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困難を乗り越える_努力2.0

努力2.0_ときど

すごく熱い思いが込められた本です。言葉が滑るというか、上辺だけで書いているのが透けて見える記事や本が多いですが、この本は全く違います。

タイトルは「努力2.0」です。ただ、実際には人生の困難への立ち向かい方をトッププロゲーマーのときどさんの経験を通して出し惜しみなく熱量のある文字で紡がれています。

とっても簡単に著者の「ときど」さんの紹介をします。

学歴:名門麻布中学→東京大学→東京大学大学院(中退)→プロゲーマー

座右の銘:やってみる

すごい学歴ですよね。ときどさんは小さいころからゲームが大好きで学生の時もゲームセンターで格闘ゲームをよくしていたようです。本書では、ゲームをしながら何故名門と呼ばれる学校に進学できたかも触れられています。本書のメインは、プロゲーマーになってからの葛藤や壁との向き合い方、何を大事にするかの大切さ、などがすごくリアルに描かれています。読書しているのに、目の前でときどさんに話を直接聞いているような錯覚に陥るほどです。
本書は、論理もしっかりしているし、例えも分かりやすいし、矛盾したかに思える箇所には、ちゃんと解説を入れてくれているので、すごく読みやすかったです。

概要

ときどさんが実践している努力、「努力2.0」を6つの法則にわけてその努力をするに至った背景から解説してくれています。反復、環境、メンタル、継続、WHY、地力の6つになります。各章だけでも主張は分かりやすく書かれているので、時間のない方は気になった個所だけ読んでも十分参考になります。私にとって特に印象的だった、反復、地力の法則の二つについてまとめたので雰囲気を感じ取ってもらえたら幸いです。

[反復の法則]

eスポーツは変化が激しすぎるので、計画がご破算になることはよくある。
そこで、インプット→アウトプット→フィードバックのサイクルを素早く回すことが大事になる。そのなかでも負けること、失敗には多くの大切なことが眠っている。最初は質より量を優先するとよい。たくさん負け試合を検証すると、パターンが見えてくる。そのときに大切なことは自分だけの見方をもってを持っていること。
本番は、本番に慣れるための練習。試合で持っている実力をだすためには、実際の現場程適した場所はない。

他の人が見逃す1%の違いに、いかに気づくか。その感度が高ければ高いほど刻一刻と変わる現実の変化に適応することができるのです。←この章で私が一番好きな文章です。


[地力の法則]

実力とは「地力」と「駆け引き」の二つの要素でできている。
地力とは、相手や状況とは関係ない「土台の力」
駆け引きとは、相手や状況の中で発揮される「一過性の力」

以前の大会の少ない時期では、駆け引きで十分の結果が出せていた。しかし大会数も増え、「大会で勝つ」ことと「強い(実力がある)」ことが、以前よりもずっとイコールになってきた。実力のあるプレーヤーが大勢いるなかで、全員分の駆け引きを準備することは現実的でなく、頼ろうにも限界がある。

麻布中学合格、東大合格、プロゲーマー初期の合格、どれも誰かが決めた正解があり、ときどさんは、ここで求められる「問題解答スキル」は抜群です。

トッププロの世界にはこれをやったら勝てるという答えはない。格闘ゲームがeスポーツ化され選手のレベルがあがり変化が激しくなったことで僅差の世界になっている。

ここから先は、自ら「どうなりたいか」という自分なりのポリシーが必要になる。「問題解答スキル」ではなく、自ら問いを立てる「問題発見スキル」が必要になる。ときどさんからみて強いプレーヤーは、人それぞれ異なるものの「借り物ではない」ポリシーや考え方が、口に出さずともプレイからにじみ出ている。


ときどさんがたどり着いたのは、

「ときどを通して、『格闘ゲームっていいもんだな』と伝えたい」

という思いです。

ゲームのキャラについても、以前は勝つことがすべて!という意識だったものが変わってきます。面白いことはムダなのではなく、面白いから強い。勝つための工夫が自然に面白いプレイになっている。
以前の強いキャラクターに「使われていた」自分ではなく、キャラクターを「使いこなす」ことでキャラクターの持っている可能性を示したい。熱い思いのこもったプレイで、豪鬼のポテンシャルを引き出したい。

感想

ざっくり概要を書いたのですが、実際の文章の熱さは10000倍くらいあります。この本を読みながら、普遍的な内容がすごく多いと感じました。

まず、変化の激しすぎるeスポーツ、これは日本の会社の在り方にそっくりです。トヨタの豊田章男社長や、経団連会長も終身雇用制の維持が難しいことを発言してましたよね。たとえで将棋が出てきたのですが、確かに駒の動き方が変わることなんてありえないですよね。昔の終身雇用が維持できていた時代の会社は将棋のようです。ルールや働き方は大きく変わらず、そのなかで知見を深めていくことが昇進や給料アップにつながりました。しかし、今は語らずとも倒産やリストラ、M&Aなんかはニュースにならないほど一般的です。もしかしたら、eスポーツは現代社会のたどる未来的要素をもっているのでは。と考えさせられました。その中で第一線で活躍されている「ときどさん」の経験は自分にも役に立ちそうだなぁと。

ときどさんは、反復の法則の章でも書かれていたように、最初は「問題解答能力」を駆使して、最速で効果的な戦略を発見し情報を独占することで成果を上げてきました。しかしタイトルの更新頻度の低下、情報の共有化、などの変化が進むことで勝てなくなってきました。これも現代社会の抱える問題と似ています。そう、答えのない問題が溢れています。これをしたら正解はないんです。そしてもう一つ、簡単に誰でも身につくことは価値がなくなってきていると表しています。これはマジで現実とリンクするところです。じゃあ、どうしたらいいか。

自分だけの見方を持つ

です。自分だけの見方をもって物事を考える。そして実行する。フィードバックを得る。です。この内容だけでも私には、本代の10倍以上の価値がありました。もう一度書きます。【自分の見方を持つ】です。これこそが変化の激しい時代を生き抜く知恵の一つだと思います。

ほかにも、変化が激しいと、ベストな選択は、その瞬間のみベストということになります。51pageに書かれている副題は
「9割の人が陥る「もったいない」の罠」
その状況でときどさんが考える重要なことは「こだわりを捨てる」、「常にゼロベースで考える」です。なんとなく感じてはいましたが、改めて文字でハッキリ書かれると、私自信が罠に嵌っていたことを認めざるおえません。

マジでコンコルドのジレンマにハマりまくりです。つまらないゲームを買ったからという理由でやり続けたり、意味はない三国無双のキャラのレベルをあげてみたり、深夜に見始めたユーチューブをつまらなさを感じつつも最後までみてしまったり。枚挙にいとまがなさすぎます。まあ、この場合は環境の変化というか自分のせいなんですけど。

なんにせよ、もったいないの罠に嵌らぬよう、

こだわりを捨てゼロベースで考える

を意識していきたいです。

他にもまだまだ、この本で気づいたこと、再確認したこがあります。

たとえば、何となくできるの危うさ。です。できるとは何か。これは言語化できることです。勉強して分かった気になることはすごく多いです。確認する手段は誰かに言葉で分かりやすく説明できるかどうか。

学んだあとは言語化してアウトプットする

習慣を身に着けようと強く思いました。

一つの記事は3000字程度に収めるマイルールのため、一旦ここまでにしますが、本当はウメさんの凄さやドミニカのプレイヤーの暖かさや、院時代のリストラされたサラリーマン状態など、面白さ、切なさ、厳しさ、優しさがまだまだたくさん詰まっている素敵な本です。これから何度も読むことになると思います。ときどさん、素敵な本をありがとうございました。



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