2021プロスペクトリポート(内山壮真)

基本情報

内山壮真 捕手 171cm 70kg 右投右打 2020年ドラフト3位

身体的には小柄な捕手だ。コリジョン・ルールのない時代ならコンタクトプレーのある捕手を務めるには不安な点もあっただろうが、現在はそれほど問題にならないと思われる。実際、2009年以降にレギュラーを務めた身長175cm以下の捕手は複数人いて時代の変化を感じるところだ。(表1)

内山1

彼らに比べると内山の体重はやや軽いが、まだ高卒1年目の選手ということを考えると増量は期待できる。元々長打力のポテンシャルが高い選手だがまだ伸び代はあると言えそうだ。

歴代の高卒1年目選手との打撃指標を比較

内山2

内山と歴代の高卒1年目選手の成績を比較してみたのが上記の図だ。(図1)内山は選球眼の面ではチームの先輩である村上宗隆に比較的近い。(表2)

内山3

さすがに1年目から身体的にはプロトップクラスだった村上と比較するとパワーでは劣るが、パワーも高卒1年目の選手としては非常に優秀な部類だ。裏を返せば、身体的に完成されてないのに、高くない三振率でこれだけの長打力を発揮しているということであり、無茶な強振をせず、ミートセンスや打球に角度をつけることで長打力を発揮している可能性が高い。身体が完成されれば山田哲人のようなパワーとコンタクトを併せ持つ、強打のスラッガーとなりえるだろう。

内山5

 高卒1年目の時点でISO+が100を超える選手の多くはストライクゾーン管理において問題を抱えている。(表3)1年目のISO+が100を超えた選手の中から、BB%+からK-傑出値を引いた値が-10を超えた選手は過去16年で31.5%(12/38)であり、高卒1年目の選手がゾーン管理をしつつ長打を放つことは難しいようだ。12例の選手の内訳を見ると、2014年まで(現在24歳以上)の選手は陽岱鋼、中田翔、高橋周平、渡邉諒、森友哉など全員既に1軍で実績を残していて、2015年以降(現在24歳以下の選手)も既に実績を残している村上宗隆、プロスペクトとして1軍で多くの試合数を経験しているオコエ瑠偉、林晃汰、太田椋がいる。内山も彼らに続くの存在となりうるポテンシャルを持っていると言えそうだ。

守備

強力な打撃ツールを持っていることは既に触れたが、内山の素晴らしいところは、このような強力な打力を持ちながら平均的な打力が低いとされる捕手を守っているということだろう。もし捕手としても打者としても大成することができたならば、かつての城島健司、阿部慎之助、現在の森友哉のようなチームに莫大なアドバンテージをもたらす選手になりうる。

内山

(画像は

https://bo-no05.hatenadiary.org/entry/2021/08/21/000000_1

より引用)

内山の2軍守備指標はまだまだ未完成という段階だ。盗塁阻止を意味するARMや失策抑止を意味するErrorとも低く1軍で使うには捕手としての技術を磨く必要があると言える。だが、内山は既に守備でも光るものを見せている。それはFraming(フレーミング)だ。フレーミングとはストライク期待値をいかに増やしたかを記録し、それを基に防いだ失点を得点化した指標だが、内山はこのフレーミングで4.9と非常に優れたスコアを記録しており、ARMやError、Blockingのマイナスをカバーするだけの数字を記録している。今後、フレーミングの質を維持したまま守備が成熟すれば守備においても強力なプレイヤーとなりうる。

まとめ

・身体的には未完成。逆を言えばまだまだ伸び代がある。

・打撃は既に歴代の高卒1年目の選手と比較しても優秀。

・守備はまだまだ未完成。だがフレーミングで高いポテンシャルを見せる。

将来的にはチームに大きなアドバンテージをもたらすだけの素質を備えたプレイヤーである。捕手でなくコーナーポジションや高校時代も務めた遊撃手でも十分、強力な選手となりうるが希少性を考えると捕手としてまだまだ見たい選手だ。


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