サンクチュアリ -聖域- 【まーたネトフリくんさぁ…と思わせて】
見たのは半月ほど前ですが、Netflixの「サンクチュアリ -聖域-」、とても良かったです。
一日で一気見してしまいました。
以下に、素晴らしいな~と思った点を書こうと思いますが、事前情報があると魅力半減するタイプだと個人的には思うので、
まだ見てない方は視聴後に読んでいただければ。
※※※ 以下、ネタバレあり ※※※
結論から言うとこの作品、
「ひねくれた視聴者をスポ根的な世界観に誘導する"おもてなし"が抜群に上手い」
と感じました。
■この物語のジャンルは何なのか?
絶賛している人はみんな言っているように、
この作品の正体はド直球なスポ根ものです。
・技術的、精神的に未熟だが圧倒的にフィジカルが強く、徐々にその才能を認められていく不良主人公
・プレイヤーとしての才能は無かったが、競技への愛情と知識はひと一倍ある親友
・しょーもない嫌がらせをしてくるイヤミな先輩たち(が、最終的には主人公の味方になる)
・視聴者への解説役を担うベテラン記者&ツンツンした女性記者のコンビ
・何かと妨害してくるお偉方と、そいつと過去に因縁があったらしい主人公の師匠
などなど、アレとかアレとか、
似たような要素を持つスポーツ漫画 / 格闘漫画を無数にあげられる感じです。
■まーたネトフリくんさぁ…と思わせて
ですがこの作品、
正体がスポ根ものであると完全に確定するのはラスト2話あたりで、
序盤~中盤にかけては暴力問題、八百長、女人禁制、貧困、素人の株取引など、
社会派要素がチラチラと見え隠れしていて、
ともするとそのへんの要素が前景化して何かしらの破滅が起こりそうな気配が常にうっすらと画面から漂っている。
そもそも「サンクチュアリ -聖域-」ってタイトルからして、
「ほぅ、ついにその""闇""に切り込んじゃいますか(後方腕組み)」な感じもあるし、
自分を含めためんどくさい視聴者の多くは、、
一話で忽那汐里演じる女性記者が「セクハラ!時代錯誤!」とまくしたてるシーンなんかはとくに「まーたネトフリくんさぁ…」と思ったのではないでしょうか。
が。
結局、その辺の(いわゆる広義の)ポリコレ的要素はそれ以上深堀りされることは無く、
結果的に完全に後景化します。
(2期への前フリという意味合いもあるだろうけど)
↑に書いたように、スポ根モノの要素としては悪く言えばありがちな設定なのですが、いったん「まーたネトフリくんさぁ…」を経由することで、自分でも驚くほどスッと猿将部屋の暑苦しいアレコレに気持ちを乗せることができました。
ポリコレ的要素の匂わせがネトフリ側からの要請なのか?
制作サイドの巧みな煙幕なのか?
は作品からは読み取れないのですが、結果的に自分のようなヒネた視聴者でも、気づいたら拳を握りしめている作品になっているかと感じました。ネトフリのスタンスに視聴者がいいかげん飽きてるタイミングだったのもちょうど良かったですね。
たぶん最初から「スポ根です!通して下さい!」って顔をしてたら、ちょっと引いてた可能性すらある。ので、この作品に関してはあまり事前情報を仕入れずにみると楽しめるんじゃないでしょうか。(最近流れてるCMはわりとスポ根感を前面に押し出してるCMが多いので、ちょっともったいないなと思ったりもする)
■個人的に好きだったところ
中盤に、人によっては引きそうなNTR要素が出てくるのですが、個人的には、NTRれた事に関して主人公の猿桜がどう感じたのか?を具体的にほぼ描写してないのがイイと思いました。
彼が奮起したきっかけは、はたして弱い自分が許せなかったことなのか、父親の金のことなのか、母親なのか、NTRなのか、静内へのライバル心なのか、明確には描かれていない。たぶん、猿桜自身にも峻別できていない。そういったモヤモヤ、割り切れなさも、自分が強くなることですべて解決し、なにもかもが上手くいくような錯覚・・・疑似的な全能感による「世界感の単純化」が気持ちよく描写されてるところが、個人的に好きだったところですね。
漫画やアニメだと、サッカーを極める事で世界を支配できたり、寿司を極める事で父親との確執が解決したりみたいな、「世界観の単純化」ってわりと起こりがちで、「んなわけない」事でも、その作品の中だけでは「ある」みたいなノリ、そういう謎の勢いと説得力がサンクチュアリにもありましたね。
あと、見ている最中にちょっと新井英樹のSUGAR(と、続編のRIN)を思い出しました。
ぜひ2期をやってほしいです。
■余談
いまニチアサでやってる王様戦隊キングオージャーにカグラギ様(黒)として出演している佳久創さんが、「貴乃花部屋要素をベースに色々ミックスしたっぽい角界のプリンス・龍貴」として出演しているのですが、明らかにガタイが二回りくらいデカくて、キングオージャーのオーディションとサンクチュアリの撮影がどういう時系列だったのか滅茶苦茶気になる。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?