ルーキー・ストライクは存在するのか。

実はMLBにもそういう“差別”はあるんだ。メジャーでも1年目の選手のストライクゾーンは広いけど、だんだん実績を積んでスタープレーヤーになっていけば、ゾーンは狭くなっていく。新人だったらストライクだけど、あのテッド・ウィリアムズ(ボストン・レッドソックスで打率4割を記録した打撃の神様)が見逃したらボールっていうことなんだ

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上記の記事によるとMLBでは1年目の選手はストライクゾーンが広くその後実績を積むと狭くなるとある。今回はルーキーの選手はストライクをコールされやすいのかを検証する。

検証方法

2017-2020のMLBを対象に各選手のルーキー時代のCSAA per pitchとルーキーでなくなって以降のCSAA per pitchの差をとり平均をとる。CSAAの算出は以前の投稿と同じ方法を使用している。ルーキーの定義はfangraphsのLearderBoardsで各年度でRookiesのチェック欄にチェックを入れた際に出力された選手を対象とした。なお平均をとる際はルーキー時代の捕球機会とルーキーでなくなって以降の捕球機会を比較して少ない方の捕球機会で加重する形で平均をとった。

算出結果

CSAA 捕球機会

結果は以上のようになった。ルーキー時代はルーキーでない時代と比べると投球当たりで0.0036ほどストライクとコールされていることがわかった。これはルーキーの頃はそうでない頃と比べ1000捕球機会あたりで3.6個ストライクを増やされているということだ。

これはどの程度の影響を選手に与えるのだろうか。得点数で影響を評価してみる。

2017-2020のMLBで捕球機会/wOBA分母は約2だった。これは1打席当たりで平均して捕球機会が2回ほどあったということを意味する。年間600打席立ったとすると捕球機会は2*600=1200となりこの1200の捕球機会にCSAA per pitch(0.0036)を乗じて(1200*0.036)年間増やされたストライク数を算出すると約4.3となる。この増やされたストライク数にボールをストライクに変える得点価値(約0.125)を乗じると約0.5点となる。ルーキーは広がったストライクゾーンによって年間約0.5点損しているということになる。

ルーキー・ストライクはほとんど打撃成績に影響を与えない

ルーキー時代はルーキーでなくなった時代と比べるとほんのわずかだがストライクとコールされやすいようだ。しかしそれにより打撃成績に与える影響は仮に1年間レギュラーとして出場してもRAAで約0.5点程度でありきわめて限定的だった。球審によってルーキー達が苦しめられているということはなさそうだ。

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