【夢から醒めて】#2「目が覚めた」

目の前に広がるのは全てが白で統一されている景色。
天井には自分を覆うより少し大きいぐらいの、囲いをするかのようにカーテンレールが設置されている。

なんで?
うちの仏間は勿論、和室の作りだ。
だから、天井には木目があるはずなのに・・・

目が覚めたばかりでまだ暖気が終わっていない頭の中、ゆっくりと考えを巡らせる。ぼやけた視界ではあったけど、起きた時なんてこんなもんだっけか。

目線を落として自分の体に向けると、真っ白な布団がかけられている。左の方へ顔を振ると、天井からかけられているカーテン。その先は薄暗くて、向こうに何があるのかはわからない。
今度は右の方へ顔を振るとカーテンの向こうが明るくなっている。
と、目の端に紐のようなものが見えるた。これは・・・点滴の管? って事はもしかしてここは病院?

なんで自分が病院のベッドで寝ていたのかはわからないが、とりあえず点滴の管がどこに繋がっているのかを追ってみる。片方は頭の上の方にある点滴の袋。そこから下へ追っていくと、そのまま布団の中に。掛け布団をめくると、右腕の肘の内側に刺さっていた。なんでこんなものがささってんだ?
まだ暖気中の頭で思い当たる理由を探してみたけど、これといって何も浮かばない。よし、わからないものは見なかったことにしよう。ぺぺっと点滴を抜く。

なんにせよ家に帰ろう。
寝起きのせいとはいえやたら身体は重たいし、頭が重いのだってあんなワケの分からない、長い夢見るぐらいだからだろうし。寝起きに右腕が動かない事だって前にあったしなぁ。

ーーー右腕が動かなかった件。それはバンザイのように頭の上に手を伸ばしたまま、その腕を枕にしてしまった事があった。
起きた時に右腕の感覚がなくて、右腕が消えた‼︎」って本気であたふたして、頭動かして色々探していたら頭の上にあった。よかったぁ〜
けど見つけたからと言って自力では動かせず、左手で掴んで右腕を胸の上に持ってくるとじわぁ〜っと血が通っていくのを感じた。しばらく血の巡りを感じた後、ぐぅぅ〜っと力を入れているうちに問題なく動かせるようになったーーー

という事があったから、そのうち感覚も戻ってくるだろ。粘土みたいに身体が重たいけど、家に帰って寝直せば問題ないっしょ。

まだ重たさの取れない身体。ベッド脇の手すりを掴みながら上半身を起こすと、布団から足を横にずらして床につける。
掴んだままの手すりに力を込めて、ぐぐっとベットから立ち上がろう・・・れなかった。ビターン‼︎
派手に倒れた音が室内に響く。

はぇっ?
足にぜんっぜん力入んないんだけど。
なんでなんでなんで???

あまりにも身体に力が入らず、その事に対しての疑問と驚きが頭の中を埋め尽くしている時、廊下から頭を覗かせた看護師さんの「あ!何してるんですか板橋さん‼︎」という驚いた声が響いた。

#3「一夜明けて」に続く

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