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【夢から醒めて】#4「まだ、夢の中」

まだ夢の中・・・
ま〜、そりゃそうだよな〜
家で寝た。
無茶苦茶長い、よくわからない旅公演の夢をみた。
目が覚めたらシンジ君のような知らない天井。
何年か前にも「入院した」夢を見た事があった。確かあの時は病院から出たら目が覚めたんだっけな?

だったら、この頭にかかっているモヤモヤや、まともに見える空間が狭すぎる視界、それに動かない右腕も、この重たすぎる身体も、この病院から出たら「ぜ〜んぶ夢でした〜‼︎」って事になるんだな〜♪
そうと分かれば、このよくわからない夢の中を満喫するしかない‼︎

モヤモヤモヤ〜っとする頭の中、とりあえずは一つの答えに辿りつけた。なんかそれだけで気持ちが軽くなった気がするな〜

改めて周りに目をやった。
白い天井
カーテンの仕切り
薄めだけどしっかり暖かい布団
右腕には点滴が刺さっており、頭上の袋に・・・って、やたらと大きくないか、この点滴? また今度聞こう。

・・・おや?なんだコレ。
いつのまにか右手首にこんなものがついている。
板橋は飲食店で働いていた時間が多かったからなのか、基本的に手につける装飾品が好きではない。
一時期カッコつけてシルバー925のリングをはめていたが、いつのまにやらいなくなっていた。なくした当時「一万もしたのにぃ!こんな残念な形でお別れならつけるのをやめよう!」なんていう思いもあるので・・・はたして一体、誰につけられたんだろう。

そんな事を思いつつ、そのまま足元の方へ視線を移していると・・・なんだコレ。
お腹の下の方、へその辺りにベルトみたいなのが巻いてある。
コレが絶妙な場所に絶妙な加減で巻いてあるため、昨夜のようにベットから立ち上がる事ができなくなっていた。

まぁ、いいか。
どこに行くわけでもないんだし。
とにもかくにも今一番大切な事は・・・
ナースコールを押した。

・・・
・・・
・・・体感的には20分ぐらい経ったころ、看護師さんが来てくれた
「板橋さん、どうしましたー?」
「あ、あの、コレ、とって欲しいんですけど」

去年「初!手術! 初!全身麻酔!」なんて感じで、唾石症(唾液の分泌腺に石ができる症状。尿管結石の唾液腺版っていうのがイメージし易いかな)を取る手術を受けた。
その時は全身麻酔だったから、術後についていたコレがなんだかとても嫌だったんだよな

「カテーテルですか?」
「はい、男の子的になんかイヤなので」
「ん〜、ちょっと待っててくださいね」
といって、看護師さんは部屋から出て行ってしまった。なんでだろ?前の時はすぐやってくれたのに。

・・・
看護師さんが戻ってくるまでにかかった時間は多分5分ぐらい。どうやら医師に確認していたとの事。
「じゃ、抜いていきますねー」
と、慣れた手つきでカテーテルを引き抜いてくれた。
抜かれる時の下腹部から股間のなんとも言えない「ずりゅぅっ・・・」っていう感覚。本当にそれ以上、なんとも言えない。
「じゃあおトイレ行きたくなったら呼んでくださいね。車椅子持ってきますから」
そして、看護師さんは仕事に戻っていった。

車椅子、ねぇ・・・
まぁ、なんか立てなかったぐらい、筋力がないから仕方ないのか。どうせまだ、夢の中なんだし。せっかくだから満喫しよう。
天井を眺めながらそんな事を考えていたら、なんだか眠たくなってきた・・・

#5「再会」へ

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