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【6巻】『少女ファイト』既刊17巻を振り返る

こんにちは。東京マンガレビュアーズでレビュアーをしているおがさんです。『少女ファイト』の既刊17巻分の振り返り記事を毎週火曜日にアップしています。このnoteは6巻の振り返り記事となります。

5巻までの記事はこちらから👇

記事は以下のフォーマットで進めていきます。

・この巻は何と何の戦いなのか
・心に響く名言
・注目のシーン
・過去作とのリンク

多少のネタバレと巻をまたいだ解説を含みます。気になる方は、そっ閉じを推奨します。よろしくお願いします。

【6巻】あきらめることを強要されたルミvsバレーをあきらめない意味

あきらめると言う言葉に過剰に反応するルミ。その理由は、小学校の時に町蔵がプレゼントされたシューズを捨てられ、バレーをあきらめることを強要されたからでした。

今まで、どんな時もニコニコと笑っていたルミですが、その笑顔の下には、感情を押し殺している自分が常にいました。

気持ちを整理する為に練と銭湯で話すことによって、好きな人を好きな自分は、大好きであることを認識します。相手の気持ちを考えると不安になるけれど、自分の気持ちの在り方が大事であることに気づいたのです。

その後訪れることになる延友の家。ナオからの助言によって、勝ち負けではなく、頼ることでお互いが幸せになる方法を模索することを教えられます。

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『少女ファイト』(日本橋ヨヲコ/講談社)6巻より引用
(※以下、特段記載のないコマは全て6巻より引用しています)

6巻では人を頼ることの大事さを、ルミだけではなく、他のチームメイトも学んだ巻でした。

心に響く名言

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小田切の弟、明のこのセリフを6巻の名言に推したいと思います。このシーンは引きこもりの明が遂に部屋から出る一歩を踏み出した瞬間でもあります。自分のことではなく、他人を思いやる言葉を直接言う為に出てきた明。

他人への思いやりにあふれた学の弟であることがよく分かるシーンでもあります。そして、その一歩を踏み出す勇気を与えたのは、扉越しに交流を続けたミチルと学のおかげです。

特にミチルは、部屋から出てこない明を強制的に連れ出そうとしたりせず、扉を挟んだ会話であること以外は何も変わらないように接していました。この経験が明にとって救いとなったに違いありません。だからこそ、ミチルが悩み、嘆く様子に自身も救いの手を差し伸べたいと思った。

不幸かどうかは他人が決めることではない。

強く心に刻みたいと思う、力強い言葉です。

注目のシーン

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遂に明かされた、シゲルがバレーを辞めた理由。網膜色素変性症により視野角が狭くなり、失明の可能性もあることが原因でした。

実は、シゲルの疾患に関しては1巻からずっと伏線が張られていました。話ごとの扉絵に注目すると分かります。

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『少女ファイト』(日本橋ヨヲコ/講談社)1巻  Fight.5 重い合点 扉絵より引用

点描のように描かれた1巻の扉絵ですが、シゲルから見た視界を描いていると思います。その証拠に、5話ではシゲルが男子バレーを辞めて女子バレーのマネージャーに専念するという話が出てきます。相談を受けた由良木は既にシゲルの眼の症状について知っています。

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『少女ファイト』(日本橋ヨヲコ/講談社)2巻  Fight.14 dog-ear 扉絵より引用

同様に2巻の14話では、シゲルの目が悪いため声で人を判別しているということがミチルから語られます。(この時点ではミチルも視力が悪いだけという認識)

シゲルの眼の症状については、未だ練には打ち明けられていません。大切な人の試練を、練はどのように受け止められるのか?今後の展開に目が離せません。

過去作とのリンク

6巻では『G戦場ヘヴンズドア』の登場人物がガッツリと出てきますが、今回明が部屋に閉じこもって書いていた読み切り『Take Me Higher』について書きます。

『Take Me Higher』は日本橋ヨヲコ先生のTwitterにて公開されています。さらに言うと、10月3日は日本橋ヨヲコ先生の誕生日!自身の誕生日に逆にプレゼントをくださるとは何たる慈悲深さ・・・未読の方は、最後まで必ず読んでみてください。

主人公、ラキ(Laki)はアルファベットを入れ替えると、明(akil(a))となります。止まってしまった自分の時間を動かしたいという想いをマンガに込めたのでしょう。そして、その読み切り漫画を送る封筒の写真で終わります。『G戦場ヘヴンズドア』からのファンは、この封筒の中にどれだけのドラマがあったか想いを馳せ、むせび泣いたと思います。

鉄男は自身も漫画に生かされた経験があります。

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娘の出会いと漫画の可能性を信じた鉄男。鉄男だけでなく、ルミもまた漫画に救われた一人なのです。

と言うことで、6巻の振り返りはおしまい。

私は、日本橋ヨヲコ先生のファンは全て同志であり、戦友(とも)であると思っています。一緒に盛り上がってくれたら嬉しいです。

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