シャッケルフォードの球質を分析する

DeNAに育成契約でシャッケルフォード投手が入団した。2017年にMLBでxwOBA.290を記録するなど高いポテンシャルを持つ投手だ。現在、手術前の状態にどれだけ戻っているかはわからないが2017~2018年の球質を見ていくことでどんなポテンシャルを秘めているかを見ていく。

対右打者 シュートしないフォーシーム、高速スライダー

シャッケルフォード 対右打者

・フォーシーム

まずはフォーシームの球質を見ていく。特徴的なのは横変化の小ささだ。シュート方向への変化が小さくいわゆるまっスラと呼ばれる球質だ。ストレートはシュート変化が小さいほど投手有利になりやすい球種なのだがシャッケルフォードのフォーシームは対右打者のxPV/100(100球当たりで防いだ失点)でマイナスを記録しておりあまり有効でなかったようだ。一方で推定xPV/100では良い値を記録している。推定xPV/100とは実際の投球結果ではなく投球されたボールの球質(球速、変化量)から推定したxPV/100だ。(注1)シャッケルフォードのフォーシームの打球数はわずか17しかなく悪い方に数字が上振れしてしまったのかもしれない。球質的には十分武器になるポテンシャルを持った球種だ。

・シンカー(ツーシーム)

シンカー(ツーシーム)はホップの量が多くシュートの変化量が小さい。シンカーはホップ量が小さくシュート変化すると失点を防ぐ効果が高いのだがシャッケルフォードのシンカーは縦変化量が多くシュート変化量が小さく球質的にはあまり優れたものではない。一方で実測値のxPV/100は高い。少ない打球数によって上振れしたのか配球やスライダーとのコンビネーションで効果を上乗せしたのだろうか。

・スライダー

変化量は平均とあまり変わらないが球速がやや速いのが特徴だ。球質から予期される失点抑止は平均的だが実測値ではかなり優れている。

スライダー 対右

要因としては投球コースが考えられる。シャッケルフォードのスライダーは外角、それも際どいコースへボールが集まっている。スライダーは外角へ投球すると高い失点抑止力を発揮する。シャッケルフォードは球質こそ平均的なものの投球コースでスライダーを強力な球種にしているようだ。

対左打者 投球割合こそ低いものの強力なスライダー

シャッケルフォード 対左打者

・速球

右打者への投球割合で比較するとフォーシームは21.4%→41.6%と大きく上昇している一方でシンカーは32.8%→28.6%と減少している。右打者に投げる速球はシンカー、左打者にはフォーシームと投げ分けているようだ。推定値で見てみてもフォーシームはシンカーと比べて大きく勝っており賢明な判断と言えそうだ。

・スライダー

右打者への投球割合で比較すると45.8%→29.8%と大きく低下している。一方で推定値、実測値ともxPVは大きく上昇している。球質的には右打者よりむしろ左打者の方が抑えるのに向いているようだ。

まとめ

シャッケルフォードは基本的に2種類の速球とスライダーを武器にする投手のようだ。(チェンジアップが1球だけあったが1球しかないので今回は除外している)速球2種類とスライダーが持ち球でオフスピードボールを持たないとなると同じ利き腕の打者には有利でも反対側の利き腕の打者には不利な印象があるがシャッケルフォードの場合、スライダーが対左にかなり有効なボールとなっているため打者の左右によって苦労するということはなさそうである。個人的には対右打者へのフォーシーム、対左打者へのスライダーの投球割合を少し増やしても面白いと思うところだ。対右打者へのフォーシーム、対左打者へのフォーシーム、スライダーの球質はMLB平均を超えるポテンシャルを持っており怪我の回復次第ではNPBでは強力なリリーフになるということも考えられるのではないか。

今回の分析に用いたデータはBaseball Savantから取得した。

(注1)

推定xPV/100の算出方法

1.カウント・投手の左右/打者の左右を分類する。

2.球速:5km/h、変化量:7cmごとにグループ化する。

3.各グループの平均xPVを「xPV期待値」とする。

4.投球した球種の球質によってxPV期待値を割り振っていき平均をとる。

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