投球のテンポは援護に影響を与えるのか
投球のテンポについてMLBでは2023年に大きな変化があった。ピッチクロックの導入だ。試合時間が30分近く短縮されるなど時短への影響は凄まじいようだ。
Baseball Savantではピッチクロック導入にあたって2022年にはPitch Tempoが公開されるようになった。
投球のテンポについて日本では昔からある説が囁かれている。それは「投球のテンポが打線の援護に影響を与えるのではないか」というものだ。投球のテンポが良い投手は野手の集中力を切らさない効果があるなどと言われるともっともらしく聞こえるが実際はどうだろうか。
RS/GS Adj AAとPitch Tempoに相関はある?
Baseball ReferenceにはRS/GS(先発登板時の援護率)という項目がある。
これを基にRS/GS Adj AA(チーム平均と比較した援護率)とPitch Tempoの相関を見てみる。
RS/GS Adj AAとは
投手個人の援護率 - 所属チームの援護率
で算出したチーム援護率の平均と比較して何点援護を得ているか(または得ていないか)を表す指標だ。+0.5ならチームの平均的な先発より1試合あたり0.5点援護を得られ、-0.5なら-0.5点援護を得られていないことになる。
ピッチクロックが導入される前年の2022年MLBで10先発以上した投手を対象に調査した。結果が以下となる。
相関係数は-0.08。Pitch Tempoと援護の多さの間には相関がないようだ。
投手が援護をコントロールすることは難しい?
失点は少ないのに援護を得られず勝てない投手に対して「この投手はテンポが悪いから援護を得られない、責任は投手にもある」と言われることもあるが全体的な傾向を見てみると基本的に関係はないようだ。
援護に投手がほとんど関与できないと言うなら、勝利投手という記録自体をそもそも見直すべきなのかもしれない。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?