制作記録とかちゃんとつけたほうがいい

制作記録とかちゃんとつけたほうがいい

ばじるちゃん

 知っている人は知っていると思うが、自分は高校のころにフリーゲームを作って配布したことがある。

 詳しい経緯は省くが、学校の部活で制作したものだ。集団制作といえば集団制作なのだが、分担らしい分担はできず、結局ほとんどすべて自分ひとりで作り上げた――と言ってしまうとさすがに言いすぎなので、ちゃんと正確なことを書いておく。ふたりぐらいで、ほとんどすべて制作した。もうひとりの人にはテキストの大部分を書いてもらった。自分はそれ以外のことをやった。

 振り返ってみれば、プロットや設定をどうするかで揉めたり、自分の考えがうまく伝わらなかったり、事前連絡もなしに急な変更をされたり、連絡の頻度が遅かったりとかでいちいち腹を立て、その人を憎んだりもしたが、あんなに怒ることではなかった。もちろん連絡の頻度が遅いとか、事前連絡なしに急な変更とか、そういったことは良くないけれど、昔の自分はいまよりもはるかに意思疎通が苦手な人間だったし、あれだけ対話可能性の閉ざされた人間とちゃんとコミュニケーションをとって制作しろ、なんてのは難しい話だ。おまけに「それ以外のこと」を本当に何もかもやっていたこともあって、精神的に余裕がなく、むちゃくちゃな振る舞いをしていたのではないかと思う。当時のメールをもう参照できないので、おぼろげな記憶を頼りにしか想像することができないが、かなり迷惑をかけていただろう。

 ちなみにゲーム自体は2011~2014年ぐらいのあいだVectorに登録していたけど、現在は公開停止している。ストーリーはともかくとして、ゲームとしてつらいからだ。Vectorからの通知を見たところ、どうやら7000件ぐらいダウンロードがあったらしく、これがどれぐらい多い数字なのかは正直わからないが、あのクオリティの割には稼いでいたほうなんじゃないかと思う。少なくとも初動はけっこう勢いがあった気がする。おかげでVectorレビューにも掲載させてもらえたし、それなりに感想もいただいた。

 なんでいまさらこんなゲームのことを思い出しているのかというと、手直しをこっそり進めて、最近ようやく終わりが見えてきたからだ。

 改訂作業に着手したいと思ったのは2014年ごろだと思う。5年も前だ。当時はゲームとは無縁な日々を送っていた。大学ではひたすら勉強しようと意気込んでいたのだが、頭が悪くて本が読めなかったり、大学に通うことがいろんな意味で難しかったりで、すごくアレな学生だった。事務から「このままだと留年しちゃうかもよ~」みたいな連絡をもらい、慌てて学内に何か居場所を作ろうと考えた結果、ゲーム制作サークルに入ることにした。そこで人様が作ったゲームをプレイしているうちに、ひさびさに何か作りたいなと思ったのがきっかけと言えばきっかけだろうか。正直あまり覚えていない。

 そこですぐに新しくゲームを作ろうとしなかったのは、高校時代に作った作品をいちど清算しておきたかったからだ。あの作品をあのまま放置しているのが許せなかった。

 それともうひとつ、サークルの先輩にその作品をプレイしてもらって、すごく丁寧な長文感想をいただいた、というのもある。公開から数年越しに感想をもらうことはときどきあったのだが、感想が届くのはいつだって嬉しかったし、その人の感想は思わず「え、これ作者より作品のこと理解してるんじゃ……」という印象すら抱いた。同時に、それだけ熱のこもった感想をもらうと、自分の力不足でうまく伝わらなかったところも浮き彫りになる。それぐらい手直ししてもいいんじゃないかと思った。

 しかし改訂作業は難航した。元があるのだから長くても一年ぐらいで終わると思っていたのだが、なにしろ物量が多すぎる。こんな規模のものを一年かそこらで作ろうと思うほうがどうかしてる。具体的にどれぐらいかというと、たとえばメインストーリーのテキストだけで、少なく見積もっても1MBぐらいある。52万字ぐらいらしい。NPCとか、システム周り(用語辞典、あらすじ閲覧機能)も含めればさらにいく。マップも無駄に広いし多い。作者が普通に進めても20時間ぐらいかかる。

 それに加えて、うまくまとまった時間がとれなかったのも大きい。2015~2016年のあいだはずっと勉強していたし、改訂作業のことはほとんど頭になかった。両立ができない人間なので、ゲーム制作をするならそれ以外のことには思考のリソースを割けない(割きたくない)し、卒論を書くにしたってそうだ。この二年は何もしなかった。

 2017年は院浪するはずだったが、いろいろあって何もできず、かわりに改訂作業を進めることにした(おかげさまで専攻に関する知識はだいぶ忘れてしまった)。この年で結局3/4ぐらい終えられたけれども、精神的な不調が慢性的に続いていたのと、あんまり作業に没頭していると本格的にいろんな道が閉ざされそうだと思って、途中でやめてしまった。2018年はいちおう勉強していたので進まなかった。

 で、いまに至る。今年8月に入ってから急に再開した。あとはラスボスとエンディングの演出とスタッフロール作り直して、気に入らんイベントを最低限見れるぐらいに作り直せばいいはず。意外と多い。つらい。

 しかし思うに、作業が滞っていたのは個人的事情のような外在的なものだけではない。やり方それ自体にもずいぶん問題があった。本当はそういった反省をここに書いておきたかったのだが、前置きだったはずの話が長くなってしまったので、また次の機会に。

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ばじるちゃん