守備位置別の平均身長・体重を求める
『大型』遊撃手はどこから大型?
ドラフトの前になると「大型遊撃手」という言葉を聞くことがあります。私はこの「大型」遊撃手という言葉を聞いてふと疑問に思ったことがあります。それは「大型遊撃手の『大型』って身長・体重いくつぐらいからを指すのだろう」ということです。
守備位置ごとに体型は違うのか。
プロ野球選手の平均身長・体重は181cm、83kgとのことです。だったら「大型遊撃手」はこの平均値より高い選手を指すのでしょうか。しかし一方で身長182cmの選手を「大型遊撃手」として扱う記事がありました。これだけ聞くとプロの平均より1㎝身長が高い選手を「大型」として扱うのは違和感がありました。そこで納得する考えとして思いついたのは
「遊撃手はそもそも平均的に小柄な選手が多い守備位置でありプロの平均程度の身長でも『遊撃手としては大型』に分類される」のではないか」ということです。
181cm、83kgは「全ての守備位置を含めた平均」であり遊撃手の平均はそれより小さく(例えば175㎝、75kgとかなら)181cm、83kgでも大型に分類される、というものです。
反対に体型の大きな守備位置もあり一塁手だったら同じ181cm、83kgでも「大型」には分類されない、ということもあるのではと考えました。
守備位置ごとに平均の体型は異なり「大型」の基準も異なるのではないか、ということです。ここで問題なのは本当に守備位置ごとに体型は異なるのか、異なるとしてそれはどの程度なのか、ということです。
なんとなく経験上では一塁手、三塁手は長打を打つためにガッチリした体型の選手が多く、二塁手、遊撃手は身軽に守備をこなすために小回りの利く小柄な選手が多い、というイメージがありますがそれはイメージであり実際どの程度であるか誰かが調べてそう思ったわけではありません。数値として基準がなければ各守備位置でどこからが「大型」であるかはわかりません。
実際に計算する。
そこで基準になる実際の数値がないのであれば計算してみようと思いました。
方法としては2010~2019年のNPBで実際にそれぞれの守備位置で試合に出場した選手の身長・体重をその試合数に応じて重みを付け平均をとる、という方法です。この方法で実際にそれぞれの守備位置で試合に出場した選手の平均の身長と体重を求めます。
なお、外野手は今回調査の対象としていません。外野手は3ポジションを1つのポジションとして扱っているデータしか入手できなかったためです。
結果は以上のようになりました。予想通り?二塁手と遊撃手は他ポジションと比べて身長・体重ともに低くBMI(身長と比較した体重の重さ)もこの2つのポジションが抜けて小さいです。小回りの利く動きが求められるイメージ通りの体格になっています。
反対に大型なのは一塁手です。身長・体重とも外野を除くポジションの中では最大でBMIも27.9と最大。BMIはISO(長打力を表す指標)とも相関があり長打の求められる一塁手らしい数字となっています。
まとめ
・二塁手・遊撃手は身長・体重・BMIともに他ポジションと比べて低く小柄な選手が出場することの多い守備位置となっている。
・一塁手は身長・体重・BMIともに他ポジションと比べて高く大型の選手が出場することの多い守備位置となっている。
この結果は多くの人にとって予想通りだったのではないでしょうか。とはいえイメージだけでポジション像を語るより実際に調べてみて数値を把握するのは意味のあることだと思います。ドラフトなどでもこれらの数値を見てみてプロの平均と比較して候補の選手がどれだけ大型か小型かなどを把握して見てみても面白いのではないかと思います。