各球種の投球コース別RV/100

各球種について投球コースを縦横7.5cm(約ボール1個分)ごとに刻み各コースのRV/100(100球あたりの得点増減)を算出した。
(RV/100とはストライクを取る、凡打にさせたなど相手の得点の見込みを減らす事象についてはマイナスの得点価値がボール球を投げる、安打を許すなど相手の得点の見込みを増やす事象についてはプラスの得点価値が与えられる指標で投手にとっては低ければ低いほど得点を防ぐことを意味する指標。)

投打の利き手の左右が一致するかしないか、2ストライク未満と2ストライク時で場合分けし算出。

基本的な傾向としてストライクとボールの境目は投手有利、外れすぎたボールは打者不利、ゾーン中心は2ストライクになると打者にとっての価値が高くなる、といった傾向がある。細かい球種の違いについては以下で説明する。

フォーシーム(2ストライク未満)

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フォーシームは高めと外角のゾーン境目が有効な投球コースとなる。内角は外角ほど有利な投球コースとなっていないがこれは球審が内角より外角をストライクを取りやすいことに由来する可能性がある。変化球と比べるとゾーン中央に投げた時の失点リスクの跳ね上がり方が緩やかであり基本的にストライクを取りに行く球種として活用した方が良さそうだ。

フォーシーム(2ストライク時)

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2ストライクになると2ストライク未満と比べるとゾーン中心内で失点リスクが発生する。一方で高めのボール球が2ストライク未満より有効性が上がる。後述するが変化球と比べると外れたボール球で失点を抑止できる範囲が狭くフォーシームを決め球とする際は緻密な制球力を必要としそうだ。

シンカー(ツーシーム含む)(2ストライク未満)

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シンカーは投打の左右が一致する場合としない場合で有効な投球コースが異なる。左右が一致する場合は内角のボールゾーンに外れてもある程度失点の抑止を期待できる。一方で左右が一致しない場合は内角への投球が有効にならない。また左右が一致する場合はゾーン中心へ投げても失点のリスクが低いのに対し一致しない場合はある程度失点のリスクが発生する。シンカーは基本的に投打の左右が一致する時に使いたい球種だ。

シンカー(ツーシーム含む)(2ストライク時)

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2ストライクになるとゾーン中心での失点リスクが高くなる。(特に投打の左右が一致しない場合)フォーシーム同様変化球と比べると外れたボール球で失点を抑止できる範囲が狭くツーシームを決め球とする際は緻密な制球力を必要としそうだ。

カットボール(2ストライク未満)

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カットボールは投打の左右が一致する場合としない場合とで内角の効果が異なる。利き手が一致する場合は内角へ外れたボール球の有効性は低いが一致しない場合はある程度有効性がある。逆に外角では利き手が一致する場合はゾーン境目からボール2個外れても有効だが一致しない場合は有効性が低くなる。

カットボール(2ストライク時)

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カットボールは2ストライク時にゾーン中心へ投球した時に大きく失点リスクが跳ね上がる。一方で外れすぎると失点の抑止を期待できない。2ストライク時には非常に緻密な制球力を求められる球種だ。

スライダー(2ストライク未満)

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 基本的にゾーンの境目が有効な投球コースとなる。投打の左右が一致する場合は外角に投げると投げミスをしたときの失点リスクの増加が抑えられることから対角線に投げることが投球の基本になりそうだ。投打の左右が一致しない場合はボールゾーンから曲げるスライダーとインコースからボールゾーンに逃げるスライダー、どちらも選択肢になりうる。
 意外にもゾーン高めの得点価値も低い。いわゆる「抜けスラ」というものだろうが投手が意図的に投げた場合もこのボールが機能するかは未知数だ。

スライダー(2ストライク時)

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2ストトライク時は左右の利き腕が一致する場合は外角、一致しない場合は内角の低めボールゾーンでの得点価値が大幅に減少する。一方でゾーン中心の得点価値は大幅に上昇しており非常にリスクの高い投球コースになっている。2ストライクからスライダーを投げる場合はゾーン中心に投球することを避け対角線にややボール気味に投げるくらいの気持ちで投球したほうが良さそうだ。

カーブ(ナックルカーブ含む)(2ストライク未満)

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カーブは左右とも外角が有効な投球コースになりえる。ゾーン中心での得点価値を見ると利き手が一致する場合と比べて一致しない場合は失点リスクが上がりにくい。利き手が一致しない場合のカーブはとにかくストライクを取ることを優先するのも手だ。

カーブ(ナックルカーブ含む)(2ストライク時)

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カーブは2ストライクになるとゾーン中心で得点価値が大きく上昇する。基本的にプレートの上~対角線で低めのボール球を投げることが有効だ。

チェンジアップ(スプリット含む)(2ストライク未満)

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チェンジアップ(スプリット含む)は2ストライク未満でもゾーン中心へ投げることは高い失点のリスクを伴う。基本的に打者から逃げるコース(チェンジアップは通常利き手側に変化するため利き手が一致する場合は内角、一致しない場合は外角)に投球すると効果的だ。

チェンジアップ(スプリット含む)(2ストライク時)

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2ストライク時のチェンジアップはプレートの上か打者から逃げるコース(利き手が一致する場合は内角、一致しない場合は外角)の低めのボール球を投げることが失点を抑止する上で有効だ。

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