pERAを用いたブレーキングボール評価

 ブレーキングボールを球速や変化量で分割して評価することは難しい。そもそもサンプルの数が小さくなってしまうからだ。そこで少ないサンプルサイズでも価値が安定しやすいpERAを使ってブレーキングボールを評価する。

pERAとは

 pERAとはJeff Zimmermanがfangraphsで発表した球種のグレードを評価するための指標だ。

 詳しくはリンク先を見てもらいたいがここではざっくりと説明する。投手は、打たれた打球が安打になるかどうかについて、統計的に見るとほとんど関与できない。投手が関与できるのは、投手と打者との間で完結する三振を取ること、四球を出さないこと、長打を避けるためにゴロを打たせること、とされている。そこで守備から独立した投球(DIPS)の概念を取り入れた指標として、ゴロ率と三振・四球率を基に算出した疑似防御率、GBkwERAと呼ばれる指標が作られた。このGBkwERAを基に球種のグレードを評価する指標として、三振の部分の係数をSwStr%(空振り/投球)に2をかけたもので代用したのがpERAだ。

 pERAは投手の責任範囲であり、かつ少ないサンプルサイズで安定する空振り率とゴロ率を基に構成されている。そのため、少ないサンプルでも比較的安定しやすい。

 このpERAを用いることでブレーキングボールを球速別・変化量別で評価する。

2021/1/23追記:
pERAの式を一部修正したため以前と結果が異なっています。

算出方法

 球速を5km/h刻み、変化量を縦横7.5cm(約ボール1個分)で刻み、各グループのpERAを算出する。なお、スケールをわかりやすくするため2017-2021年のブレーキングボールのpERAを割り100をかけた。こうすることで100をリーグ平均値として低いほど失点リスクが低く、高いほど失点リスクが高いという感覚で見られるようにしている。

125-130km/h

 この球速帯のブレーキングボールはよほど変化が大きくないと有効ではない。球速を上げることが賢明に思われる。

130-135km/h

 130ー135km/hの場合、失点リスクが100を下回る(平均より失点リスクが低くなる)のは、大きな縦割れのボール、浮きながら曲がる球、もしくは原点(0,0)付近の球だ。縦割れにするためにはトップスピンを強くかけたカーブを、浮きながら曲がる球はサイドやアンダーからバックスピンをかけつつ横の回転を、原点付近の球はジャイロ回転をさせれば良いと思われる。

 逆に失点リスクが100を上回る(平均より失点リスクが高くなる)のは縦変化が-15cmを上回り横に変化しない変化球となっている。曲がらずに沈まない球は打者にとっては打ちやすいようだ。

135-140km/h

 135-140kmh/hでは原点(0,0)付近や縦に割れる球が効果的となる。

 逆に失点リスクを上回るのは上方向への変化が大きく横への変化が小さいボールとなっている。ストレートに近い変化をするブレーキングボールは失点しやすいようだ。

140-145km/h

 140-145km/hでは15cm以上、浮かせなければ失点リスクを低く抑えることが可能だ。速くて沈む球はとにかく効果的なようだ。


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