トラッキングデータを用いた打たれにくいカーブの分析
カーブは緩急をつけるための球種として用いられることも多い。だが最近では球速が130キロを超えるようなパワーカーブとも称される高速のカーブも注目されるようになってきた。失点を防ぐうえで有効なのはどのようなカーブだろうか。
近年のMLBでは試合中にボールの球速・変化量等さまざまなトラッキングデータを取れるようになった。それらのデータを用いどんなカーブが打たれにくいのかを検証する。
検証
カーブを球速帯別と変化グループにグループ分けしたうえで各種指標を算出する。グループ化の方法は球速を5km/hずつに刻みその球速帯の平均変化量と比較した変化グループを作成する。(下記画像を参考)
![](https://assets.st-note.com/img/1639504325650-G9ivGHrKyr.png?width=1200)
指標を集計した表については全球種の平均値を中間値とし、比較して投手にとって良い結果だと赤が、悪い結果だと青が濃くなるようにカラースケールしている。
集計対象とする指標はRV/100(100球あたりの得点価値、低いほど失点のリスクが低い)、RV/100との相関が強いO-Swing%(ボールゾーンスイング率)、Whiff%(空振り/スイング)、平均打球速度、PutAway%(2ストライクからの三振奪取率)とする。
![](https://assets.st-note.com/img/1639506462400-pilBnf57jk.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1639504325605-Rm2cBlmNUz.png?width=1200)
右投手対右打者or左投手対左打者の場合
![](https://assets.st-note.com/img/1639506508487-N8IavWdtWn.png?width=1200)
並べ方はRV/100(100球あたりの得点価値、低いほど失点のリスクが低い)が低い順に並べている。上位はほとんど球速が135km/hを超える超高速のカーブとなっている。これらのカーブはO-Swing%(ボールゾーンスイング率)やWhiff%(スイング時の奪空振り率)が非常に高い値となっていてこれが失点抑止に寄与したようだ。
右投手対左打者or左投手対右打者の場合
![](https://assets.st-note.com/img/1639506849953-Nfmp6vS2a3.png?width=1200)
並べ方はRV/100(100球あたりの得点価値、低いほど失点のリスクが低い)が低い順に並べている。こちらも上位は135km/h以上出ている高速のカーブがほとんどだ。O-Swing%(ボールゾーンスイング率)やWhiff%(スイング時の奪空振り率)が非常に高い値となっているのも共通している。
投打の左右を問わず打たれにくい組み合わせ
![](https://assets.st-note.com/img/1639507071641-aYNZpVLpZT.png?width=1200)
投打の左右を問わず打たれにくい組み合わせは135km/h以上の球速が出てARM-DROP(横方向への変化が小さく縦に大きく割れる)のカーブ、もしくは135km/h以上出てグラブ側に大きく曲がるカーブとなっている。これらのカーブはWhiff%が非常に高く決め球として使うことが可能だ。
カーブは135km/h以上で投げることが重要
![](https://assets.st-note.com/img/1639507945527-xylKNR36jI.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1639508006695-WVQPAWwz90.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1639508037894-Q6rd1WZgJD.png?width=1200)
カーブは球速の影響が非常に大きい球種となっている。球速が上がるたびに各種指標が優秀になるからだ。特に球速が135km/hを超えると投打の左右を問わずに常にRV/100(100球あたりの得点価値、低いほど失点のリスクが低い)がマイナスとなる。カーブは変化の大きさ以上にとにかく高速化させることが重要だ。
まとめ
・投打の左右を問わずカーブは135km/h以上の高速で投げることが失点抑止の上で重要。
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