オフスピードボールの落差がゾーン別valueに与える影響

オフスピードボールのattack zone別value

　オフスピードボール（チェンジアップ、スプリット）のカウント別attack zone別valueを見ると、2ストライク時はchase（外れたボール球）のRun Value/100（100球あたりの得点価値、低いほど投手優位）が負の値となることがわかる。2ストライク時ならchaseに投げ込んでも投手優位な結果になる。

落差はzone別valueに影響を与えるのか

　しかし、直感的には2ストライク時のchaseの価値が物足りないように感じられる。私には落差のあるスプリッターを投げる投手がchaseで多くの空振り三振を奪うイメージがあるからだ。

　そこで仮説として落差がzone別valueに影響を与えている可能性があるのではないか。落差があるオフスピードボールならchaseでも空振るが、落差のないオフスピードボールなら空振らない、といった具合だ。

検証

MLB2017-2021を対象に
・ゾーンをheart,shadow-in,shdow-out,chase,wasteに分割する。
・カウントを2ストライク未満、2ストライクに分割する。
・オフスピードボールの球質を「遅い、速い」「落ちる、平均、落ちない」に分割する。

　これでRV/100（100球あたり得点価値、低いほど投手優位）を算出する。

2ストライク未満

・heartは球速が遅いほうが価値がある。
・shadow-outはドロップする方が価値がある。
・chase,wasteは価値がない。

2ストライク時

・heartは投手不利。
・shadowは投手優位。
・chaseが投手優位になるのはDROPとSlow NOMALのみ。（特にDROP)
 ・wasteは投手不利。

　2ストライク時にchaseが投手優位になるかどうかは落差が非常に重要なようだ。

まとめ

オフスピードボールは
・同じカウント、attack zoneでも球速・変化量によって価値は変わる。
・2ストライク未満のheartは球速が遅いほうが投手優位。
・2ストライク時のchaseは落差次第で価値が大きく変わる。DROP時は大きく投手優位だが、それ以外は基本的に投手不利。

　落差次第で投球コースの価値まで変わるなど、オフスピードボールの落差は非常に重要なようだ。