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バスケットボール日本女子代表OQT 感想雑感

女子日本代表戦、3試合最高でしたね。本当に感動しました。
かねてより女子日本代表及び恩塚HCのファンである私は、上位ランカーと女子代表の戦いを見ることができてそれだけでありがたく幸せな思いでした。

さて、そんな3戦を記憶が薄れないうちに雑感を書き記しておこうと思います。

戦術の細かい部分は私はそこまで詳しくないですし、私レベルが語ってもあまり意味をなさなそうなので、おおまかな雑感、代表戦を見たこれからの育成年代の指導や単なるファン目線をごちゃ混ぜにて書き殴りたいと思いますw

日本のやりたいバスケット

日本のやりたいバスケットはまさにスペイン戦の1Qに詰まっていたのではないかと思います。
早さと速さで相手を圧倒して、オフェンスで自分たちのペースにし、そのペースによってスペインのオフェンスのペースまでもが乱れてバタバタ。

基本的にはG陣の山本選手、宮崎選手のスピードのアドバンテージでペイントアタック→カバーでキックアウト3ptというシンプルな攻めに加えて、今大会ではそのG陣を止めようと引きつけられたところでPOPしたスクリーナーが空くようなSpainPnRやghost screenが新たに武器として加わっていました。
それが戦術として非常に有効に働いていたと思います。

DFではとにかくハードワークで高い位置でプレッシャーをかけて、ボールをインサイドに入れさせないDFをしていました。
一方、ボールがインサイドに入ってしまったら非常に簡単な2点を献上しているケースが多く、仕方がないとはいえ、ここをどう改善していくかはパリへの重要な課題のように感じました。

日本のやりたいことがやれなかったハンガリー戦

一方、やりたいことがやれなかったのがハンガリー戦でした。
ハンガリーはスペイン戦のスッカウティングから、とにかくトランジションDFに魂を注ぎ、トランジションで破られない、ハーフコートバスケットに持ち込むという課題を徹底しいって遂行していました。
ハーフに入ると、PnRに対しては割り切ってスイッチで守る。
スイッチ後はある程度離して守っていても、身長差があるので3ptは多少コンテストできるし、離しているのですこ抜かれすることはないという絶妙な距離で守っていました。
確かに3ptは打てるのですが、ハンガリー戦は(4Q以外)3ptの調子は悪く、イケイケで打ていけるほどの雰囲気ではなかったですし、毎回Gのプルアップ
3ptだとオフェンスが単調になってしまいます。
打てるんだけど、打っても良いオフェンスにはならない。かといって他に良い手段もない・・・どうしよ。
という感じでハンドラーも周りも止まってしまった時間帯が長かったように思います。

DFでは、2mのインサイドを止められない。
身長差がかなりあるのに、中途半端に前に回ってロブパスから簡単なゴール下のスコアを許していたのが一番気になりました。
一定以上身長差がある場合は前にフルフロントしてもあまり意味がないので、あえて前で持たせて人数をかけて守るしかないのかなと個人的には思います。

3秒ルールってなくなったの?

と思うくらい、全試合で3秒バイオレーションがコールされない。
スペイン戦もハンガリー戦も
インサイドはほとんど足切ってないです。(ほとんどは言い過ぎか?w)
あんだけペイント内に居座られたら、そら小さいチームはいつかはやられるだろ。という感じ。

3秒ルールについては、今現在ルールブックの記述と運用が最も乖離しているルールだと思っていて、度々ポストしています。

こういう感じで、なんとなーくずっとペイントにいる感じなんですよね。
これをされると常に良い位置で合わせられるし、リバウンドも良い位置に入れるしで、直接絡まなくても小さいチームにとってはめちゃくちゃ辛いんですよね。とくにリバウンドは死活問題です。

この「努力義務」という言い回しは個人的に気に入っていて、本当に今の3秒バイオレーションの運用を言い得ていると思っています。

お互いやり尽くした死闘、カナダ戦。課題がはっきりと

ハンガリーの敗戦からの崖っぷちカナダ戦。
前2戦のスカウティングもお互いあるので、本当にやり尽くした死闘となりました。
日本は1日空いてコンディションが良くなったのか、1Qはスペイン戦を彷彿とさせるようなスピード感。
カナダはトランジションDFだと分かっていてもついていけない場面が。
カナダのオフェンス面ではPnRに対してブリッツに来るのが分かっているので、それを予測してかわした上ダイバーのインサイドにボールを徹底して集めるという展開。
苦しい時間帯で、スペイン戦では効いていたSpainPnRやghostを使うも、これもスカウティングされていて結局POPのシューターにフォーカスされて通用せず。
それらの戦術も封じられ、中盤から終盤にかけて、日本はハンガリー戦と同じようにスイッチ攻略に手こずり重いOFになりかけますが、ハンガリー戦とは違い、要所でしっかりシュートが入ったため助かった展開となりました。
相変わらずDFはフルフロントのポストDFと(キックアウトを警戒してか)ポストに人数をかけないことが気になりました。

恩塚HCのバスケットの方向性は正しかったことが改めて分かった3戦

恩塚HCが就任当初に語った目指すバスケットの方向性はやはり間違っていなかったなと、この3戦を見て思いました。

就任会見

とにかくオフェンスはシンプルで良い

とにかく、日本のG陣は世界を制圧している。
そこでアドバンテージがあるんだから複雑に作る必要性はないということです。

日本の課題と今後を好き勝手言う

さて、ここまでが一応試合を見た雑感です。
ここからは、この3戦を終えてパリまでに日本代表はどうしていくのか。
好き勝手書く居酒屋談義ですw
細かい戦術の話でもなければ、データに基づいた意見でもありません。ただの居酒屋談義です。そう思って楽しんでもらえたらと思います。

日本のオフェンスの課題

これはポストした通り、PnRをスイッチ対応されたときの攻略法です。
対戦した3カ国ともいろいろやってきましたが、全部日本のガード陣にやられ、行き着いたのはスイッチ。
そのスイッチに対して、今回日本が用意したと思われるのは、インバートスクリーンとPnR+クリアアウト。

今回の戦いでみられたvsスイッチに有効な戦術

インバートスクリーンは怪我の功名的な部分もある気がしますが、カナダ戦でカナダは日本のGにボールを持たせないようにかなり厳しくディナイしていたので、それに対するカウンターとしてインバートスクリーンを使っていました。それが大変効いていました。

インバートではスイッチしなかった場合は
日本のPFのスピードvsスクリーンを避けながらの各国センター
の平面の戦いになるので、かなりアドバンテージが期待できそうです。
スイッチした場合は、Gとセンターの距離が近いので、通常のPnRからスイッチでコンテインされた状態よりも1v1がやりやすいのではないかと思います。
なので、相手のディナイが強くない場面でもインバート使っていっても良いのではと思いました。

もう一つがPnR+クリアアウトこれはカナダ戦の4Qに、高田選手が見事なクリアアウトを決めたケースです。
スイッチ後切り替えして、再びスクリーナーの方向へドライブ。元のガードはスクリーナーがクリアアウトして抑えて、スイッチしたセンターにもブラースクリーンのような効果がありついてこれませんでした。
こちらの戦術に関しては、多分クリアアウトのスキルを持っているのが今のところ本職センターの高田選手だけなのではないかと予想します。
なので、高田選手以外とPnRをしてもこのプレーが使えなかったのではないかと。伸び代ですねぇ。

その他のvsスイッチ

戦術でやっつけるのも大切なのですが、やはり戦術は戦術で対応されてしまいます。
本丸は、スイッチされた後G陣が相手のビッグマンをどうやっつけるか、です。
私が推したいプレーはこれ

スイッチした後ビッグマンは身長差を活かして、距離をとりながらも3ptがギリチェックできる(フリーでは打たせない)距離で守ってきています。
そこで、3ptのフェイクで釣り出してギブゴーです。
このプレーを嫌って、出てこないのであれば、フリーで3ptを打てます。

フローターやプルアップ

スイッチ後3ptラインから中に切れ込むと、相手ビッグマンはほぼゴールしたまで下がって守っていました。
これは日本のG陣にレイアップ以外のフィニッシュスキルがないからです。
ゴール下で待っていたらゴール下までやってきてシュートを打つんですからそらそうします。
実際カナダの終盤では、そのような守り方でタフなレイアップを打たされて外すケースが続きました。
ゴール下まで行かずにフローターを高確率で鎮められるようになれば、かなり変わってくると思います。
多分後10年は日本のGのレベルが(米国を除いて)世界一でしょう。その間にフローターをバシバシ決めれるガードが出てきたら本当に面白いと思います。
育成年代の皆さんはBIG相手のフィニッシュスキルを磨きましょう。世界一になれます。

これからパリまでの日本代表チームと選手の課題

ここまでも好き勝手書きましたが、ここからはさらに好き勝手書きます。も
し不快に感じる方がおられたらすみません。

ここからはチームの方向性や選手個々人にフォーカスしていきます。

ビッグマンは必要か?

まずメンバー的に最もよく言われていることです。
ゴール下のDFとリバウンドが弱かったのはどの試合を見ても明らかでした。それをメンバーを入れ替えて修正するか、です。
そもそも、なぜビッグマンを選んでいないのか、というと多分ですが、超絶アジリティ&IQバスケットを遂行しようとしたときに、それを実行できるビッグマンが(高田選手しか)存在しなかったということなのでしょう。
しかも、今回結果を出しました。
オリンピック2位があるので、かなり期待値が上がっていますが、日本の現在地から行ってスペインとカナダに勝つというのはどう考えても歴代最高の結果です。今回はオリンピックのようなコロナ化のホームコートアドバンテージという特別な要素もなく、距離的にも文化的にも一番のアウェイでした。
これで結果が出ていないというのは無理筋です。
恩塚HCのいう「ハリネズミ戦法」で結果が出た。であれば、中途半端に路線は変えずに、マイナーチェンジのブラッシュアップで本番に挑むのではないかと予想します。


私はビッグマンを入れても良いと考えています

居酒屋談義らしくなってきました。
これについては、私はビッグマン入れても良いんじゃないの?と3戦を見て感じました。
その理由は、実は日本のオフェンスは「戦法ガードのアジリティ」だったからです。
もちろん全員の早さ速さはめちゃくちゃ素晴らしいのですが、PFやCが走りまくって得点を量産したかと言うとそうではなかった印象です。

実は、方向性は完全に「福岡第一」だった

結局のところ日本のガードが(米国を除いて)世界一だから、勝てたのです。

そう、これって高校バスケ界の福岡第一そのものじゃないですか。

全員走るし全員早いし全員で速攻出すけど、結局ほんとの最終は、「戦法河村」「戦法崎浜」
そして、福岡第一の強さに欠かせないのは、留学生です。
さすがの福岡第一と言えど、留学生なしで大濠に勝てるかと言われたら厳しいと言わざるを得ないのではないでしょうか。

そうであるならば、全員最強アジリティのそこまでこだわらなくて良いんじゃないの?
むしろ、PnRででかい壁になって、スイッチ後にしっかりミスマッチをつけるビッグマンの方が実は合ってるんじゃないの?と感じました。
実際、PnRでスイッチ後にポストアップでミスマッチを着こうとするケースもありましたが、馬瓜兄弟のサイズでは対してミスマッチにもならず、戦術として不完全な感じを受けました。

問題は「じゃあビッグマンって誰がいんの?」

女子日本代表がやるべきバスケットが福岡第一だったとして、じゃあ、実際に留学生役は誰なのか?
皆さんもお分かりの通り、現状は渡嘉敷選手しかいないでしょう。
結局今の女子バスケットボール界の台所事情では、戦術云々よりも話は渡嘉敷選手を入れるか入れないか、のかなり個人的な話になってしまうのです。

そうなると、私にはまた別の問題があるように思えてくるのです

馬瓜エブリンという爆弾

皆さんには、馬瓜エブリン選手はどのように映ったでしょうか?
私には、良くも悪くも爆弾のように思えました。
スペイン戦、カナダ戦と20点以上をあげ大活躍。この2戦の勝利はエブリン選手なしには成し得なかったでしょう。
一方で、ハンガリー戦は2得点の大ブレーキ。

エブリン選手は、今の日本代表の中で唯一統率が取れていない存在です。
私の目にはシュートセレクションもめちゃくちゃに見えます。
そのめちゃくちゃが入っている試合は、問題ないのですが、それが外れ出すとハンガリー戦のようにチームのバスケットそのものにブレーキをかけてしまいます。

一方その天真爛漫な性格とキャラクターがチームには欠かせない存在となっているのも事実だと思います。

プレー的にも相手にとって読めない存在なので、アクセントとしてある意味イヤな存在であることも確かなのだと思います。

ここからは余談ですが、私自身、エブリン選手がこんなにめちゃくちゃだとは今まで知りませんでした。
それはなんでだろうと考えると、トムホーバスさんのやり方にあったんだと思いました。
トムHCはセットプレーが多く、役割、ロールのバスケットでした。つまりエブリン選手も例外ではなく、ある種与えられた役割動きを遂行することだけ
をやっていたのだと思います。だからむちゃくちゃがコート上で発現する余地がなかったのではないか。
エブリン選手がオリンピック後に1年の休養を取ったのもこの辺りに関係があるのでは、と推察します。

馬瓜エブリンと渡嘉敷来夢は同じタイプ

ここから先ほどの話と繋がるのですが、キャラ的にエブリン選手と渡嘉敷選手は同じ匂いがします。
爆弾二人は流石に無理です。
多分試合が壊れます。
エブリン選手の代わりに渡嘉敷選手というのはアリですが、今回のエブリン選手の活躍やこれまで渡嘉敷選手が候補にもはいっていなかったことを考えるとその選択肢もなさそうです。
よって、日本代表にビッグマンを入れるのがアリだが、渡嘉敷選手はそれには当たらない。すなわち、ビッグマン自体がいない。というのが現状じゃないかと思います。

控えの層の薄さ

3試合を見て、スターター5人の安定感とケミストリーや遂行力に比べて控えメンバーははっきり見劣りしました。

ガードの控えメンバー

私はリオから吉田選手のファンですが

年齢的に当然ですが、今回のパフォーマンスはイマイチと言わざるを得ず、ガードが自慢の日本代表の控え一位番手が吉田選手なのは苦しいと言わざるを得ません。
町田選手は怪我の影響もあるのかもしれませんが、町田選手からイスを勝ち取った本橋選手がDNP、フレンドリーマッチで良いプレーをしていた安間選手が候補にも選ばれていないなど、ガードの選考はかなり混迷しているのではないでしょうか?
吉田・本橋両選手の代わりに新しくイキの良い得点能力のあるガードが二人入ってもおかしくない状況かと思います。
というか、もう一枚得点力のあるガードがいないと苦しいです。
町田選手も今の日本のバスケットをするには得点力が足りていません。
基本的にドライブに対して寄ってきませんから得意のパスが生きる展開にはならなさそうなのが苦しいところです。

SGの控えメンバー

控え一番手は星選手だったのかもしれませんが、怪我で欠場。
結果「走り切るシューター軍団」を自称した日本代表でしたが、シューターと呼べるのは林選手一人のみ・・・
今大会高確率で決め続けた山本選手と、スペイン戦とカナダ戦で当たったエブリン選手によって3pt%は保てましたが、二人ともシューターではありません。
暫定一番手の平下選手は不発・・・
川井選手も印象に残るプレーはありませんでした。
ぶっちゃけ現状誰でも一緒枠。

本来私の推しである東藤選手がSG控え一番手であって欲しいのですが、シュート力が足りないという判断でしょう。実際シューターとは呼べないと思います。
SFで出るにはサイズが足りない・・・
まさに入る枠がないというのが現状か。

高校生の紺野選手が候補に選ばれていたことからも「自称シューター軍団だけれどもシューターがいない」この苦悩が見て取れます。

SF・PF控えメンバー

3〜4:赤穂選手、エブリン選手
4〜5:ステファニー選手
この辺りはポジションらしいポジションはなく、一緒に出るメンバーによって多少変わるという感じでしょうか。

安定感、遂行力、IQ総合的に見て今の女子代表では赤穂選手が鉄板。
ステファニー選手も安定感があって代表は当確かと思いますが、どちらかというと自分が行きたい、行くことで輝く選手なので、ガードが攻めの主体である代表チームでは赤穂選手の方がマッチ知っている印象。
むしろ、高田選手との交代で出ることが多いですが、ステファニー選手だと、PnRのスイッチ後にミスマッチをついてポストでゴリゴリがそこまで効果的じゃないのもちょっと辛いところです。仕方がないですが。

エブリン選手は先述した通り、爆弾なので、ハンガリー戦のように自爆する
気配がしたときは思い切ってプレータイムを短くしたいのですが、3〜5を3人で回すのは厳しいので出さざるを得ず・・・
そう考えると、もう一人欲しいのですが、オコエ選手も割とエブリン選手と同類の爆弾傾向。
オコエ選手の場合は、単純にアジリティが足りてないですし、5番で使うにはサイズがないです。
東藤選手と同じく、「枠がない」状態

野口選手がほぼDNPなので、そことの交代はあり得るかといったところ。
野口選手は安城時代から、すごい選手だなと思っていたのでぜひ頑張って欲しいのですが。

まだまだメンバー争いは面白い

以上より控えメンバーはまだ変わる余地が結構ありそうですし、今のメンバーの伸び代もありそうなので、結構面白そうです。
普段全くWリーグは見ていないので、台頭してきそうな他の候補選手もわからない完全ニワカの意見ですが。

とにかく女子代表と恩塚HCが好き

ここまで私の居酒屋談義に付き合っていただきありがとうございました。
私はかねてからずっと言っているように、とにかく女子代表のバスケと恩塚HC好きです。
パリでまた試合が見られることが何より幸せです。一緒に楽しみましょう

最後に

今回の一番の気づきは、女子代表のバスケットが結局「福岡第一」だったということですw
女子は新しい挑戦をしていると思っていましたが、実はすでにある種の完成系があったことに今更気づきました。
私の予想では、多分、最後のワンピースはウチェ選手の帰化です。
だから今回のオリンピックは渡嘉敷選手を呼ぶことはせず、とにかくアジリティ!スピード!に振り切って、その下地を作った後にスッとウチェ選手を入れる計画なのかと。


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