前に対戦した投手の影響を打者は受けるのか

日本戦の大逆転勝利から一夜明け韓国代表の金寅植(キム・インシク)監督は「野球はノーヒットノーランじゃなければ、1回はチャンスが来る。則本もいい投手だが、大谷の後ではスピードが遅く感じた」と振り返った。

上記で引用した記事はプレミア12で圧倒的な投球を見せた大谷翔平の後に登板した投手を打ち崩したことについてのものだ。韓国代表のキム・インシク監督は「大谷翔平の後ではスピードが遅く感じた」と大谷と比較すると後の投手を打ちやすく感じたことが打ち崩せたことの要因のように語っている。だが実際打者は前に対戦した投手と比較しての打ちやすさ・打ちにくさを感じまたそれが打撃成績に影響をもたらしているのだろうか。

検証方法

2015-2020年のMLBで通算200打席以上出場した投手と打者を対象に同一試合の前の打席で対戦した投手と現在対戦している投手が異なった打席を抽出する。抽出した打席で前の投手の通算xwOBAから現在対戦してる投手のxwOBAを引きxwOBAの差を算出し0.01ずつグルーピング化する。それぞれのグループでxwOBAの実測値、投手と打者のxwOBAの推定値を算出。推定値はその選手の2015-2020年の通算xwOBAを基に算出。例えばxwOBA.320の投手が3打席、.280の投手が2打席の場合は

(.320+.320+.320+.280+.280)/(1+1+1+1+1) と計算を行い期待値を出す。

各グループで実測値のxwOBAと推定値のxwOBAを比較し前後に対戦した投手のレベル差が成績に影響を与えるのかを検証する。

結果

投手 レベル差

どのグループも打者のレベル差はほとんど発生していない。投手のxwOBAの推定値とxwOBAの実測値を比較しても上位グループ、下位グループともに特別抑えやすくなったり打たれやすくなるグループはほとんど存在しない。以上の結果からして以前に登板した選手が後の対戦に与える影響はほとんどないということになりそうだ。

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