全に利用できる可能性があります。

ロッカーシューズは、アキレス腱炎の痛みの緩和や治療において、安静や負荷軽減が重要であることを考慮すると、非常に有益な選択肢となるでしょう。

また、この研究から、ロッカーシューズを使用することで、前脛骨筋の活動が増加することが示されました。これは、アキレス腱への負荷を減らすために、他の筋肉がより活発に働いていることを示唆しています。
今回の研究は、アキレス腱炎の患者に対するロッカーシューズの効果を詳細に調査したものであり、今後の治療法の開発や改善に役立つことでしょう。アキレス腱炎患者にとって、ロッカーシューズは歩行やランニング時の痛みを軽減し、日常生活の質を向上させる一助となることが期待されます。

参考文献:
Sobhani, S., Zwerver, J., van den Heuvel, E., Postema, K., Dekker, R., & Hijmans, J. M. (2014). Rocker shoes reduce Achilles tendon load in running and walking in patients with chronic Achilles tendinopathy. Journal of Science and Medicine in Sport, 17(3), 267-273. https://doi.org/10.1016/j.jsams.2014.02.008

ロッカーシューズって何?

ロッカーシューズは、特殊な形状を持った運動靴の一種で、ソールが厚くカーブした形状をしています。このカーブが、歩行やランニング時にかかる足への衝撃を分散させる役割を果たします。また、ソールのカーブは、地面との接地面積が減少し、足首やアキレス腱への負荷を軽減する効果があります。
ロッカーシューズは、足や脚の痛みや不快感を軽減することが目的で開発されました。そのため、アキレス腱炎や足底筋膜炎などの足の障害を抱える人々にとって、痛みを和らげる効果が期待できます。また、健康な人が履くことで、歩行やランニング時の筋肉や関節への負担を減らし、疲労軽減やパフォーマンス向上にも寄与することが報告されています。ただし、ロッカーシューズが必ずしもすべての人に適しているわけではないため、使用する際には自分の足の形や状態に合ったものを選ぶことが重要です。


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