各投球コースに対してどんな打球(方向・角度)を放つべきか。

「コースに逆らわない打撃」は有効と言われる。コースに逆らわない打撃は、投球コースに対してどの方向へ打球を飛ばすべきか、というものだがもう1つ打球において考慮すべきものがある。打球角度だ。

コースに逆らわない打撃の有効性

まずコースに逆らわない打撃は、実際にどの程度有効だろうか。右打者・左打者でそれぞれ検証した(表1、表2)。内角・外角はストライクコース(高さは考慮しない)の投球に限定している。また、守備隊形はStandardに限定している。

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右打者・左打者ともに、真ん中から内よりは引っ張りが、最も高いwOBAconを記録している。中央方向の打球は真ん中と外角において有効となっている。逆方向は外角については、引っ張りを上回っているものの、基本的に中央方向と比べて劣っている。この結果だけを見れば打者は逆方向に打つことを避けるべきなのかもしれない。(ただし、逆方向を意識することでコンタクトやボールの見極めがよくなる等のアプローチの効果は考慮していない)

打球方向別の打球種別価値

続いて打球方向別の打球種別価値を見ていく(表3、表4)。

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一般的にフライは打球価値が高いとされるが、内訳を見ると引っ張ったフライが価値を押し上げているのであって中央や逆方向のフライには、それほど価値がないようだ。特に左打者については、引っ張り以外の方向へ打球を放つならフライよりゴロのが価値が高くなっている。

投球コースに対してどの方向へどの角度で打つべきか

引っ張ったフライは価値が高いことがわかったが、どの投球コースに対しても引っ張ったフライを狙うべきなのだろうか。

そこで各投球コースで、どの方向にどの程度の角度で打球を飛ばしたかについてクロス集計し投球コースに対する適切な打球を探る。

まず内角ストライクコースへの打球種別wOBAconを見ていく。右打者、左打者ともに引っ張ったライナー・フライ(10度~40度)が最も高い価値を持っている(表5、表6)。

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続いて真ん中について見ていく。内角とほぼ同じ傾向であり、引っ張ったライナー・フライが最もと価値が高いという結果になった(表7、表8)。

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続いて外角ストライクの投球について見ていく。ここでも引っ張ったライナー・フライ(10~30度)は非常に価値が高い(表9、表10)。

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基本的に打球の方向と角度の価値はどの投球コースに対しても同じになる傾向がある。

まとめ

打球の価値はどのコースに対しても

・打球角度10~40度で引っ張ると価値を最大化できる。

・打球角度40度以上、-10度未満は最低の価値になる。

・打球角度30度以上で中央~逆方向は最低の価値になる。

こうして見ると外角の球でも引っ張りを試みるプルヒッターは打球の価値を高めるうえで一定の合理性はありそうだ。ただ、外角の球を引っ張ると内角や真ん中の投球を引っ張ったときより格段とゴロになりやすいという問題がある(表11、表12)。プルヒッターが成功できるかは、ゴロになりやすい外角への投球にいかに角度をつけられるかが重要だ。逆に、コースに逆らわない打撃をする打者は中央、逆方向へ打球を飛ばす際は打球角度30度以上にならないようにすることが重要となる。そして、どのタイプの打者も打球価値0度未満のゴロは避けることが必要だ。

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